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透明なモーツァルトの短調 〜小山さんのモーツァルトピアノ協奏曲第20番
まじょるか魔女
9月23日(日) 大阪ザ・シンフォニーホールにて、涼秋の小山さんの音色を拝聴しました。
曲目オーケストラとも、3日前の金沢と同じです。covariantさんのご投稿に期待がますます募ります。小山さんは深い森のような濃い緑、常盤色のドレスで登場されました。樹々の葉に光る朝露のようにきらきらとしたビジューがついています。
小山さんが演奏される曲からピアノに親しんできたザ・素人の魔女は、小山さんが音の旅で演奏されなかったモーツァルトの曲は馴染みが薄く、映画「アマデウス」のモーツァルト像の刷り込みが強烈すぎて、ついていけないものを勝手に感じていました。
その先入観を覆されたのが、「クラシック音楽館」で放送された小山さんとN響のモーツァルト:ピアノ協奏曲第20番だったのです。録画した 小山さんのインタビューと演奏を繰り返し拝聴してきました。
20番はモーツァルトのピアノ協奏曲で短調を基調とした初めての作品。ウィーンで人気を得ていたモーツァルトは、この頃から大衆が喜ぶような華やかで聴きやすい音楽から離れていき、予約演奏会の会員が激減する結果にもなっていくのですね。モーツァルトが自分の書きたい曲を心のままに書いた記念碑的な作品なのでしょうか。
第1楽章。オーケストラの音が不安げに重なり合い、小山さんご自身が楽器になられたかのように身体が揺れています。そっと指を鍵盤に載せて、透明な哀しみが語られ、繊細なトリルは心の震えがそのまま表れているかのようです。ベートーヴェンやブラームスはこの曲に心酔していたそうですが、ベートーヴェン第九の構成とクロスオーバーするようにも思われてきます。
第2楽章。つかの間の幸せな記憶を辿るような旋律。小山さんは慈しむように音を紡がれます。金沢でこの演奏を聴かれた とさまさんから伺ったのですが、第2楽章冒頭の 小山さんの速いテンポ設定が最も音楽的な解釈であるとのこと。それを本日まざまざと実感しました。
今まで聴いてきた演奏は、始めの「ターララララ」がゆっくりで4拍子に感じていました。春の牧場のようなのどかな感覚です。
小山さんの演奏は、楽譜通りに2拍子でした。第2楽章のロマンス→緊迫感のある短調→ロマンス再現、という流れが違和感なく表出されるのです。春の牧場ではなく、透明な秋の空気に懐かしい花の香りを感じます。厳しい冬に向かうひんやりした風も交じっているかのようです。
第3楽章。目の前に広がる闇に吸い込まれるような心の暗雲。徐々に中和するかのようなオーケストラとの対話。ベートーヴェンは第九を作曲するときにこの曲が脳内に流れていたのでしょうか。最後は力強く長調で高らかに讃歌が奏でられます。でも圧倒的なハッピーエンドではなく、厳しい現実に対峙していくかのような短調的要素も感じます。小山さんはモーツァルトの魂に寄り添い、透明な彼の意志をそのまま音にして表現されました。「長調だから明るく、短調だから暗いとは限らない」との小山さんのお言葉が思い出され、早速もう一度拝聴したくなる複雑な味わいのピアノ協奏曲でした。
ブラヴォーの声、熱い拍手。
アンコールは、バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第1巻 前奏曲 BWV846
透明なモーツァルトから、純白のバッハへと心が浄化されます。
covariantさんが仰ったように、オーケストラアンサンブル金沢は少人数編成で、小山さんのピアノとの会話が明瞭で、大人数のオーケストラとはまた違う曲のように響いたのではと思います。少人数でも小ぢんまりしているのではなく、伸び伸びと調和のよい音楽で、まさにお一人ずつの奏者の音を楽しめた演奏会でした。
指揮者の川瀬賢太郎さんはエリを立てたスーツ姿で、シュッとした(関西弁で、すっきりした、クールなの意)いでたち、指揮は全身で音楽を表現され、音符が ホールに漂ったり弾けたりする様が見えるかのようでした。
ベートーヴェン「運命」演奏後のブラヴォーの声を受け、マイクを持って今日は風邪をひいているが普段はもっといい声であること、今季からオーケストラアンサンブル金沢の常任客演指揮者になり、温かく迎えられたことを嬉しく思っていらっしゃること、演奏を通じて皆さんの生活や人生が豊かなものになれば‥というお話をしてくださいました。
アンコールは金沢と同じ、シューベルト「ロザムンデ」間奏曲第3番でした。シューベルトの優しさが滲み出るような旋律で、小山さんのシューベルト即興曲の演奏が思い出されました。
2015年4月、名古屋での小山さんと川瀬さんの共演は、ラフマニノフ:ピアノ協奏曲2番 & 3番というアンビリバボなカップリングでした。その時の端正な川瀬さんは、一皮も二皮もむけたかのようなさらに生き生きした音楽を 小山さんと共に届けてくださいました。
小山さん、今日も作曲家が天国から微笑むような演奏を拝聴できて幸せでした。演奏会が続く季節になりますが、お身体大切におすごしください。
Date: 2018/09/23/23:19:48 No.4883

Re:透明なモーツァルトの短調 〜小山さんのモーツァルトピアノ協奏曲第20番
covariant
公演がマチネーであったとはいえ、大阪まで出かけてのまじょるか魔女さんからの早速のご報告に、金沢公演のご報告をした者としては嬉しい限りです。ぴあのふぉるてさんからの私への暖かいReplyにも、この場をお借りして御礼申し上げます。

流石にまじょるか魔女さんらしい、期待通りの、楽章を追った細やかなご報告をありがとうございます。読み手のイメージが具体的に一気に膨らみます。まじょるか魔女さんからのご報告を待って、私としては当初からの目論見通り、小山さんとOEKとの共演のご報告完了です。(^^;  m(_ _)m

つい最近、小山さんのオーチャードホールでの「ピアノ・ロマンの旅」アンコール公演と八ヶ岳公演に参加した従弟から、小山さんのピアノとお人柄を讃える文章を送ってきました。そのままここに転載したい内容ですが、既に彼があるNPOフリーペーパーに書いたものでした。彼も既に熱烈ファンになっております。(^^;
私も益々大好きな(^^; そして尊敬する、小山実稚恵さんが、いつまでも益々お元気にご活躍されますように、心からお祈り致します。
Date: 2018/09/24/10:41:46 No.4884


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石川県立音楽堂での小山さんに感涙!
covariant
9月20日(木)には、オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)が、指揮者に川瀬賢太郎氏、独奏ピアニストに小山実稚恵さんを迎えて、第406回定期演奏会が催されました。私はこのファンサイトのお蔭でお付き合いいただいている、とさま様とこの日一日ご一緒し、金沢蓄音器館や石川県立美術館ほかをご案内した後に会場入りしました。

石川県立美術館にもご案内したのは、ちょうど今、「URUSHI(漆) 伝統と革新」展を開催しており、以前から私が実物を見たいと願っていた、松田権六「蓬莱之棚」をはじめ、全国から多数の漆芸作品の粋が集められているからです。いろんな工芸品の中でも、漆芸品はその表現が実に多彩かつ精緻であるので、とても楽しく、また心が洗われます。木工品の柔らかさを保ったものから、中には陶器と見まがうようなものもあり、施された文様も実に様々で精緻なのです。

夜の小山さんの演奏曲目は、
モーツアルト ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K.466
でした。小山さんファンの私たちは、最近、N響との共演で、FM生中継やEテレ「クラシック音楽館」でお聴きしているものです。
それを、今回はどんな風に聴けるのだろう?と会場に臨んだのでした。

小山さんのドレスは、光沢のある青緑地に、幅広の刷毛で黒を数ヶ所上下に掃いたようなデザインで、とてもお似合いでした。そしてその音は、私が美術館で観てきた漆芸品を思わせたのです。これほど豊穣で、ニュアンス豊かなモーツアルトは初めて、第一楽章のカデンツァで、もう、身体は小刻みに震え、じわりと涙目になってしまいました。モーツアルト曲では私は経験したことのない、身体の震えと涙です。
小山さんはピアノ演奏を控えたオーケストラ演奏の始めから、終曲に至るまでの終始、身体も揺らせて完璧に集中しておられました。

この演奏は、私がEテレ「クラシック音楽館」で拝見・拝聴したものより、その演奏音は豊穣で、ニュアンス豊かに思われました。それは演奏会場に同席していたからというばかりでなく、楽団がOEKであるため小規模である故に、ピアノの存在を大きく感じることができたのだろうと思いました。川瀬さん率いるオーケストラの音が完全にピアノ演奏に合わせているようにも聴こえ、小山さんの技が引き立ちとても痛快、まさに「ピアノ」協奏曲でした(^^;

