← メールマガジンもお読みいただけます。

縮小拡大

[ 掲示板のマナーについて ] [ 記事検索 ] [ 記事修正・削除 ] [ 携帯電話用URL ] [ 過去の記事 ]

はじめての方のメッセージも大歓迎です!
コンサートの感想や小山さんへの応援メッセージなどをお寄せください。
ピアノの好きのあなたに50の質問は=>こちらです!
小山実稚恵さんのピアノで聴きたい曲は?=>こちらです!

お名前 ※ハンドル名(ネット上の仮名)で構いません。
メール ※未記入で も構いません。
U R L ※未記入でも構い ません。(ブログの U R Lも可能です)
Icon Icon
タイトル
メッセージ
A,FONT,Bタグのみ使用できます
文字色
投稿キー 投稿キー を右の欄に入力してから”書き込みボタン”を押して下さい
パスワード
※パスワードを設定しておくと削除、編集が出来ます。


[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] [24] [25] [26] [27] [28] [29] [30] [31] [32] [33] [34] [35] [36] [37] [38] [39] [40] [41] [42][43] [44] [45] [46] [47] [48] [49] [50] [51] [52] [53] [54] [55] [56] [57] [58] [59] [60] [61] [62] [63] [64] [65] [66] [67] [68] [69] [70] [71] [72] [73] [74] [75] [76] [77] [78] [79] [80] [81] [82] [83] [84] [85] [86] [87] [88] [89] [90] [91] [92] [93] [94] [95] [96] [97] [98] [99] [100]


迷い、もつれ、ざわめき・・・ くすんだ水色を透かして、それでも生きてゆく
まじょるか魔女
大阪:いずみホールで「音の旅」を拝聴しました。

今回のテーマカラーは「くすんだ水色」。
グレイッシュ・ブルーは個人的にも惹かれる色です。
スカイブルーのようにスカッとはしていない、不透明感をたたえた水の色。

大阪新音プロジェクトの皆さんは、今回もパワー全開。
ホール入口で水色の折り紙で作ったリボンをいただきました。
裏に両面テープが付いていて、衣服に付けられるようになっています。
「手作りですか、皆さん熱心ですね」と声をおかけしたら、
「私ら、小山さんのプロジェクトなんです。こんな形で応援してるんですよー」と
パワフルな大阪のオバチャンが応えてくださいました。

小山さんは、雨のなかの紫陽花のような滲んだブルーのドレスで登場されました。

◆J.S.バッハ: カプリッチョ「最愛の兄の旅立ちに寄せて」
小山さんのお話によると、馬を使っていた当時の旅は、もう二度と会えないかもしれないという気持ちと
旅への気持ちの高まりが複雑な心情となっていたのでは・・・と。
兄と一緒にいたい気持ちと、はなむけの気持ちが交錯したまま聴こえてきます。

◆シューマン:フモレスケ
以前、篠村友輝哉さんが次のように仰っていました。
・・・シューマンの魅力は「迷い」、「もつれ」ですね。感情と感情の狭間で繊細に揺れ動く心、隠された想い・・・
まさに人間らしい作曲家がシューマンなのだと思います。
『フモレスケ』はそんなシューマンらしさが特に感じられる作品だと個人的に思っています。・・・

五線譜に シューマンの日記を著したような印象です。
書店の息子として生まれたシューマンは、小説を書くように作曲したのでしょうか。
すりガラスを通しているように、見えるようで見えない未来。
完全には閉ざされてはいないけれど、プリズムで屈折されるような思い。
あーでもない、こーでもない、と シューマンがつぶやく「フモレスケ(ユーモア)」とは言いながら、
笑えない躁鬱的な本心をも忍ばせる彼の本領発揮と受けとめました。

揺れ動く心情の吐露に、聴く者は自由に思いを重ねることができます。
とさまさんから教えていただいた楽譜付きYou Tube で知ったのですが、楽譜が3段になっている箇所があって、
真ん中の段は「心の声」と題され、演奏はされないのですね。
演劇の脚本のよう・・・なんてシューマンらしいのでしょうか。
「心の声」を行間に秘めた 小山さんの鍵盤にすいつくようなタッチ、第3部の信じ難いオクターブの奔流、
あまりにも振れ幅の大きいこの曲に没頭される 小山さんの指先からいろいろな声が聴こえてきました。

◆アルベニス:入り江のざわめき
明るい水際の風景のみならず、陸から離れていくものへの複雑な思いを感じます。

人は迷いながら生きていく。
足がもつれても、心がざわついても、それでも生きていく。

◆ショパン:ノクターン 第17番 ロ長調 作品62-1
小山さんのお話によると、アルベニスとショパンは冒頭がアルペジオであることが共通点。
アルベニスはアルペジオがそのままリズムとなり、ショパンは思いの象徴となっている、と。
ショパンのトリルは浮遊感に溢れ、屋外に置かれた思い出のアルバムのページが風にめくられそうになっている風景がうかんできました。

◆シューベルト:ソナタ 第19番 ハ短調 D.958
死の2か月前から、19番、20番、21番と3つのピアノソナタを一気に生み出した シューベルト。
宝塚でも公演されたミュージカル「エリザベート」。黄泉の帝王Tod は、ドイツ語で「死」「死神」を表す単語で、
彼とダンスすることはすなわち「死」を意味します。
抽象概念を擬人化するヨーロッパ諸語の慣行によっているとのこと。
この曲は、シューベルトとTodとの「死の舞踏」の始まり。Tod に許されたわずかな時間で残り2曲のピアノソナタを書き上げたのですね。

第1楽章。死の淵を覗きこむような厳しい旋律。聴くこと自体に覚悟を問いかけるような、小山さんの打鍵。
文字通り、生き急いでいるようなフレーズが胸に迫ります。
第2楽章では天国を夢想し、第3楽章では今までの生の支えをかみしめているような、
最終楽章では死の受け入れ方を模索しているかのような音幅の広い疾走、万華鏡のような転調の揺れ、
決意と迷いがもつれたまま曲が閉じられます。
これはシューベルトの遺書そのものではないでしょうか。
青白く光る命の残り火のような凄まじさをはらんで、小山さんの全身がシューベルトと共に歌う「嘆きの歌」。
(小山さんに珍しいと感じたのですが、腰を浮かして全身の打鍵を数回されたのです)
小山さんの演奏が天上に響いて、シューベルトは深く頷いていることでしょう。

弾き終えて立ち上がられた 小山さんの表情。
いつもの柔らかな表情とは違っていたのです。
「シューベルトの一音一音すべてが、いたたまれないほど好き」というお気持ちがあらわれていて、また泣けてしまいました。

そして、アンコールの シューベルト:作品142-2
シューベルトがお隣に佇んでいるような気配さえ感じました。

本日の曲目は、様々な作曲家でありながら、すべて繋がって聴こえました。
小山さんの「18回を重ねた旅の中から見えてくるのは一筋の道。最終回まで静かに迷わず進む一本道です。」の
お言葉が強く伝わってきた曲群でした。

とさまさん、@大阪のかけがえのない時間を共有させていただき光栄でした。
仙台での演奏と違う部分があったとのこと。生演奏のその場限りの貴重な醍醐味ですね。

皆さまと共に、小山さんの一本道をついていける幸せをかみしめています。
Date: 2015/06/22/00:33:09 No.4352

Re:迷い、もつれ、ざわめき・・・ くすんだ水色を透かして、それでも生きてゆく
とさま
まじょるか魔女様
小山さんのファンの皆様

大阪いずみホールで、大阪のファンの皆様とまじょるか魔女さんとご一緒に小山さんの素晴らしい音楽の創造の場に居合わせることができた幸せを噛み締めています。

まじょるか魔女さんの題目:「迷い、もつれ、ざわめき・・・ くすんだ水色を透かして、それでも生きてゆく」・・・・小山さんによる今回の独創的なプログラミングの本質を何と適確に表現していることでしょうか!小山さんが創造された音楽の世界を余すことなく言葉で表しているように思います。

目が覚めるような新鮮な音の響きのバッハに始まり、万華鏡のように千変万化する感情を表現する楽器としてのピアノの魅力が最大限発揮されたシューマン、活躍した時代に全く重なりのないアルベニスとショパンの作品における時空を超えて繋がるかのような不思議な調和を経て、シューベルトの想いが最高の音楽的感興を伴って表現された小山さんの渾身の演奏に至るまで、本当に不思議なことに、まじょるか魔女さんのお言葉「本日の曲目は、様々な作曲家でありながら、すべて繋がって聴こえました。」のように感じました。

各曲に対するまじょるか魔女さんの素敵なご感想をお読みになれば、これからオーチャードホールと札幌きたらホールで小山さんの第19回音の旅をお聴きになる皆様にとって、きっと期待が益々膨らむのではないでしょうか。

一般に馴染みのあるとは言えないシューマンやシューベルトの大作・・・改めて色々な演奏家のCDで聴き返して見ますと、全てが微温的であって、作曲家の想いが聴衆の心に届かないもどかしさを感じます。作曲家の想いは、小山さんの深い解釈に立脚した見事なピアニズムで表現されるのですが、作曲家への深い敬愛の情を大切にしつつ、小山さんは音楽の本質を表現するためには、四角い箱を大きく踏み出し、激しい情念を顕にされることも厭いません。まじょるか魔女さんは「小山さんに珍しいと感じたのですが、腰を浮かして全身の打鍵を数回されたのです」とご報告されていますが、シューベルトのソナタの第4楽章の分厚い和音群の強い音などは、ピアノが壊れるかと心配するほどの強い打鍵でした。シューベルトのピアノソナタ演奏の歴史の中で間違いなく最高峰に達した燦然と輝く演奏でした。

第19回音の旅はまじょるか魔女さんの次のお言葉が全てを語っています:【弾き終えて立ち上がられた 小山さんの表情。いつもの柔らかな表情とは違っていたのです。「シューベルトの一音一音すべてが、いたたまれないほど好き」というお気持ちがあらわれていて、また泣けてしまいました。】

小山さんのご活躍されている時代に生きる幸福に感謝したいです。

とさま
Date: 2015/06/22/21:11:26 No.4353

Re:
まじょるか魔女
とさまさん、素晴らしいリプライをいただき有り難うございます。

シューベルト:ソナタ第19番 第3楽章。
仙台での とさまさんの「メヌエット-トリオ-メヌエットの単純な3部形式でありながら、
随所に散りばめられた休符が不安さを助長し、ときに悲痛な響きさえ聴き取ることができます。」
とのご感想を実感することができました。

小山さんのピアノからは、演奏が始まる前・・・そして曲の最後の音符の後に、常に「無音の音楽」を
感じていましたが、楽章の最中にこれほど「無音の音楽」が胸に迫ってきたのは初めてでした。
しかも、シューベルトがしゃくりあげているかのように、不安定なまま音符と休符が交錯しているのです。

小山さんの演奏は拝聴したあとにすぐ、もっとあのフレーズを味わい、幻を確かめたい・・・と
いろいろな願いが新しく増えて、また聴きたくなってしまいますね。
Date: 2015/06/22/22:40:51 No.4354

Re:迷い、もつれ、ざわめき・・・ くすんだ水色を透かして、それでも生きてゆく
ぴあのふぉるて
まじょるか魔女さま、見事なご投稿を読ませていただきありがとうございました。とさまさんご賞賛のとおり、まず、タイトルに惹かれました。作曲家と奏者の小山さんが“音楽”で描かれたことが “言葉”で表現されて、意義深いですね。
応援プロジェクトのオバチャンの会話も楽しく描かれていて、いずみホール開演前の雰囲気が伝わってきました。
シューマンの魅力について、篠村友輝哉さんのご投稿から引用してくださったのも素敵ですね!