演奏終了時の観客の喝采がどれほど大きかったことか、ご想像できるとおりでした。
小山さんのアンコールには、
バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第1巻 前奏曲 BWV846
が、滑らかな流れのように弾かれました。

OEK第406回定期演奏会の、これ以外の演奏曲目は次の通りでした。

ハイドン 交響曲 第90番 ハ長調 Hob.I-90
べートーヴェン 交響曲 第5番 ハ短調 作品67「運命」
  アンコール シューベルト 「ロザムンデ」間奏曲 第3番

川瀬賢太郎さんは今シーズンから、OEKのパーマネント・ゲストコンダクターとなられました。今回の指揮は、若さ溢れるエネルギッシュなもの。サイン会では体調不良であったと伝えられたそうですが、そんなことは微塵も思わせない指揮ぶりでした。小山さんのピアノ協奏曲では、大ベテラン小山さんの演奏表現に敬意を表し、ピアノに寄り添って指揮していただいたと感じました。OEKの今後の為にもどうぞよろしくと、(サイン会で)お伝えしてきました。
Date: 2018/09/21/13:44:49 No.4881

Re:石川県立音楽堂での小山さんに感涙!
ぴあのふぉるて
covariant様
小山さんのモーツァルト:ピアノ協奏曲 第20番K.466@石川県立音楽堂のご感想を早速お聞かせくださり、どうもありがとうございます。ステージドレスの細やかな描写も、ありがとうございます。
素敵なご投稿を拝読して、興奮と感動を共有させていただきました。

小山さんのモーツァルトは、石川県立美術館でご覧になった漆芸品を思わせる音色だったのですね。「多彩かつ精緻な」漆の工芸品と「豊穣で、ニュアンス豊かな」小山さんの音楽を想像して、五感が大いに刺激されました。
また、オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)を応援なさっている、covariantさんの優しさと愛情が心に響きました。
地元の方々の温かな応援はOEKの皆様にとって、大きな励みとなっていることと思います。

ほんとにcovariantさんのおっしゃるとおり、小山さんはどのステージでも最初から最後まで、集中力がものすごい! 一心に演奏なさる小山さんの作り出す音楽は、いつも色彩と香りに満ちあふれていますね。
最高の技術と表現力で作曲家の思いをしっかり、美しく届けられる演奏家は、小山さんの他にはいないでしょう。
漆芸術と並び、小山さんは日本の宝。いえ、世界の至宝です!!

今日は大阪公演ですね。
皆様のご投稿をまた楽しみにしております。
Date: 2018/09/23/12:58:23 No.4882


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「Sibelius & Chopin」@サントリーホール 〜「やっぱり小山さんのショパンはいいですねぇ!」
ぴあのふぉるて
先週8/30(木)夜、「Sibelius & Chopin」をサントリーホールで拝聴しました。約ひと月ぶりに小山さんの生演奏が聴ける!と思うと、朝からそわそわして何も手につきませんでした。
〜〜〜
 読響 第614 名曲シリーズ サントリーホール
 指揮/ヨーン・ストルゴーズ
 ピアノ/小山実稚恵

 プログラム:
 アレッサンドレスク 秋の黄昏時
 ショパン ピアノ協奏曲 第1番
 シベリウス 交響曲 第2番
〜〜〜

コンサート冒頭に奏された「秋の黄昏時」は、初めて聴く曲でした。作者のアルフレッド・アレッサンドレスク(1893-1959)がブカレスト音楽院を卒業する前年(1910年)に作曲した、弦楽合奏のための単一楽章の作品だそうです。美しい温かな響きが印象的でした。作者はきっと穏やかで優しい青年だったのでしょうね。

さて、調律師さんによって(すでにステージ中央に置かれている)ピアノの蓋が開けられ、準備が整いました。
「小山さんのドレス、今日は黄緑色かなぁ」とつぶやいた数秒後、小山さんがまさにその色(萌黄色と呼ぶのかしら?)のドレスをまとって登場なさったので、主人が「ほんとだ!」と驚いていました。

小山さんのショパン:ピアノ協奏曲第1番は素晴らしかった!
「よし。秋からも頑張ろう!」という気持ちにさせてもらえるような、英気に満ちていました。
小山さんのショパン1番を拝聴するのは今年に入って4回目となりますが(2/24@たましん,  3/11@東京オペラシティ、 5/2@テアトロジーリオ)、今回もまた心を打たれました。
時空を超えてショパンの胸中を伝えてくださる小山さんに感謝いたします。

指揮者ヨーン・ストルゴーズ氏はダイナミックな指揮をなさり、読響の皆さんは力強い情熱的な演奏で応えていたと思います。
この日、私共の座席は前から2列目の左端で、音響的にはちょっとひずみがあります(この“辺境の席”は音が遠いね、と後で主人がつぶやいていました)が、奏者の皆様の素晴らしい演奏を堪能しました。

今回特に、小山さんのお背中側から美しい手の動きがよく見えて感動しました。
小山さんは身体の中心がぶれない、無駄な動きのない、本当に美しい姿勢で演奏なさいます。素早い腕の交差や、力強い打鍵が求められる時も、決して粗雑にならない。
力強い和音を打ち込む時も、音階の最後に高い音を放つときも、どんな時でも、丁寧に丁寧に弾いておられました。
鍵盤の感触とともに音色の行方を確かめておられるのでしょう。

この日のスタインウェイピアノは、柔らかい優美な音をしていました。儚い恋心を静かにしっかり伝えるのに最適な音色です。特に第2楽章にぴったりだと感じました。

それにしても、もしもショパンがコンスタンツィアに自分の思いを直接伝えることができていたら、この曲は生まれなかったかもしれませんね。
胸に秘めた募る想いと切ない気持ちは、作品で吐露するしかない…。
ショパンの内気な性格が 後世の人々にとっては幸いしたのですね。ショパンに感謝!

続いて民族舞踊や民謡が使われたポーランド色いっぱいの第3楽章、小山さんはのびのびと楽しそうに演奏なさって素敵でした。独特のリズムに、お身体が自然に反応するのでしょうね。小山さんは緩徐楽章だけでなく、こういった快活な音楽を表現なさる時もまた最高に素晴らしいと思います。躍動感あふれる演奏にしびれました。

そして、曲の最後、タクトを振り終えた指揮者のドヤ顔!が微笑ましかった。

盛大な拍手の中、ストルゴーズさんは小山さんを抱擁し、小山さんの両頬にキスして喜びを表しておられました。
指揮者と読響の皆さんを労ってから聴衆に微笑みとお辞儀を繰り返される小山さんに、会場の興奮がおさまりません。
小山さんのお弾きくださったアンコール曲は、
「ショパン:ワルツ第19番 イ短調(遺作)」
心が清められるような美しさでした。

休憩時間、親しいファン仲間数名で、「やっぱり小山さんのショパンはいいですねぇ!」と感動を分かち合いました。

プログラム後半は、ストルゴーズさんが祖国フィンランドの作曲家ジャン・シベリウス(1865-1957)の 交響曲第2番 を、愛情あふれるタクトで熱演なさいました。思いの込められた演奏は力強い豊かな響きがして、芳醇な赤ワインを味わうような充実感を覚えました。

小山さん、ストルゴーズさん&読響の皆様、素晴らしいコンサートを本当にどうもありがとうございました。
終演後には貴重なサイン会も開いてくださり、感謝いたします。
ファン仲間の皆様、演奏会とオフ会でまたご一緒できますように。
小山さん、皆様、季節の変わり目ですのでどうぞご自愛くださいませ。
Date: 2018/09/02/17:19:24 No.4880


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美しく呼吸する、美しく歩く、美しくピアノに向かう小山さん 〜 “小山実稚恵のショパン” @横浜みなとみらいホール
まじょるか魔女
7月28日(土)横浜みなとみらいホールにて、「小山実稚恵のショパン」を拝聴しました。
「音の旅」と、その合間に伺ったリサイタルは様々な作曲家のプログラムでしたので、オールショパンは初めてのことです。海のない県民としては、「海の見えるコンサートホール」エリアに着いた時点ですでにテンションが上がります。2.020席の大ホール舞台正面にはパイプオルガンが設置されています。このオルガンは「光」を意味するルーシーという愛称のついた、横浜みなとみらいホールのシンボルなのですね。ケースにはカモメの彫刻が施されている4,623本のパイプを持つ国内最大規模のオルガンとのことで、特別なホールでの 小山さんの演奏への期待がますます高まります。
小山さんは、宝石の緑碧玉色のような力強く深い緑色のドレスで登場されました。ショパンは寒色系のクリスタルなイメージなので嬉しくなります。
プログラムは、
◆ワルツ 第3番イ短調op.34-2「華麗なる円舞曲」
◆ワルツ イ短調(遺作)
◆ワルツ 第7番嬰ハ短調op.64-2
◆ワルツ 第6番変ニ長調op.64-1「子犬のワルツ」
◆ワルツ 第2番変イ長調op.34-1「華麗なる円舞曲」
◆舟歌 嬰ヘ長調op.60
◆アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズop.22  
 〔休 憩〕
◆ノクターン 第20番嬰ハ短調(遺作)「レント・コン・グラン・エスプッショーネ」
◆ノクターン 第21番ハ短調(遺作)
◆ピアノ・ソナタ第3番ロ短調op.58