各作品を演奏なさる小山さんの生き生きとしたお姿と、まじょるか魔女さんの細やかなお気持ちが、美しい綾織りのように描かれてまことに素晴らしい。
併せてとさまさんのお心のこもった熱いリプライを拝見し、さらに胸が高鳴りました。
小山さんは会場ごとに、毎回、新鮮な演奏を繰り広げておられるのですね。
土曜日、オーチャードホールではどんな小山さんに会えるでしょうか。
心より楽しみにしております。
Date: 2015/06/23/00:28:10 No.4355

Re:迷い、もつれ、ざわめき・・・ くすんだ水色を透かして、それでも生きてゆく
nono
大阪いずみホールでのアンコールは、シューベルト 即興曲 作品142-2の他にも計3曲をご演奏くだいました。

 シューベルト 即興曲 作品142-2
 チャイコフスキー 「四季」から「舟歌」
 シューベルト 即興曲 作品90-2

ご参考まで。
Date: 2015/07/01/07:38:45 No.4362


▲Top

第19回「音の旅」オーチャードホールの小山さん
ぴあのふぉるて
昨日6月27日、渋谷Bunkamuraオーチャードホールで、第19回 〜思い出のアルバム〜を拝聴しました。
「くすんだ水色」のドレス、裾と襟元に金が入って高貴な雰囲気です。ステージに飾られた紫陽花などテーマカラーのお花も、小山さんの演奏を静かに見守っているようで素敵ですね。

まずは、バッハ:カプリッチョ「最愛の兄の旅立ちに寄せて」
大好きなヤコブ兄さんと離れて暮らすのが寂しくて仕方がない…小山さんはそんなバッハの心情を、思いやりあふれる音色で奏されました。
バッハはこんなに純真で柔らかい音楽も書いていたのですね。今までバッハに抱いていた楷書のような硬く厳しいイメージが一新されました。「御者のアリア」と「御者のラッパを模倣するフーガ」は、楽しく快活な中に切なさも感じられ、人間バッハの一面を見ることができました。

次は、シューマン:フモレスケ。
シューマンといえば…小山さんの「音の旅」シリーズ、プログラムにほぼ毎回シューマンの作品が含まれていることは、皆様もお気づきだと思います。毎回演奏なさるくらいだから、きっと小山さんはシューマンがお得意なのね…と思っていたのですが、それはこちらの勝手な思い込みだった!とわかり、衝撃を受けました。なぜ“毎回シューマン”なのか? 『モーストリー・クラシック』最新号(8月号)に掲載されている「ピアノと私」〜シューマンの魅力〜を、皆様もぜひお読みになってみてください。謎が解けて嬉しいと同時に、小山さんの勇気と決意に胸を打たれて、泣きそうでした。
そしてすごいのは、それにもかかわらず、小山さんが気負わずに、常に自然体でステージに臨んでいらっしゃることです。
小山さんへの尊敬の念がますます深まった今聴くシューマン作品は、格別です。
夢のような美しさと激しい緊迫感あふれる演奏に心を奪われました。あんまり素晴らしかったから、立ち上がって拍手しちゃった!と、後で姉が申しておりました。
それにしても、シューマンの揺れ動く心、その浮き沈みの激しさは、やっぱり普通じゃありませんね。気分が高揚したと思ったら、すぐに落ち込み、また次の瞬間は笑っている。もう、いったい今度は何?と思ってしまいます。
でもシューマンはそんなふうに揺れ動く自分を、意外と冷静に分析していたのかもしれませんね。こうして人を惹きつける作品が仕上がったのですから。
小山さん、いつか新たにシューマン作品を集めたCDアルバムを作ってください!
小山さんの選曲と演奏でシューマンを聴けたら最高です。

休憩時間は2階で、小山さんのリサイタルシリーズ10周年を記念した展示「小山実稚恵の世界 10年間の軌跡」を拝見しました。今までのポスター全種類、各回に配られた小冊子、ステージの記念写真の数々、木之下晃さん撮影の貴重なモノクロ写真などで小山さんの今までの軌跡をたどり、感動を新たにしました。
1階ホワイエでは、モニターに演奏の記録映像も流れて、素敵でした。(DVDとして販売されないかなぁ? 期待しています)

休憩後は、アルベニスの「入り江のざわめき」で潮風の香りと人々の熱気を感じました。今回のプログラムの中で、スペインものはちょっとしたお口直しのよう。

続くは「アルペジョつながり」のショパン:ノクターン第17番。あぁ、ショパンはやっぱり美しい。そして、いつも独りぼっち。だけど、悟りを開いた高僧の心境もかくや?というような雄大さを感じます。きれいなトリルがきらきらきらきら…美しすぎて、もうやりきれない…。

拍手が入ることなく、そのままシューベルトのソナタ第19番が始まりました。
すごいですね。シューベルトが死を目前に、不安におののきながら、あふれ出る音楽を五線譜に記したのもすごいと思いますが、残された楽譜を読み解き、シューベルトの想いを皆に伝えてくださる小山さんはもっとすごい!と思います。特に第4楽章は、急かされるように曲想が微妙に移りゆき、次々と転調して、即興的な感じがしますね。本当に、小山さんはどれほどの読譜力と記憶力をお持ちなのでしょう?
この大作を、小山さんが心からの想いをこめて演奏なさっているお姿に(お顔の表情にも)胸がいっぱいになりました。

アンコール(ファン仲間では「第3部」と呼んでおります)が、これまた心を打つ名演でした。今、シューベルトに心酔なさっていることが痛いほど伝わってくる選曲と演奏です。主人も感動しておりました。
最初に弾かれたのはシューベルトの即興曲作品142-2。静かな祈りに聞こえました。その次は作品90-2。なんて可愛らしいの! そして、会場の鳴りやまない拍手に、もう一曲、小山さんが選んでくださったのは…「ナイーブの結晶」と小山さんが表現した最愛の曲、と萩谷由喜子さんが新譜のライナーノーツでご紹介くださった、あの作品90-3でした。あぁぁ、美しい。優しい慈しみ深い演奏が心に染み込みます。「シューベルトの一音一音すべてが、いたたまれないほど好きになってしまいました」とおっしゃる小山さんのお気持ちが、そのまま音楽になっていたと思います。
小山さんと同時代に生き、小山さんの音楽をリアルタイムで拝聴できて幸せです。

演奏後、「音の旅」リサイタルシリーズ10周年記念イベント(記者会見)で、小山さんは最後にこうお話しくださいました。「音楽っていいな。ピアノっていい楽器、と思っていただくと一番嬉しい」と。なんと小山さんらしい、誠実で率直なお言葉でしょうか。
大丈夫です。小山さんの想いはしっかり届いています。いつも本当にどうもありがとうございます。
開演前、ファン仲間の皆さんや大学時代の先輩とお話しできました。ミューザ川崎(ベートーヴェン4番)と府中の森のリサイタルで小山さんファンになった先輩は、「音の旅」初参加を喜んでいました。それから「小山さんの生演奏初体験!」の友人夫妻にも会えました。小山さんのファンの輪が広がって、嬉しいです。
とさまさん、ご一緒できて光栄でした。プチオフ会もありがとうございました。

小山さん、どうもありがとうございました。また次の演奏会を楽しみにしております。
Date: 2015/06/28/21:39:19 No.4357

Re:第19回「音の旅」オーチャードホールの小山さん
とさま
篠村友輝哉様

素晴らしいご投稿を拝読しました。後日リプライさせて下さい。


ぴあのふぉるて様

いつもいつも小山さんの情報を整理しつつ、それぞれに対して細やかなコメントを付けていただき、小山さんのファンの一人として感謝申し上げます。甘えてばかりいますが、音楽界の歴史を作り上げていらっしゃる小山さんの貴重な情報をこのファンサイトに紹介していく作業は尊い作業です。ご無理のない範囲でお願い申し上げます。

さて、オーチャードホールの小山さんの公演のぴあのふぉるてさんのご感想は、いつもながら小山さんに対する愛情と尊敬に充ちた素晴らしい内容ですね。まさとさん、ぴあのふぉるてさん、篠村さん初め、このファンサイトでもお馴染みの方々とご一緒に会場で小山さんの素晴らしい演奏を聴かせていただくことができ私も幸福でした。

『モーストリー・クラシック』最新号(8月号)に掲載されている「ピアノと私」〜シューマンの魅力〜の内容に私も驚きました。ポピュラーと言えない、今回の「フモレスケ」や過去の演目に上がった「ダヴィド同盟舞曲集」あるいは「ノヴェレッテン」の小山さんの演奏は、音の旅シリーズの中でも屈指の名演として永く記憶に残りますが、なぜかくも新鮮で独創的な演奏なのか、それは小山さんが卓越した演奏家だからということだけでは説明ができないように感じていました。『モーストリー・クラシック』を拝読して理解できたような気がしています。ご紹介有難うございます。・・・・私も小山さんに「フモレスケ」と「ダヴィド同盟舞曲集」のCDをリクエストしたいです。

シューベルトのピアノソナタの演奏の素晴らしさは、ぴあのふぉるてさんの次のお言葉が全てを語っていますね:「小山さんが心からの想いをこめて演奏なさっているお姿に(お顔の表情にも)胸がいっぱいになりました。」。会場の全ての聴衆が同じ感覚を抱いたと思います。

仙台、大阪公演でのアンコールはシューベルトの即興曲から2曲演奏して下さいましたが、東京公演では、ふぉるてぴあのさんがご紹介なさっているように、即興曲を3曲演奏なさいましたね!

ぴあのふぉるてさんが「静かな祈り」と表現された作品142の2は本当に名曲ですね。主部のABA’のAの部分を小山さんは感極まって繰り返しをされました!同じアンコール曲でしたが、仙台公演、大阪公演ではすぐにB移行されたように記憶しています。「静かな祈り」のような「コラール」主題の美しさに涙を堪えることができませんでした。もう一度、Aを弾かざるを得ないほど小山さんは、シューベルトの世界に深く深く没入されていました。

作品90の3!!ぴあのふぉるてさんのお言葉「優しい慈しみ深い演奏が心に染み込みます。」はまさにその通りで、これ以上の演奏を聴くことは今後もないと思わせるほどシューベルトそのものでしたね。会場は、針が一本床に落ちても聞えてしまうほど、完全に静寂が保たれ、最後の音が減衰し、永遠の沈黙の中に消えても、なおも小山さんは身じろぎもせず、祈りを捧げるかのごとく、シューベルトの言葉と音楽を奏でていらっしゃいました。これは、奇跡と呼ぶことのできる、稀有な音楽的体験でした。

ぴあのふぉるてさんのご感想【「シューベルトの一音一音すべてが、いたたまれないほど好きになってしまいました」とおっしゃる小山さんのお気持ちが、そのまま音楽になっていたと思います。】における【音楽】は、沈黙における祈りも含まれているのだと思います。

北海道の皆様は、7月2日の小山さんの札幌公演を是非お楽しみ下さい。本当に素晴らしい音楽が皆様の心の襞に染み渡ることでしょう。

皆様お元気でお過ごしください。

とさま
Date: 2015/06/29/23:43:34 No.4360

Re:第19回「音の旅」オーチャードホールの小山さん
nono
大阪いずみホールでのアンコールも3曲で、曲目は次の通りした。

 シューベルト 即興曲 作品142-2
 チャイコフスキー 「四季」から「舟歌」
 シューベルト 即興曲 作品90-2
Date: 2015/07/01/07:34:27 No.4361