ショパンについて、小山さんは「呼吸をすることや歩くこと。これは私達が日常意識もせず普通にしていることですが、これを美しく実行することは、並大抵なことではありません。これこそがショパンの音楽と似ているのです。」と語られています。「普通のことを、きめ細かく美しくさりげなく自然にすること。それが出来なければ、作品の真価を問うことができない音楽。これこそがショパンの音楽なのです。」このお言葉が目の前に音楽になって響いてきます。
ショパン独自の「踊らないワルツ」は、素朴ななかにマズルカのような寂しさが漂います。
「音の旅」アンコール公演でも演奏された舟歌。たゆたう左手のリズムに載せて、ショパンの思い、そして小山さんの思いが奏でられます。ジュルジュ・サンドとの幸せな煌く日々、そして、暗雲がたちこめてきた二人のこれからの日々への不安。運命というゴンドラに乗り、波間を見つめるショパンの姿が見えます。
小山さんは「音の旅」第1回にこの曲を旅の始まりとして選ばれ、「アンコール公演」リクエストで、「ゴルトベルク変奏曲」と並んでリクエストが最も多かったのですね。小山さんが真っ直ぐ前を見つめて舟を漕ぎ出されます。パイプオルガン“ルーシー”からカモメが空高く舞い上がります。「海の見えるコンサートホール」横浜みなとみらいホールは、私たちをのせて海原を進んで行きます。「音の旅」をおえて、新しい旅に漕ぎ出される 小山さんの思いが潮風に溶けて拡がっていきます。
続いて、「アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズ」は、ショパンが24歳のときの作品なのですね。瑞々しい希望が、コーダの旋律から立ち昇ります。
後半は、ショパンの魂を慰めるかのようなノクターン2曲、そして、しめくくりはピアノソナタ第3番ロ短調でした。この曲は第1楽章の水源に花開く可憐な高山植物を思わせる冒頭から、最終楽章は「決意」をこめた音の水流が量を増し、小山さんのピアノから溢れてみなとみらいの海に滔々と流れ込みます。途中のアクセントの付けかたは、ベートーヴェンのようなメリハリを感じました。最後はロ長調の開かれた和音で、頭を高く上げられた小山さんの力強い宣言が響いてきました。
鳴りやまぬ拍手、ブラヴォーの声。小山さんは、何度も応えられ、アンコールを弾いてくださいました。

◆ワルツ 第10番ロ短調
秋の海を渡る風のような曲でした。

再び、鳴りやまぬ拍手に、小山さんはもう一曲弾いてくださいました。

◆ノクターン 第2番変ホ長調
何度も聴いてきたはずの「ショパンのノクターン、といえばこの曲」という曲ですが‥初めて拝聴した曲のように響きました。
極上のピアニッシモ。大きなホールは苦手で少人数のサロンで好んで演奏していたというショパンが、小山さんと連弾されているような心地になりました。
最後の音を愛おしむようにそっとそっと打鍵され、音が消えるまで会場全員身動きができないような特別な時間でした。

みなとみらいホールとショパンに関連して・・・2010年ショパンイヤーに中村紘子さんが全国47全都道府県にてオールショパンプログラムのリサイタルをされて、地元のホールで拝聴しました。その日のプログラムは、軍隊ポロネーズ、ピアノソナタ第2番「葬送」等だったと記憶しています。アンコールに弾かれた「幻想即興曲」に触発されてピアノレッスンを再開し、小山さんのピアノにめぐり合ったのでした。東響によるニューイヤーコンサートでは1978年から2014年まで毎年共演を重ねたピアニストが、中村紘子さん。そして、小山さんは2017年から引き継がれて、みなとみらいホールから新春の音色を響かせていらしゃるのですね。あらためて、中村紘子さんのご冥福をお祈りするとともに、小山さんに繋がるご縁をいただいたことに感謝いたします。
本日のリサイタルには、「『心の友』音楽と、更なる高みへと歩みだす」と記載されていました。プチ遠征に初めて息子と娘も一緒に伺いました。「音楽が大好き、という小山さんの気持ちが伝わってきた」、「音楽に表情があった」と感激していました。このファンサイトのご縁でお知り合いになれた方、そして初めてお目にかかるファン仲間の皆さまと、終演後も小山さん讃歌はヨコハマに響いたのでした。更なる高みへと眼差しを向けられる小山さんを、これからも共に応援したいと思います。
Date: 2018/07/29/09:18:34 No.4876

Re:美しく呼吸する、美しく歩く、美しくピアノに向かう小山さん 〜 “小山実稚恵のショパン” @横浜みなとみらいホール
ぴあのふぉるて
7月28日、小山さんのピアノリサイタル「小山実稚恵のショパン」を横浜みなとみらいホールで拝聴しました。
ソロ演奏で《オール ショパン プログラム》を拝聴するのは、初めて小山さんの生演奏を体験した日(2009年2月11日@三鷹市芸術文化センター)以来、二度目です。前半と後半すべてショパン作品で構成されたショパン尽くしのプログラムは稀なのですね。(聴きそびれただけかもしれませんが) しかも今回はピアノ・ソナタ第3番が、最終曲として置かれています! 選曲と配列から、もう小山さんのショパンへの思いが伝わって胸を打たれます。
そして、紡ぎ出される音楽のあまりの素晴らしさに、もう息を呑むだけでした。
と言いつつ、今回も駄文を載せることをお許しください。

小山さんは鮮やかな瑠璃色のドレスで登場なさいました。
美しい宝石のようなショパンの音楽と、ここ”海の見えるコンサートホール”にぴったりです。
《前半》
最初の曲、ワルツ第3番 イ短調 op34-2は、あれ?本当にこれが「華麗なる大円舞曲」なの?と疑ってしまいそうなほど陰鬱な出だしです。途中の軽やかな箇所もどこか寂しげに聴こえます。沈痛な様子の作品に、すっかり引き込まれました。
続けて弾かれたワルツ イ短調 (遺作)は、シンプルでありながら誠に美しい作品です。

一旦舞台袖にお入りになり、再び登場なさった小山さんは、ステージから聴衆に会釈なさいます。パイプオルガン側の方々への気配りも忘れない小山さんのお優しさに、感じ入りました。
ワルツ第7番 嬰ハ短調 op.64-2とワルツ第6番 変ニ長調op.64-1「小犬のワルツ」が続けて奏されました。
憂いに満ちた美しさと、超高速で描かれた小犬の動きの可愛らしさの対比が素敵です。拍手にお応えくださる小山さんの笑顔も可愛い!

その次は、ワルツ第2番 変イ長調 op.34-1「華麗なる円舞曲」。
プログラム冒頭で聴かせていただいた op34-2と違って、こちらは舞踏会の情景が目に浮かぶような、明るく華やかな作品です。小山さんの腕も鍵盤の上を美しく柔らかく旋回していました。
最後の力強い和音の後、長めの間を置かれてから、舟歌 嬰ヘ長調 op.60 の演奏に入られました。
ジョルジュ・サンドとの日々が終局に向かってしまうのは痛ましいことですが、そんな時期にショパンがこれほど麗しくて気高い愛の歌を残したことは、なんとありがたく、幸せなことでしょう。
そして、この曲を聴き手に届けてくださる小山さんの演奏は、ほんとに自然で美しい。
ショパンの純粋な心がこちらにまっすぐ伝わります。演奏にどれほど高度な技巧や音楽性が必要とされるか、きっと誰も気づかないうちに…。
もちろん、小山さんの演奏の自然な美しさは、この曲に限ったことではありません。
まじょるか魔女さんもこの日、美しく自然な演奏から生まれる小山さんの音楽を堪能なさったのですね。ご投稿(No.4876)の中で小山さんのお言葉をご紹介くださり、ありがとうございました。

盛大な拍手に続いて、プログラム前半の最終曲は、アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズ op.22。ピアノ独奏曲として魅力を放っていますが、もともとは小協奏曲として作られた作品なのですね。
(オーケストラとのご共演は2012年12月8日「ショパン華麗なる協奏曲の調べ」@練馬文化センター や、2015年7月4日「華麗なるコンチェルト」@ミューザ川崎 で拝聴したことがあります。オールショパンプログラムで、作品22とコンチェルト二つをご披露くださいました)

作品22を拝聴する時、特に後半の大ポロネーズの瑞々しい輝きに、毎回ワクワクします。今回も、小山さんのどこにも無理のない滑らかな動きと、泉のように湧き出る自然な音楽に、心を奪われました。長大なコーダで華やかに曲が結ばれると、熱い拍手の中、会場の皆を代表するような絶叫系の「ブラヴォォォォォォ〜!!」が聞こえました。

〜休憩時間〜
「やっぱり小山さんのショパンはいいですねぇ〜」がファン仲間の皆様の共通した第一声でした。
1/4のニューイヤーコンサートのチケットを買い求める方も多かったようです。2019年の曲目はチャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番ですね。

《後半》
まず、ノクターン第20番 嬰ハ短調(遺作)がそっと語られました。
心に秘めてきた思いを作品でしか打ち明けることができなかったショパンの、壊れそうな繊細さが心に染み入ります。同じく第21番 ハ短調(遺作)は、穏やかゆえにかえって痛みが募るような歌でした。

そしていよいよ最終曲は、ピアノソナタ第3番 ロ短調 op.58です。
(小山さんのデビューアルバムに収録されいますね)
このソナタは1844年の作。父を亡くして心身弱り果てていたショパンが、ワルシャワからパリを訪れた姉ルドヴィカと久しぶりに再会して元気を取り戻し、完成させた作品だそうです。
意を決したような始まりから緊迫感あふれる最終楽章まで、どこを取ってもショパンの魅力がいっぱいです。第3楽章、カンタービレの優しさは格別ですね。萩谷由喜子さんご執筆のプログラムノートで「光の雨が降り注ぐかのような柔和な中間部…」と書かれているのを読み、また感動しました。
横浜みなとみらいのスタインウェイピアノは、この美しい旋律を意識して調整されたのかもしれないと思うほど、まことに柔らかな温もりのある、美しい音色をしていました。
煌びやかでダイナミックな最終楽章は、小山さんの決意みなぎる演奏に興奮が止まりません。
ショパンの傑作は、小山さんの才能と心意気を証明してくれる作品なのだ!と確信しました。

熱烈な拍手とブラヴォーに応えて小山さんがお選びくださったアンコール曲は、(一瞬、マズルカかと勘違いしてしまいましたが…)
ワルツ第10番 ロ短調 作品69-2(遺作)。
アンコール2つ目は、ノクターン第2番 変ホ長調 作品9-2 でした。どこでも耳にするような人気曲ですが、小山さんの演奏は余計なものがそぎ落とされてキリリと美しく、まじょるか魔女さんもおっしゃるとおり、まったく新しい曲に聴こえました。
これがショパン:ノクターン第2番の、真の姿なのですね!

素敵なサイン会は、ファン仲間の皆様とともに最後尾に並びました。
小山さん一時間以上もにこやかにファン対応を続けてくださって、本当に頭が下がります。ピアノ・ソナタ第3番は、次は北海道名寄市で(11/25)演奏なさるご予定だそうです。
小山さんのソロリサイタルを今回初めて拝聴した娘も、一緒に並びました。CD「ラルゲット」にサインをいただいた娘が小山さんに、「今日小山さんの演奏を拝聴して、前に習っていたピアノをまた弾いてみたくなりました」とお伝えしたところ、じっと目を見て耳を傾けていらした小山さんはにっこり微笑み、両手を差し伸べて娘に握手をしてくださいました!
娘は小山さんの思いの込められた力強い演奏の後、優しいお人柄にも触れてますます感動を深めたようです。「どうしてお母さんや仲間の皆さんが小山さんに惹かれるのか、よくわかった」と申しておりました。
小山さん本当にどうもありがとうございました。

まさとさんのファンサイトやその他のご縁で出会えたファン仲間の皆様、横浜のオフ会では楽しいひとときをご一緒させていただき、ありがとうございました。皆様と共に小山さんを応援できて幸せです。遠方からお越しのまじょるか魔女さんには色々とお世話になり、恐縮しております。

小山さん、明日と明後日は「こどもの夢ひろば ”ボレロ”」@仙台 ですね。
ご成功を心よりお祈りしています。
こどもたち一人一人が大好きな「何か」と出会えますように。
Date: 2018/07/30/19:01:46 No.4877

Re:
まじょるか魔女
ぴあのふぉるてさん、素敵なリレーを有り難うございます。
かけがえのない時間の再現フィルムのようなきめ細かい筆致に、幸せなひと時が鮮やかに甦っています。
「・・・ノクターン第20番 嬰ハ短調(遺作)がそっと語られました。心に秘めてきた思いを作品でしか打ち明けることができなかったショパンの、壊れそうな繊細さが心に染み入ります。」胸に迫る描写です。
小山さんは、「ショパンは“痛い”音楽」と仰っていますね。
「・・・ショパンを弾くほどに、私の中では逆に痛々しさが深まります。孤高の美しさが、美しすぎて痛いのです。おそらくショパンはジョルジュ・サンドにも、友人にも、もしかしたら家族にさえ、自分の本心をあかさなかったのではないでしょうか。自身がありたい姿であろうとするために、他人に心を開くことなどありえない。ショパンの美意識は、すべてのことに勝っていたとも言えると思います。」
KAWADE夢ムック『ショパン −パリの異邦人』で、小山さんはこのように語っていらっしゃいます。
小山さんの文章は音楽と同じく、とても心惹かれます。
39歳で生涯を閉じたショパンの短く激しい日々の思いが音符となり、小山さんによって語られたのですね。
終演後のサイン会はガラス張りのロビーで、猛暑のなか襲来した台風で窓の外は街路樹が大きく揺れていましたが、小山さんはいつものように穏やかな笑顔で対応してくださいました。ぴあのふぉるてさんのお嬢さんは、小山さんにインスパイアされてピアノを弾いてみたくなられたのですね。今回ご一緒できた時間がピアノに向かう時間に繋がりますように。
まだまだ続く暑サニ負ケズ、皆さまお元気におすごしください。
Date: 2018/07/31/12:34:01 No.4878


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小山さんのラヴェル、素晴らしかった!!
ぴあのふぉるて
暑中お見舞い申し上げます。

命に関わるほどの酷い暑さにも負けず、小山さんは連日、精力的に演奏活動を続けておられます。7月21日と翌22日は、八ヶ岳高原でリサイタルを開催なさいましたね。高原の夕暮れ時、ガラス張りの音楽堂に響くバッハの音楽は、最高に素晴らしかったことと思います。
そして、今夜はミューザ川崎でラヴェルのコンチェルトを演奏なさるのですね!
ご報告が遅くなりましたが、同じプログラムを、先週7/19、サントリーホールで拝聴しました。
〜第910回 サントリー定期シリーズ〜
オーケストラ:東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:ロレンツォ・ヴィオッティ氏
ピアノ:小山実稚恵さん
(その前日7/18には、第119回東京オペラシティ定期シリーズとして、東京オペラシティコンサートホールで演奏なさっています)

*プログラム*
ラヴェル:道化師の朝の歌
ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調
〜〜〜
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
ドビュッシー:交響詩『海』(管弦楽のための3つの交響的素描)

「道化師の朝の歌」は、ピアノ曲を作曲家自身が管弦楽作品に編曲したものです。木管楽器、金管楽器、打楽器、弦楽器、ハープなど、オーケストラの様々な楽器の特色や音色が生かされて、楽しい音楽でした。つまり、オーケストラの楽器を総動員しなければ原曲のピアノ曲の魅力を再現できない、ということでもありますね。
改めてピアノという楽器の凄さを認識しました。

さて、ステージ右脇からピアノがステージの中央に移動されて、いよいよ小山さんのご登場です。小山さんのドレスは、涼しげな青や紫やピンクの美しい花柄です。
小山さんのラヴェル:ピアノ協奏曲は、約5年ぶりに拝聴します。
稀少価値のあるプログラムですね。
(前回は、2013年5月4日のラフォルジュルネ、でした)

小山さんのラヴェル、素晴らしかった!!
鮮やかな第1楽章、弔いの歌のような優しい第2楽章、そして華やかな第3楽章、全部ステキでした!
小山さんはきっと、ラフマニノフやショパンやベートーヴェンと同じくらい、ラヴェルもお好きで、お得意なのだと思います。

この日の座席は2階RA席(ステージを右上から眺める感じ)で、オーケストラ奏者の演奏が(コントラバスを除いて)よく見えました。曲の冒頭、ムチを打つ時の音を出すための擬音楽器(=スラップスティック。単に「ムチ」と呼ぶこともあるそうです)は、長い板を2枚合わせたような楽器なのですね。拍子木に似ていますね。
音響的にはあまり理想的とは言えない位置かもしれませんが、演奏中の小山さんの表情も見えました。第1楽章は踊りながら、第2楽章は目を閉じてお祈りなさるように、第3楽章はニコニコと楽しそうに、弾いておられました。