▲Top

NHK Eテレ・クラシック音楽館のテレビ放送予定です。
管理人@まさと
ファンの皆様へ

いつも素晴らしい書き込みをありがとうございます。
返信出来ずに申し訳ありませんが、引き続き宜しくお願い致します。

ここでファンの皆さんに嬉しいお知らせがあります。

先日のN響定期演奏会の様子が放送されます。
しかも Eテレなので、皆さんがご覧頂けると思います。
どうぞお見逃しの無い様にして下さい。



放送日: 2015年8月16日(日) 9:00pm 〜 11:00pm

NHK Eテレ クラシック音楽館

「第1813回 定期公演 Bプログラム」

チャイコフスキー/ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 作品23

ラフマニノフ/交響曲 第1番 ニ短調 作品13


指揮 : 尾高忠明
ピアノ : 小山実稚恵

収録 2015年6月17日 サントリーホール

詳細はこちらです。
  ↓
http://www.nhkso.or.jp/concert/search_broadcast.php?hoso_date=20150816
Date: 2015/06/29/11:08:21 No.4359


▲Top

不安と迷い
篠村友輝哉
人生は、不安と迷いの連続である。明日はどうなるかわからないという不安。たとえ幸せであったとしてもそれがいつまで続くのかわからない不安。どちらの道に進むのがいいのかわからない迷い。
明るい音色の奥に、いたたまれない心情を漂わせたバッハ『カプリッチョ変ロ長調』で幕を開けた昨日の小山実稚恵さんのリサイタルは、そうした不安と迷いに満ちた作品が多く選ばれた。
例えばシューマン『フモレスケ』の冒頭、ふと突然こみ上げてきた苦しみや切なさを、ためらいがちに最弱音で奏でる。静かに夢想の世界へと入り込んでいくシューマンの脆い姿が浮かんだ。自らの感情の移ろいに耽溺してゆくシューマンは、不安も迷いもすべてを吐き出している。その想いを全身で受け止めた小山さんの表現は、鮮烈な個性を放ちながらシューマンの声をつぶすことはない。小山さんの個性は、あくまでもシューマンの声を通すフィルターとして働いているからであろう。
後半の鮮やかなアルペジオが耳をとらえたアルベニス『入り江のざわめき』、含みをもった音色が美しいショパン『ノクターン第17番』も詩情あふれる演奏であったが、メインのシューベルト『ソナタ第19番』で表出された感情の多様さはまた格別であった。第1楽章の第1音からして、そのハ短調の和音にすべてがあると思わせる深みがある。第2楽章では、優しさと美しさのあまりの切なさと不安が、痛みをはらんで歌われ、第3楽章では沈黙の恐ろしさが際立つ。駆け抜ける第4楽章、繰り返されるタランテラの主題が、つぶやくようなピアニッシモで速めのテンポで奏でられ、不安と迷いの焦燥感が胸に迫る。中間部の束の間の夢がこぼれるような音色で奏されると、より死の不安が浮き彫りになって感じられた。そして最後の2つの和音が、いくぶん控えめなフォルティシモで万感の想いが込められていた。それは、シューベルトの切ない叫びを痛いほどに感じ取る小山さんの想いの結晶なのだろう。
今に迷いや不安があるから、今回のテーマにある想い出‐過去‐は懐かしく美しく思い出される。そして、不安を感じ、迷いを重ねた分、次の道では確信をもって歩むことができる。今は過去を変え、過去は今を変えるのだ。過ぎ去った日々が与えてくれるものの尊さと、過去を背負い今を生きていく切なさに何度も何度も想いを馳せた。
Date: 2015/06/28/23:41:14 No.4358


▲Top

音楽誌に掲載された小山さんの記事情報
ぴあのふぉるて
おはようございます。あと数時間でオーチャードホール!と思うと、今朝は気もそぞろなのですが…その前に、音楽誌に掲載された小山さんの記事をお知らせいたします。
小山さんは演奏活動の合間に、様々な活動をなさっていますね。プレトークでお話しされたり、メディアの取材を受けたり、異なる分野で活躍されている方と、あるいは同じ音楽仲間の方と対談をなさったり、連載記事を書かれたり、新たにイベントを企画なさったり…本当に素晴らしいですね。

『音楽の友』2015年7月号
p.186コンサートレヴュー 青澤唯夫さんのご執筆
 4/18 サントリーホールの記念演奏会の評とお写真を拝見し、当日の繊細なショパン2番と、白熱したラフマニノフ3番を思い出しました。

同 「演奏会案内」p.08
文化庁委託事業「次代の文化を創造する新進芸術家育成事業」
新進演奏家育成プロジェクト P. 小山実稚恵
ピアノ協奏曲による公開マスタークラス(受講生募集)
 小山さんにピアノ協奏曲のレッスンをしていただけるなんて、素敵ですね!
プロの演奏家をめざしていらっしゃるお若い皆様、ぜひ申し込まれると良いと思います。申込み・お問合せ:公益社団法人 日本演奏連盟
電話:03-3539-5131 http://www.jfm.or.jp

同 p.36〜39 連載 小山実稚恵 対談「脱力の極み」vol.7
お客様:荻原健司さん(北野建設スキー部ゼネラルマネージャー)
元スキー・ノルディック複合選手の荻原さんと、本番前の緊張感、ワックスマンと調律師、筋肉繊維のこと等お話が弾み、楽しい報告記事になっています。

荻原さんは小山さんの質問にお答えになる時、まず小山さんのご質問内容に共感を示すお言葉をおっしゃってから、お話を続けておられます。すごく優しいですね。(この対談で、このような受け答えをされる方は初めてなので、たいへん嬉しく拝見しました) お二人のお写真も、対談の和やかな雰囲気が伝わって、素敵です。