第1楽章、小山さんの躍動感あふれる奏楽にワクワクしました。
俊敏なリズム感は、ご幼少の頃にご覧になった(または参加なさった?)「盛岡さんさ踊り」で培われたのでしょうか?
この作品は第2楽章の初めにピアノソロがじっくりと、2分半ほど聴けるのも嬉しいですね。小山さんの柔らかな静かな音色が心に染み入りました。聴衆もオーケストラの団員さんも、みんな息を凝らして小山さんのピアノ独奏を聴いています。
指揮者のヴィオッティさんも下ろした両手を前で揃えて、じっと聴き入っておられました。
その後、フルートやオーボエなどが登場しピアノと一緒に盛り上がりを見せます。続いて、哀愁あふれるイングリッシュホルンの音色に寄り添うピアノの優しい音色に、胸がいっぱいになりました。
第3楽章は、第2楽章最後のピアノの美しいトリルの余韻を破るように、トランペットの明るい音色で始まります。華やかなこの楽章、小山さんは始終ニコニコと全身でピアノに向かわれ、オーケストラの皆様とのご共演を心から楽しんでおられるご様子でした。活気に満ち、暑さも吹き飛ぶ素晴らしい音楽はこうして作られるのですね。

熱狂的な拍手がわき、カーテンコールが数回繰り返されました。
小山さんのアンコール曲はドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」。
プログラム後半へのつながりを考慮されたすてきな選曲です。

今年はドビュッシー(1862-1918)没後100年の節目の年ですね。
プログラム後半はドビュッシー作品「牧神の午後への前奏曲」と「交響詩『海』」が並びます。いろいろな種類の打楽器や管楽器がそれぞれの個性を発揮する音楽を堪能しました。
フルートの音色を、ドビュッシーは上手に使いますね。
クラリネット奏者は楽器(2本あるようです)を持ち替えたり、ホルン奏者はミュートをつけたり外したり、ティンパニーの方は音色を確認したり、皆さん何かとお忙しそうでした!
お若い長身のヴィオッティさんは緻密で、指先まで美しい、悠然とした指揮ぶりです。じわじわ醸し出される情熱が素敵でした。

小山さんは今回も後半の曲が終わるまでお残りくださり、サイン会を開いてくださいました。そのあと、小山さんには大変珍しく(というかお急ぎのご様子の小山さんを見るのは初めてでしたが)、「今日は時間がなくて…」と恐縮されながら急いで楽屋へ戻られました。小山さん、ご予定があるのに、貴重なお時間を割いてくださったのですね。(週末に八ヶ岳高原のリサイタルを控えておられたのですものね…) 本当にどうもありがとうございました。

今週末7/28は、オールショパンプログラム(@横浜みなとみらい)を楽しみにしております。
ファン仲間の皆様、ご一緒できるのを楽しみにしております!

今週も猛暑が続くようです。
小山さん、皆様、水分と塩分の補給をこまめになさり、体調にお気をつけてお過ごしくださいませ。
Date: 2018/07/24/18:38:34 No.4872

Re:小山さんのラヴェル、素晴らしかった!!
まじょるか魔女
暑中お見舞い申し上げます。
夏に咲き続ける花のようにエネルギッシュに演奏活動をされる小山さん。
ぴあのふぉるてさんのきめ細かいレポート@サントリーホールから、まだ拝聴していない小山さんのラヴェルの音色を想像しています。

7月21日、22日に八ヶ岳音楽堂でゴルトベルクを演奏されている期間に、Facebookの「いいね!」が10,000人を越えたのですね。
小山さんのメッセージをファンサイトのトップページ右下の「Facebook」から見ることができますね。小山さんの音楽を聴く私たちへの思い、ゴルトベルクへの特別な思い、音楽と共に生きていかれるお気持ちが伝わり胸が熱くなりました。
様々な変奏を重ねながら原点に立ち帰るゴルトベルク変奏曲は、小山さんのお姿そのもののように感じます。
「音楽と共に時を生きることのできる幸せ」をいただいている幸せに感謝しています。
これからも、一期一会の演奏を心待ちにしております。
Date: 2018/07/26/19:05:27 No.4874

Re:小山さんのラヴェル、素晴らしかった!!
土の器
ぴあのふぉるてさま

ご投稿、拝読させて頂きました。小山さん愛、そしてクラシック音楽への造詣の深さに、いつもただただ感服致すばかりです。 実は私も同じプログラムを、24日ミューザ川崎シンフォニーホールで拝聴致しました。『フェスタ サマーミューザ 2018  絶品フレンチ ラヴェル&ドビュッシー』と銘打たれたコンサート、印象派に興味があることもあって、これを聞き逃してはなるまいと、わくわくしながらホールへ急ぎました。
ホールは、はなから聴衆の熱い思いで漲り、いつもの静かな空気感はありません。このホールは、サイモン・ラトルをして、「このホールを国に持ち帰りたい」と言わしめたとか。渦巻形のワインヤード形式という珍しい造りで、音の聴こえ方にあまり差が無いよう設計されているそうです。
さてプログラム2曲目、小山さん演奏の「ラヴェルピアノコンチェルト・ト長調」は、一瞬のムチの音から始まり、祭りへと染まり出しました。(なぜここでムチ?なのか、ですが、 祭り前いろいろ動めいている人々に向かって、音頭取りが「さあ、やろ〜ぜ」とぴしゃっとキメるには、他楽器では代わり得ない“潔いこの音が一番”かと、勝手に想像しています。)それもフェスタ夏祭りです!(ラヴェルが何祭りを想定して書いたか、まるで無視ですm(_ _)m)。ムチに続くピッコロとピアノ音は、笛や太鼓の日本の祭り囃子に似て聴こえます。、当時ラヴェルがジャポニズムに触れる機会があったかどうか知りませんが、バスク地方そして遠く離れた日本でも、民衆の祭りへの思い・表現は、どこか似ているなあ、と感じました。
そして小山さんですが、いつもとは違った風にお体を揺らされ、まるで祭り囃子に浮かれ一緒に楽しんでいらっしゃるかのよう。 近くのお席の若い方など、何度も何度もオペラグラスを手に取り、見入っておられました。 印象派的作品とあって色彩の洪水は勿論ですが、それ以上に覆いかぶさるような躍動感溢れるリズムの洪水に、私達は喜んでのみ込まれたくなります。でもどんなにリズムが揺れようが、それはラヴェルの意図した揺れ?であって、きっちりして、乱れません。そして音色の温かさは、しびれるジャズとは異なり、あくまでもいつもの小山さんの温かい音色で満ち溢れているのです。今までこの欄に、多くの皆様が「小山さんはどの作曲家にも寄り添われる本当に稀有なお方」と賛辞をお寄せになり、またぴあのふぉるてさんが「小山さんはきっと、ラフマニノフやショパンやベートーヴェンと同じくらい、ラヴェルもお好きで、お得意なのだと思います。」とお書きですが、おっしゃる通りですね。クラシックに全く疎い私も、その思いでいっぱいになりました。ラヴェルはガーシュインに会ったことがあるとか、クラシックとジャズとの架け橋になった作曲家のようですね。そして私はこの曲が、すっかり好きになってしまいました。ぴあのふぉるてさんご指摘のよう、さんさ踊りのような民謡有り、かたやジャズのブルーノート、ポリリズム(クラシックではそう言うそうな)有り、そんな中でハープの音が何度もフィーチャーされたり、第2楽章・頭では、ピアノで「亡き王女のためのパヴァーヌ」を思わせるラヴェルらしい調べが奏でられたり、もう音楽のジャンルを問わず、たくさんの音やリズム満載で、お聴かせ頂く私も乗り遅れまいと前のめりで拝聴致しました。 各楽章が“急・緩・急”の順序で演奏されますが、計20分程があっという間に終わり、特に第3楽章はもともと時間が短く、物足りなさでいっぱい!。でも聴衆は演奏の終わりをこらえて待っていたかのよう、終わった途端、ホールは大きなどよめきと拍手の渦に巻き込まれていました。

 そして小山さんはそんな聴衆の思いにお応え下さり、静まるのを待って、アンコール曲へと移ってゆかれました。 果たしてどんな曲を?とワクワクした思いでおりましたら、今回の指揮者ロレンツォ・ヴィオッティさん(28歳)と小山さんのデュオで、曲はラヴェル「マ・メール・ロア」より、第5曲の妖精の国。 
(サントリーホールでは「亜麻色の髪の乙女」だったのですね。これもお聴きしたかったです。)
多分、このプログラムでの最終公演ゆえ(東京で2回、神奈川・川崎で1回、計3回)デュオの曲を選ばれ、下部パートをヴィオッティさんが受け持ち、上部パートの小山さんの柔らかいピアニズムの演奏を優しく包み込むように寄り添われ、私達はまた違ったラヴェルの世界へと誘われました。また演奏後ヴィオッティさんが、めいっぱいの身振り手振りで、「小山さんには、心からの敬愛の念でいっぱいです!」と表現され、場内はまたもや同調、興奮のるつぼと化しました。