『モーストリー・クラシック』2015年7月号
p.85 「ピアノと私」第14回 〜ピアノの音色の作り方〜
ピアニストが(小山さんが)多彩な音色を作り出すために、いかにいろいろな工夫をされているかがわかりました。「こういう音が欲しいと強く思うこと」に始まり、様々なタッチ、ペダルの踏み方、楽器、空間、など、ほんとに様々な要素が組み合わさって、その人固有の音色が作られるのですね。

同 p.113 仙台で8月に開催の「こどもの夢ひろば“ボレロ”」の記者会見
小山さんが長年温めてこられた企画がこの夏、ついに実現するのですね。子ども達のワクワク体験が、将来の夢につながるきっかけになりますように…。

同 公演Reviews p.144
4月18日 サントリーホール 小山実稚恵デビュー30周年記念「春」
萩谷由喜子さんによる、演奏会の鮮やかで温かな評。演奏会の様子と小山さんの音色が文章で再現されて、嬉しいですね。

同 p.169 CD&DVDジャンル別に新譜をCheck!5月
「室内楽・器楽」 選者は伊熊よし子さん
シューベルト:即興曲集
「シューベルトの内なる感情に迫り、詩のように描く」と賞賛。特に「作品90-3が比類なき美しさを放ち、聴き手の目を潤ませる」と絶賛されています。

バックナンバーになりますが、『モーストリー・クラシック』2015年5月号
p.87 「ピアノと私」第12回
 〜ショパン ピアノ協奏曲第1番、第2番 直截さと普遍的な美しさ〜
若いショパンが書いた2つの協奏曲に小山さんが感じること、パデレフスキ版や2010年に出版されたナショナル・エディションのこと、「さりげない究極の美」を表現する難しさ、などが濃やかに綴られています。
 来月、ミューザ川崎で「ショパン・華麗なるコンチェルト」を拝聴する前に、もう一度熟読したいと思います。

番外:『ショパン』7月号おたよりカフェテラスに拙文が載りました。テーマは「新年度から始めたこと」。(ロシア語、西宮のサイン会で役立ちました!)
Date: 2015/06/27/10:05:59 No.4356


▲Top

FMで生放送少しだけ聞きました。
ピアニスト
渾身のレポートありがとうございます。このサイトよく拝見させてもらっています。今月のオーチャードホールのチケットを最近は毎日握りながら眠りにつく中年音楽ファンです。
実はこのサントリーホールのコンサートは知りませんでしたが、偶然会社からの帰路FMを聞いていたところ、最後のアンコール曲だと思いますが、小山実稚恵の生ラフマニノフを聞くことができました。スマホで今はラジオが聴けますので、私はよくスマホで聞きながら通勤しています。スマホの画面にN響で小山実稚恵の演奏だということがわかりまし
た。偶然とは言えびっくり(≧◇≦)しましたが、スローな優しくもあり、厳しくもある繊細な演奏がスマホを通して聴くことができ大変感激しました。NHKってスゴイですね、やっぱり。
いえ、とにかく、もっと最初から聞きたかったと後悔もしつつ、多分テレビで放送もするだろうから、それを録画し忘れないようにと頭にいれつつ、今メッセージを書いています。私は27日のオーチャードホールと、翌週のミューザ川崎でのショパンに行く予定です。ラジオで生演奏を聴くことが出来、はやる気持ちを抑えつつ、楽しみに2つのコンサートに行きたいと思います。
Date: 2015/06/19/23:42:51 No.4350

Re:FMで生放送少しだけ聞きました。
とさま
ピアニスト様へ

FM生放送で小山さんのアンコールのラフマニノフの前奏曲をお聴きになられたのですね。ピアニスト様がお感じになられた「スローな優しくもあり、厳しくもある繊細な演奏」は小山さんの演奏の特徴をよく表していますね。私もうっとりしながら聴いていいました。まさとさんのご報告によれば、テレビカメラが入っていたとうことですので、楽しみですね。

チケットを握りながらお休みなられるお気持ち凄くわかります。私は、オーチャードに伺う予定にしていますので、ピアニスト様と同じ会場で、ご一緒に小山さんの演奏を聴かせていただくことを楽しみにしています。

とさま
Date: 2015/06/20/23:39:27 No.4351


▲Top

6/17 N響定期公演(小山さんのチャイコ1番)、NHK FM生放送で拝聴しました!
ぴあのふぉるて
私も、17日(水)の夜、NHK FM生放送で、小山さんのチャイコフスキー第1番を拝聴しました。ラジオですが、小山さんのピアノの音色がすぐそこに聞こえて、臨場感いっぱいでした。
小山さんは力強くて優しくて、想いがあふれて、素晴らしかった。感涙です。
超絶技巧満載の難曲であることを感じさせない完璧な技倆と、柔らかな抒情あふれる歌と、オケとの対話、すべてに心を打たれました。高度なテクニックがなければ弾けない曲だと思いますが、小山さんは鮮やかな技巧を極めるのと同じくらい、抒情的な曲想のところにも心を砕いておられることがよくわかりました。ほんとに美しく歌われていましたね。

あまりに素晴らしい熱演に、(団員さんと会員さんには誠に失礼ながら)「小山さんは N響定期公演にはもったいない…」と独りごちてしまいました。
そして、定期会員である両親と義兄は、サントリーホールで小山さんの生演奏を拝聴し、大興奮したのでした! その夜、父母から速報電話が入ったことは言うまでもありません。
母:素晴らしかった〜! 感動して、最後のところはゾワゾワと鳥肌がたったわ。(普段はめったにそうならない…)
父:本当に、彼女はたいしたもんだ…(涙)(父は涙もろいのです。感極まって、すぐ泣く…)