以下は今回のコンサートであらためて思ったことです。
音楽は耳で聴くもの、確かにそうですが、(手の動きなど)眼でも聴くもの?、震える空気、肌感など、五感を通してなお豊かに味わえるものだと、再認識しました。
小山さんご自身お小さい時はあまり生の演奏をお聴きになる機会がなかったとのこと、でも『ライブが一番ですね』とおっしゃられていますね。 例えば小川を流れる水の音、葉擦れの音、衣擦れの音(脱線ばかりですみませんが、その昔、中原美沙緒さんが「フルフル」というシャンソンを歌っておいででした。)、いずれも音源をCDに収めることはできます。でもそよ風であっても暴風であっても、その置かれた空間・場にあって、色合いや空気感・質感も共に味わってこそ、“音に成る“ 気が致します。 そういう意味で、小山さんの演奏が(本曲も含めて)、これからCDでなく、せめてもDVDで!と願うのは、私の真夏の夜の夢物語でしょうか(^^)。

この夏にあってまたドビュッシー没後100年とあって組まれた素晴らしいプログラムの数々、暑さもすっかり吹き飛びました。また今回誘った友人は、小山さん初拝聴でしたが、サイン会で小山さんの方から両手を差し伸べ握手して下さるなど、そのお人柄にもすっかり魅了されてしまったようです。

家路を辿る中、空を見たら月にむら雲が。今宵のコンサートで打ち上がった大輪の花火(まじょるか魔女さんNo.4857)の眩しさに、お月さまもそっと姿を消したよう。それも素敵に思える2018.7..24夜でした。。

皆様、この夏どうぞお元気でお過ごしくださいませ。、有難うございました。 駄文にて失礼致します。
Date: 2018/07/27/21:23:50 No.4875


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『 音の旅 』 アンコール公演 仙台 2018/06/17
オクターヴ練習中
総ての、しがらみから離れて、自分の感じたことを伝える。
今までの時間が掛かったのはそんな理由だったのかもしれない。
『 音の旅 』 アンコール公演 仙台 2018/06/17 (日)


”小山実稚恵さん”のリサイタルには、毎回、驚かされている。
今回もそうだった。
まるで、よく作られた、映画をみているような気持ちで、”小山実稚恵さん”の演奏を見ていた。
いつものように、
いつものピアノがステージにあり、”小山実稚恵さん”が登場して、リサイタルが始まった。
いつもと変わらない。
演奏が始まるまでは。
ピアノの音が聴こえてきて、言葉がなかった。
第1曲目 バッハ = ブゾーニ : シャコンヌ
ピアノの音がバラバラだった。
理由は分からない。
ただ、ピアノの音がバラバラだった。
僕にはそう聴こえた。
おそらく、倍音、
ハンマーアクションに共鳴する倍音が微妙にずれているのだろうか。
分からない。
けれども、いままで、聴いたことのないピアノの音が聴こえていた。
それなのに
”小山実稚恵さん”は、打鍵を徐々に強くしていきながら、演奏を続けていった。
クレッシェンド風に。
音が強くなっていくほどに、音の違和感も強くなっていく。
狂っている。
何処かが、そして、何かが、狂っている。
それなのに、”小山実稚恵さん”は、ますます、音を強めていくように弾いていった。
僕には、そう聴こえていた。
夢でもみているのだろうか、という気持ちで、演奏を聴いていた。


”小山実稚恵さん”は日本を代表するピアニストの第一人者だと自分は思う。
ならば、”小山実稚恵さん”のコンサートに同行する調律師の方も、日本を代表する方だと自分は思う。
その調律師の方が、調律をしそこなうことは絶対ない。
自分はそう思う。
自分のピアノを調律してくださる調律師の方が、ある時から、コンサートチュナーに変わった。
仙台国際音楽コンクールのステージで姿を見れる調律師の方だった。
その方が自分のピアノを調律してくださるようになってからだった。
ピアノの音が変わったのは。
調律師で、音が、全然、変わってくることに驚いた。
3回、その方が、調律をしてくださってから、ずっと、音階は保たれるようになった。
時々、休みを欲しがることがあるけれども。
でも、
そのことが分かっているから、整音は完了しているとしか思えなかった。
日本を代表するピアニスト、”小山実稚恵さん”のリサイタルだから。


温度、湿度、光、の悪戯、というのがこれなのだろうか。
ということを頭に浮かべながら、”小山実稚恵さん”の演奏を聴いていった。
演奏が進むほどに、音のずれも増していった。
限界に近い音のずれになっているのではないだろうか、というところで、音の種類が変わった。
ウナコルダでの演奏に思えた。
穏やかなピアノの調べが流れた。
僕の席からは、”小山実稚恵さん”の表情は見えない。
でも、いつものように、リズムに身体を揺らしながら、演奏する姿が見えた。
その姿は、余裕というか、楽しんでいるという風だった。
自分は、この先どうなっていくのだろう、という気持ちで、その姿を見ていた。
ウナコルダの演奏は、かなり、長く、続いた。
今、記述しながら、Youtubeで、あるピアニストの演奏を見てみた。
その演奏に、ウナコルダのパートは無かった。


ウナコルダからダンパーペダルの演奏に変わった。
衝撃だった。
晴天の霹靂。
なんというか、呆気に取られる、ということを実感していた。
全ての音が整音されている。
全ての音が、きちんと、整列しているように、聴こえていた。
倍音の違和感は無くなっていた。
反動的に、そう聴こえてくるのか、それとも、ウナコルダ演奏だけで、実際に、整音・調律されたのか。
ただ、演奏開始から、ずっと、音がバラバラに聴こえていたから、より一層の整音感があった。
良く調整されたハープの調べを聴いているような気持ちで演奏を聴いていった。
ギャップ効果で、180度方向が変わっていく、ということをライブで体験した。


これは最初からの、演出だったのだろうか、”小山実稚恵さん”と調律師の方の。
そんな疑問が残ってしまう。
でも、もし、こんな演出が出来るならば、世界中のピアニストが、調律師の方にお願いするように思えた。
そんな演出だった。


このアンコール公演の演奏曲目を決めた時、”小山実稚恵さん”はどんな気持ちだったのだろうと思う。
自分には、一人で、北叟笑む、”小山実稚恵さん”の姿があった。
コンサートの最後に演奏するような作品がズッシリと並んでいる。
自分には、永遠に弾けないだろうとしか思えない作品ばかり。
ピアノの色んな作品を弾けたら、どんなふうに世界が見えてくるのだろうかと思う。
この1年、ピアノを弾いて、幾つかの作品が弾けるようになって、
基礎、取り組む作品の順番、日常での身体のケア、ピアノに向かう気持ち、
などが、すこしだけ、見えてきたように思えてきた。
ただ、限界も、見えてきた。
基礎がない、若くない、時間は無い。
この状態で、作品に取り組むこと自体、本来、無謀。
それでも、ピアノを弾かずにはいられなかった。
ピアノ作品に向き合う大変さも分かった。
だから、
アンコール公演の演奏曲目が決まった時の、”小山実稚恵さん”の気持ちが知りたくなった。
実際はどうだったのだろう。
そして、11/18 sun 大阪 いずみホールの日を待つ人は、
どんな気持ちでその日を待つのだろう。
自分が聴いた”小山実稚恵さん”の 『 音の旅 』 2018 アンコール公演 仙台
Date: 2018/07/25/22:40:34 No.4873


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アンコール
y.s
昨年2017年11月25日に、小山実稚恵さんの12年間にわたるリサイタルシリーズ「小山実稚恵の世界」が幕を閉じた。
この6月23日に再びオーチャードホールで、「アンコール公演」が行われた。シリーズを聴いた聴衆によるリクエストを反映させたプログラムは、アンコール公演としてこれ以上は考えられないような、ピアニスティックなものからピアノを超えて深遠な精神を映し出す作品まで、バリエーションに富んだものとなった。
中でも、プログラム前半のラフマニノフ『ソナタ第2番』は鮮烈な印象を残してくれた。ラフマニノフの錯綜した響きを解きほぐしながらも壮麗に絡ませ合い、随所に響き渡る鐘の音を激しく打ち込む。ピアニスティックなパッセージは胸のすく鮮やかさで奏でられ、ラフマニノフ特有の、郷愁を誘わずにはおかない歌の部分でのテンペラメントや叙情性にももちろん事欠かない。そうした迫真の熱量に満ちた演奏ながらも、本プログラムの後のアンコールでの演奏かのように、何よりも演奏する喜びそのものが溢れていた。
それは、今回の演奏全体に感じたことでもある。後半のショパン『舟歌』でも、そこに込められた痛みや悲しみもさることながら、音楽そのものの美しさや心地よさが入ってくる。本公演の最終回でも演奏されたベートーヴェン『ソナタ第32番』は、より脱力がなされ、そのときの演奏を超える内容が示されたように感じた。このようなベートーヴェン晩年の精神性の高みにある作品にあっても、緩急の鮮やかなコントラスト、リリカルな弱音、破壊的な激情といった小山さんの個性が息づいていた。
アンコールのアンコールとして、バッハのハ長調のプレリュード(平均律第1集)と『ゴルトベルク変奏曲』のアリアが演奏され、瑞々しく美しい余韻を残した。これも、これ以外にはない選曲であろう。演奏する喜び、音楽をする喜びに満ちたアンコール公演は、「小山実稚恵の世界」のいまを如実に映し出した演奏会だった。
Date: 2018/07/08/21:36:53 No.4871


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天衣無縫、音色の羽衣〜小山さんのラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲
まじょるか魔女
7月1日(日)兵庫県姫路にて、N響と 小山さんの演奏会を拝聴しました。
梅雨の合間の青空に、姫路城は白鷺城の別名通り優雅に羽を広げているかのようです。姫路市文化センター大ホールは、姫路駅を挟んで、お城と反対の位置にありました。

曲目は、前日の埼玉県草加市文化会館と同じく、
◆ラフマニノフ/パガニーニの主題による狂詩曲 作品43
◆ラフマニノフ/交響曲 第2番ホ短調 作品27
NHK交響楽団
指揮:尾高忠明さん
happy さんのレポートで期待がますます募ります。

小山さんのファンサイトの管理人まさとさんが、この曲がきっかけになってファンサイトを立ち上げられたという特別な曲。まさとさんは、2004年2月サントリーホールにて、日フィル(沼尻竜典さん指揮)との共演で聴かれて、翌月3月にファンサイトを作ってくださったのですね。そのおかげでいただいたご縁の有り難さを、あらためて感じます。
小山さんの演奏は、YouTubeでN響(大友直人さん指揮)との共演で拝見しました。1993年9月のNHKホールでの映像でしょうか。オーケストラに続いて、小山さんのピアノの第一音「がーん」という音に衝撃を受けました。豹のように狙った鍵盤に打鍵される小山さん。その時は、チェリーピンクのドレスにウェーブのかかったヘアスタイルをされていました。

小山さんは、エメラルドグリーンのドレスで登場されました。特別にお似合いになる色ですね。
狙い澄ました打鍵の第1変奏から始まり、主題より先に第1変奏を置くラフマニノフの気合がいきなり迫ってきます。「さあ、始まるで。ふつうの変奏曲とちゃうから、よう聴いてや。」(←なぜ関西弁)ピアノの第1音のオクターブ和音が、ラフマニノフの宣言の鐘の音にも聴こえます。アグレッシブな主題が奏でられ、次々に変奏が繰り広げられます。狂詩曲(ラプソディ)の通り、その場で生まれたかのような自由な奏楽。
小山さんが様々な音色の羽衣を纏われているかのようで、天衣無縫という言葉が思い出されます。巧み、なのに自然。そして、第18変奏へ。
この変奏は、パガニーニの主題の「反行形」(譜面を鏡に映して上下反対にした形)なのですね。
政情不安によりアメリカにやむなく亡命し、過酷なスケジュールの演奏旅行に明け暮れたラフマニノフ。作曲活動は亡命後8年に渡って途絶え、その理由を友人が尋ねると、「どうやって作曲するんです?もう何年もライ麦のささやきも白樺のざわめきも聞いていないのに。」とこたえたラフマニノフ。
スイスのルツェルン湖畔に祖国ロシアと似た土地を見つけ、別荘を建て白樺の木を植えて3年がかりで完成したこの地滞在中のわずか数週間でこの曲を完成したのですね。

‥‥‥パガニーニのメロディを口ずさみながらルツェルン湖のほとりを散策するラフマニノフ。鏡のように陽の光を反射しきらめく湖面を見ているうちに、はっ、と稲妻に打たれたように立ちすくみます。「そや、主題を鏡に映したみたいに逆にしてみたらどやろか?!」別荘まで走って帰り、楽譜にペンを走らせて一気に作品が完成。(魔女の勝手な脳内劇場です)

「親愛なる友人ホロヴィッツよ!!今パガニーニの主題をつかって変奏曲を作曲しているが、シューマンもブラームスも思いつかなかったすごいアイデアが浮かんだんだ!!この変奏ひとつがこの曲全体を救ってくれるぞ!!」このような手紙をホロヴィッツに送ったのですね。
悪魔的と言われたパガニーニの生んだ旋律の反行形から現れる天使。小山さんは全身で魂の救いの歌を奏でられます。You Tubeの画像でも泣けてきたのですが、眼の前に溢れてくる数多の音粒、ピアノとオーケストラが合流し大きくうねり、胸がしめつけられるようです。
天国の宴会で繰り返される会話がありそうですね。パガニーニ「あの第18変奏は、ラフちゃん、そうきたか!とほんまに驚いたわ。一本取られたわ」、ブラームス「反行形とはね‥そこまでは思いつかんかったわ、さすがやな」、シューマン「諸君、脱帽したまえ、天才だ。って、ショパン君にゆうたけど、ラフマ君にも言いたいわ」ラフマニノフ「いやいや‥」(ポーカーフェイス)、パガニーニ「世界中で今でも演奏されてて嬉しいわー。昨日と今日はニッポンのコヤマミチエさんが弾いてはるわ。えらいオトコマエな弾き方しはるし、第18変奏は女神様みたいや(泣)」(宴会は続く・・・)
ところどころ現れる聖歌「怒りの日」は、神が人間を天国か地獄か行き先を選別する審判の意味とのことですが、作曲家と演奏家とのバランスに揺れるラフマニノフ自身に向けられたかのようにも聴こえてきます。
小山さんは、即興のごとくオーケストラと会話され、フレームのしっかりした音色を後部の座席まで届けてくださいました。最後の音は丁寧に鍵盤をはじかれ、この終わり方は、作曲家として蘇生したラフマニノフの安堵の吐息のようにも感じました。

アンコールは、ショパン/マズルカ第45番イ短調 67-4
異国の地で眠るラフマニノフの魂を慰めるような静謐な時間でした。

後半の 交響曲 第2番 は、ラフマニノフが精神的な長い冬から抜け出して公私ともに充実した日々を過ごしていた30代前半の作品で、春浅いロシアの空に向かって枝を伸ばす白樺の若木のような香りがしました。1時間近い演奏のなか、ロシアの森林浴をさせていただきました。
ダンディな尾高忠明さんは「32年ぶりの姫路です‥」とお話してくださいました。
アンコールは、グリーグ/過ぎにし春
 (ドイツ語で「Letzter Fruhing」、英語に直すと「Last Spring」という曲名は「最後の春」とも訳されるそうですね。原曲の歌曲は「この春を味わいつくし そしてすべてが終わるのだ」の歌詞で終わり、日本なら、この桜は人生最後に見る桜という曲なのですね)

「音楽は心より生まれ、心に届かなければならない。」ラフマニノフの言葉が、小山さんと尾高さん、N響の皆さまによって体現されました。作曲家の心に寄り添い、演奏される皆さまの心と共に音色を届けていただき有り難うございます。
今回初めて、小山さんの演奏を魔女の夫が拝聴しました。TVで拝見したときは演奏はもちろんのこと、小山さんのお話の仕方がとても誠実でいらっしゃるところに感銘を受けていましたが、今日は小山さんの力強い演奏に感嘆していました。

小山さんの奏でる音色は白鷺のように天上の音楽として空を舞い、小山さんの引力に惹かれたプチ遠征の帰り道は幸せなエネルギーを実感しつつ地上を夢心地で移動したのでした。
Date: 2018/07/01/23:17:40 No.4864

Re:天衣無縫、音色の羽衣〜小山さんのラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲
happy
まじょるか魔女様

こんにちは。
私の駄文を読んでいただき、ありがとうございます。
嬉しいです。
私も、いつも常連様のレポートを楽しく
拝見させていただいております。

それにしても、小山さん、2日連続で、本番とは、
本当に、タフですね。
Date: 2018/07/02/23:28:59 No.4865

Re:天衣無縫、音色の羽衣〜小山さんのラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲
まじょるか魔女
happyさま

こんにちは。
嬉しいReplyをいただいて、朝からhappyな気持ちになりました。有り難うございます。
happyさん@草加の熱いレポートから会場の熱気が伝わってきました。アンコール曲も教えていただき、予習することができました。姫路での小山さんのアンコール曲はショパンでした。会場の雰囲気などによって当意即妙にお決めになるのでしょうか。
それにしても埼玉県と兵庫県で連日演奏されるとは、小山さん皆さま本当にタフでいらっしゃいますね。サイン会ではいつもの温かい笑顔にパワーをいただきました(^o^)🎶
Date: 2018/07/03/08:35:47 No.4866