義兄が帰宅後に姉に報告したところによると、「N響団員が熱くなって、一生懸命演奏していた」そうです。「演奏後、団員が皆ニコニコしていたよ。小山さんN響メンバーにも好かれているんだね…」
やっぱり、小山さんはオケの皆さんを本気にさせるソリストなのですね。

アンコール曲、ラフマニノフ:前奏曲ト長調 作品32-5も素敵でした。コンサート後半のラフマニノフ作品(交響曲第1番)につながり、静かな優しい曲だからクールダウンもできる。この気配りは、さすが、小山さん。ゲストの音楽学者の方(一柳富美子さん)も「素晴らしい選曲ですね!」と感嘆なさっていました。

このFM生放送について、最近小山さんファンの仲間入りをした、又はこれからファンになりそうな友人たち数名に知らせてあったのですが、放送後、皆から感謝と喜びのメールやラインが届きました。小山さんの素晴らしい演奏を皆さんにも聴いてもらえて本当によかった!

明後日は大阪いずみホール。来週27日(土)は待ちに待ったオーチャードホール!と演奏会が続きますね。小山さん このところタイトスケジュールでお忙しそうだけど…と勝手に心配しております。
小山さん、そして小山さんを支えるチームの皆様、どうぞくれぐれもお身体お大事にお過ごしくださいませ。

まさとさん、いつも温かな演奏会レポートと素敵なお写真を、どうもありがとうございます。来週お会いできるのを楽しみにしています。
Date: 2015/06/19/15:37:49 No.4348

Re:6/17 N響定期公演(小山さんのチャイコ1番)、NHK FM生放送で拝聴しました!
とさま
ぴあのふぉるて様へ

素敵なラジオ鑑賞のご報告に加えて、実際に会場で小山さんの演奏をお聴きになった方の感想等をお知らせいただき嬉しいです。名寄での札幌交響楽団の団員がそうだったように、義のお兄様が仰った「演奏後、団員が皆ニコニコしていたよ。小山さんN響メンバーにも好かれているんだね…」のお言葉は普遍的ですね。そしてぴあのふぉるてさんが仰る「やっぱり、小山さんはオケの皆さんを本気にさせるソリストなのですね。」は本当にその通りですね。

小山さんの素晴らしさを一人でも多くの方に知っていただくために、ぴあのふぉるてさんがお知り合いの方々に連絡されたとのこと、そして予想通りの反響!嬉しいですね。

私も、小さなラジオで聴かせていただきましたが、ピアノの音がくっきり美しく聴こえ、感激しました。ラジオだからこそ、かえって演奏の良否が明確に伝わってきました。

まさとさんのレポートも拝読させていただきました。写真も含めて、感動のおすそ分けをさせていただきました。有難うございました。

とさま
Date: 2015/06/19/21:37:41 No.4349


▲Top

「音の旅」仙台の報告〜その2〜
とさま
小山さんのファンの皆様

音の旅@仙台における小山さんのシューベルト名演奏のご報告です。

シューベルトのピアノソナタ第19番ハ短調D958はベートーベン的であると言われます。確かに、その調性や主題(動機)あるいは全体の構成にベートーベンとの共通点を見出すことができますね。しかしながら、小山さんは、この作品がベートーベンとは全く異なるシューベルト独自の世界を築いているだけでなく、「交響的ソナタ」と呼ぶべき新しいピアノソナタの世界を切り開いた大変な名作であること・・・このことを私たちに初めて開示して下さいました。私が小山さんの演奏から聴いたのは、紛れもないシューベルトその人の心の歌(声)であり、そしてシューベルトから強い影響を受けたオーストリアの大作曲家ブルックナーの交響的な響きや沈黙(休止符)の美でした。本当に驚くべき体験でした。

「リート(歌曲)の王様」と敬愛されるように、シューベルトは31年という短い生涯に600曲を超える珠玉のリートを作曲しました。「鱒」、「アヴェマリア」、「野ばら」、「音楽に寄せて」など、思わず口ずさみたくなるような美しいメロディーのリートも沢山ありますが、晩年に書かれた連作歌曲集「冬の旅」や「白鳥の歌」には死の面影を感じさせる深刻な内容のリートが含まれおり、理性と感情の相克、諦観、慟哭など人生の深淵を覗かせるシューベルトの孤独な想いが込められています。そして、シューベルトのそのような想いが、同時期に作曲されたピアノソナタ第19番に色濃く反映しているように思われるのです。

第1楽章:冒頭のエネルギッシュなサラバンド風リズム音形はベートーベンの創作主題による32の変奏曲の主題と似ています。しかし、これは、「白鳥の歌」の中の「アトラス」(ハイネの詩による一曲)という名作歌曲を支配する音形でもあります。「この苦しみの世界全てを僕は背負っていなければならない」と歌う「アトラス」に込めたシューベルトの激しい痛みの想いこそピアノソナタの冒頭の楽想と重なるのではないでしょうか。ソナタでは直ちに、4オクターブ以上の熱狂的な下降とほぼ3オクターブに及ぶ巨大な上昇とが続きます。この激しい立ち下がりと立ち上がりは、まるでソナタ全体のフレームワークを決めるかの如くに聞こえます:すなわち生死の対峙です。

沈黙(休符)の後、何とも柔和で美しい第2主題がまるで別世界からすうっと登場します。小山さんは、この沈黙の時間、微動せず、鍵盤に想いを寄せていらっしゃいました。小山さんの音楽家としての表現に息を呑んだ瞬間です。小山さんは提示部を繰り返すことで、この一連の音楽的想念の本質に更に深く立ち入られ、聴き手をシューベルトの唯一無二の世界に誘って下さいました。小山さんは、展開部の激しい強弱のコントラストや半音階スケールに恐るべき集中力を示されました。聴き手に恐れや慄きを想起させる小山さんの演奏から、木枯らしの中を旅する孤独な若者を描いた「冬の旅」を思い起こさずにはいられませんでした。