小山さんのラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲@草加松原
ぴあのふぉるて
まじょるか魔女様 happy 様 皆様

アンコール公演の一週間後、6/30(土)、
「草加市制60周年記念 NHK交響楽団演奏会」を草加市民文化会館ホールで拝聴しました。
指揮:尾高忠明さん ピアノ:小山実稚恵さん
Program:
ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 作品43 
ラフマニノフ:交響曲 第2番 ホ短調 作品27

ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」は、まさとさんが2004年2月に日フィル名曲コンサートで聴いて感激なさり、小山さんのファンサイトを立ち上げるきっかけとなった、大切な作品ですね。
この作品はラフマニノフと小山さんお二人の魅力が、確実に、濃厚に味わえて、私も大好きです。
happyさんの「嬉しさ一杯、胸一杯」のご感想にまったく同感です。
翌日、7/1(日)の姫路公演では、初めて小山さんをお聴きになったまじょるか魔女さんのご主人様が感嘆された由、至極ごもっとも!と思いつつ、やはり大変嬉しく拝読しました。
それにしても、まじょるか魔女さんのご投稿の素早さと素晴らしさにはいつも心から感動します。「魔女の勝手な脳内劇場」で作品誕生の背景を楽しくご紹介くださり、どうもありがとうございました。魔女さんは、作曲家と作品についてしっかり予習をなさってから演奏会に臨んでおられるのですね。
関西弁を話す大作曲家先生方の「天国の宴会」には爆笑しました! 秀逸です。

草加市文化会館ホールのステージ:
小山さんは、光沢のある鮮やかな青緑のドレスでにこやかに登場なさいました。
演奏開始と同時に一気に作品の世界に連れて行かれるような、鮮烈な出だしです。
短い序奏に続いて、パガニーニの主題が次々と姿を変えて展開してゆく緊張感が、たまりませんね。
そして時折、悪魔の象徴として使われているグレゴリオ聖歌の「怒りの日」のテーマも聴こえて、ゾクゾクします。

「超絶技巧、快感!」といったご様子でピアノを自在にあやつる小山さんから目を離すことができませんでした。
重厚な和音、歯切れのよい強烈なアクセント、異国情緒いっぱいの情景、全部ステキですね。力強いオクターブの連打、湖面のさざ波のような細やかな音の粒、慈しみあふれる優しい歌… その全てに小山さんの深い思いが込められて、音楽が生きています。

尾高さんの指揮は、どちらかといえば感情の起伏が抑えられた淡白な印象で、N響さんは整然とした響きで応えていたように思いますが…
もしかするとそれで、小山さんの音色がいっそう映えるのかもしれません。
素晴らしい音楽に引き込まれ、心は遠くロシアへ運ばれました。

どことなくおどろおどろしい第17変奏を経て、いよいよあの第18変奏へとつながります。小山さんの情感あふれる演奏に胸を締め付けられました。本当に美しいですね。
パガニーニの主題の「反行形」で書かれた旋律なのですね。
なんだか、「青は藍より出でて藍より青し」みたいですね。

この変奏は単独で奏されることも多いようですが、やはり曲全体の流れの中で聴くのがいいですね。
第18変奏の美しさがこれほど心に沁みるのは、ここに至るまで、第1 変奏から直前の第17変奏までずっと、陰りのある音楽で、不穏な様相が描かれてきたからではないか、と思います。
第18変奏は、重苦しい曇天や恐ろしい嵐の後に突如現れる、青空。
さまざまな苦難を乗り越えてようやくつかんだ幸せの瞬間だから、その晴れやかな美しさがいっそう際立つのだと思います。
小山さんのドレスの色は、この第18変奏のイメージにぴったりです。

一変して快活な第19・20変奏と、華麗なピアノ演奏が素晴らしい第21変奏を経て…
第22変奏、オーケストラと掛け合いの後、オクターブの連打に入る直前、小山さんが「さぁ、いくわよ!」という表情をなさり、心を打たれました。決意のみなぎった音色を作るには、やはり気持ちの込め方が大事なのですね。

曲の終盤、「怒りの日」のテーマが巨大に膨れ上がり、とうとう悪魔の勝ちか?と怖くなりますが、最後にパガニーニがもう一度チラッと現れて、あら?と思わず頰が緩んでしまいました。

会場の拍手は曲と同じに、熱く盛り上がりました。
小山さんのアンコール曲:
セルゲイ・ラフマニノフ作曲:13の前奏曲 op.32よりNo.5
なんと愛らしい慎ましやかな曲でしょうか。優しい音色が心にしみ入ります。

プログラム後半の交響曲第2番は、喜びに満ちあふれ、高貴な香りのする作品でした。
特に第3楽章の美しい旋律には心を奪われました。
ピアノ協奏曲第2番に似たような音形も、時々聴こえます。
曲の終わり方もそっくりでした!

オーケストラのアンコール曲:
エドヴァルド・グリーグ作曲:過ぎにし春
「ロシアと同じく寒い国、ノルウェー、ベルゲンの作曲家グリーグの作品…」とマエストロ尾高さんがご紹介くださいました。

弦楽器の清楚で美しい響きに引き込まれました。
(初めて聴く曲で、原題も中身も知りませんでしたが…)
静かな祈りの音楽に聴こえました。
曲が終わった後の長い静寂も、感動的でした。
このアンコール曲の演奏を拝聴して、尾高さんは北欧の作曲家の作品が特にお好きなのかもしれないと感じました。

小山さん、尾高さん、N響の皆様、どうもありがとうございました。
連日のご公演、ほんとうにお疲れ様です。
小山さん今回もサイン会を開いてくださり、どうもありがとうございました。
今月は、ラヴェルのピアノ協奏曲と、オールショパンプログラムのリサイタルを、また楽しみにしております。
ファン仲間の皆様、またご一緒できますように。
猛暑の折、小山さん、皆様、どうぞご自愛くださいませ。
Date: 2018/07/03/17:01:04 No.4867

Re:天衣無縫、音色の羽衣〜小山さんのラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲
happy
ぴあのふぉるて 様

お読みいただき、ありがとうございます。
流石、ベテラン組は、とってもお詳しいですね。

ホールの真ん中あたりに座っていた私は、
それほどよく小山さんの表情を見ることは
出来なかったのですが、
ぴあのふぉるてさんは、前の方に
座っていらしたのでしょうか?

ソロも、コンツェルトも、また機会があれば
聴きに行きたいです。
Date: 2018/07/04/23:16:24 No.4868

Re:小山さんのラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲@草加松原
ぴあのふぉるて
happy 様
早々に温かなリプライをいただき、どうもありがとうございます。
いえ、そんな。いつも長たらしくてスミマセン…。
座席は、中央通路より後ろの右のほう、20列-29番 でした。
9月の室内楽のコンサートも楽しみですね。
またいつかご一緒できますように。
Date: 2018/07/05/00:04:14 No.4869

Re:天衣無縫、音色の羽衣〜小山さんのラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲
土の器
姫路でのコンサート、まさかのその日のうちのご投稿とは!
もう暑さなんてどこかへ吹っ飛んでしまう思いで、拝読致しました。

今年はドビュッシー没後100年と言われながらも、まじょるか魔女さんは大曲2曲、ラフマニノフのシャワーを全身に、そして体だけでなく脳内にまでも!浴びられたのですね。
もうお話が楽しくて楽しくて、ぴあのふぉるてさんや皆様と全く同感!です。
まじょるか魔女さんは言葉の魔術師、ルツェルン湖畔で狂詩曲の着想を得たラフマニノフも、『後世僕の曲に、このような言葉での変奏がなされるとは思ってもみなかった』とびっくり、そして喜んでいることでしょう。
哲学的であったラフマニノフの鐘への思いは、人生への思い、メメント・モリ、永遠性の希求そのものであったような気がします。「怒りの日」は、モーツアルトやベルディなどにも用いられていますが、ラフマニノフは殊のほか多用しているような・・・。でも今回もその想いは確実に届けられましたね。
寸暇を縫ってご同行されたご主人様も、大変感銘を受けられたとのこと、本当に何よりです。

まさとさんが、この曲の感銘をもとにファンサイトを立ち上げられたとのこと、初めて知りました。きっかけを創られ、またずっと運営下さり、心より感謝です。(例え拝読するだけであってもm(_ _)m、です)。
『音楽は心より生まれ、心に届かなければならない』とのラフマニノフの言葉、また、小山さんのyoutube「パガニーニ・・」をご紹介頂き、有難うございます。小山さんの手の動きや表情がはっきり分かり、私はSS席独占の観あり。おまけに繰り返し拝聴の付録まで!。
本当に有難うございました。
Date: 2018/07/05/11:58:59 No.4870


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