第2楽章:暖かい4声部の密やかな祈りの歌が、小山さんの手にかかると、これ以上ない美しさで表現されます。余りにも自由な転調が、ある種の浮遊感や不安感をもたらす楽章です。しかし、途中16分音符の連打の部分では、小山さんの打鍵は楔を打つが如く、想いがいよいよ深まる感を呈し、やがて尾を引くかのように静謐で感動的な終結部に聴き手を導いて下さったのでした。

第3楽章:メヌエット-トリオ-メヌエットの単純な3部形式でありながら、随所に散りばめられた休符が不安さを助長し、ときに悲痛な響きさえ聴き取ることができます。前2楽章からとかく浮きがちなこの楽章を音楽的断絶なく小山さんは見事に奏されました。

第4楽章:ABCABA形式の700小節を超える巨大な楽章、難曲ですね。Aの部分は、ベートーベンのピアノソナタ第18番変ホ長調の第4楽章と同じ「タランテラ」。しかし、何と大きく進化した次元の異なる「タランテラ」でしょうか(ベートーベンの作品をシューベルトの作品と並べること自体に意味がないですね)。美しい音、曖昧さが皆無な一つ一つの音、芯のある音を700小節余り引き続ける小山さんにただただ畏敬の念をいだかざるを得ません。この楽章も目まぐるしく転調し、同じAやBであっても音形が微妙に異なり、しかも全てに必然性があるのですから、誠に驚嘆すべき音楽ですね。

転調と言えば、Bの部分のイ短調・ハ短調・変ホ短調と言った大胆極まりない転調など、唖然としますが、ここの部分を聴くと、「冬の旅」の第20曲「道しるべ」(美しくも儚い歌です!)での全く同じ転調を想起せざるを得ません。恐らくシューベルトは「道しるべ」で示した想いをソナタに反映させたかったのではないでしょうか。「道しるべ」の詩の一節に「僕は微動もせずに道しるべを眺めている。僕はこの道を進まなければならない。誰一人として生きて戻ってきたことがないこの道を。」とあります。何と悲しい詩でしょうか。小山さんは「生きることを急いでいるようなこの楽章は、シューベルトが無意識に死を予感していたとしか思えない。」とプログラムに書かれていますが、まさにその通りでしょう。

軽やかな動きのタランテラと対照的な分厚い和音群の音圧があるかと思えば、思索的な楽想や安らぎの楽想にも事を欠かず、さらに意表をつく大胆な転調や突然の休止(沈黙)にも充ちたこの楽章はシューベルトの天才性が遺憾無く発揮された名作として、一生大切にしたい音楽だと、小山さんの演奏を聴かせていただき、初めてそう思えるようになりました。

第21番変ロ長調D960と比べて第19番ハ短調D958の評価はやや低く、それを反映して演奏頻度も低いように思います。それでも、シューベルト好きの私は、実演や多くのCDを通じてこの曲(D958)を聴いてきましたが、この曲の真価を伝える演奏に出会うことがありませんでした。シューベルト演奏の世界的権威と言われるピアニストの演奏からもシューベルトの本質は私の心に届きませんでした。そしてついに小山さんの演奏を聴かせていただき、ようやくこの曲の本当の素晴らしさと偉大さを思い知ることができたのです。これほど演奏の質が楽曲の評価に影響する曲も無いと思います。この曲を初めて聴いたのが50年前!やっと本物のシューベルトに出会えた喜びに打ち震えています!

ベートーベンを尊敬しつつ、ベートーベンとは全く違った作曲技法でピアノソナタというジャンルに新しい金字塔を打ち立てたシューベルト、ブルックナーやマーラに多大なる影響を及ぼしたシューベルト、そして偉大だけれども、そのリートがそうであったように、私たちの心に常に寄り添ってくれる温かくて優しいシューベルト・・・・「シューベルトの一音一音すべてが、いたたまれないほど好きになってしまいました。いつくしむような優しさは、柔らかく深く痛みを持っていて・・・それが感情のたわみと寄り添って心の動きと重なる。一粒の音、一つの和音、その響きに胸がいっぱいになります。」と小山さんはプログラムで語っていらっしゃいます。

そうです、小山さんの持って生まれた才能、卓越した音楽性と技術、全ての音への慈しみと音楽への強い想いを基盤に、デビューされて30年間の演奏活動を真摯に続けてこられた小山さんの現在の境地があって、シューベルトの名作D958が生き返ってきたのです。まるで初演に立ち会って今生まれたばかりの作品を聴いた喜び、本当のシューベルトの音楽と一緒に時間を過ごせた幸せに感謝する日々です。そして小山さんにも。

どうぞ、皆様、シューマンのフモレスケと一緒に、今一番心を寄せている作曲家がシューベルトですと仰る小山さんのD958の演奏をお楽しみ下さい。

★★小山さん、アンコールで弾いて下さった2つの即興曲の演奏も絶美でした。D959、そしてD960の小山さんの演奏を聴かせて頂ける日を心待ちにしています。本当に有難うございます。スケジュールがタイトなようですが、どうぞお元気でお過ごしの上、素晴らしい音楽をお届け下さい。

とさま
Date: 2015/06/10/01:29:10 No.4346

Re:「音の旅」仙台の報告〜その2〜
オクターヴ練習中
”小山実稚恵さん ”の、シューベルトのソナタ第19番ハ短調D.958のピアノは、なんてあまく胸の中へと響いてくるのだろう、と、思いながら、聴いたのですが、人の心の歌(声)を表現していたから、なんですね。わたしには、やさしく響く、シューベルトでした。
Date: 2015/06/12/06:47:09 No.4347


▲Top
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] [24] [25] [26] [27] [28] [29] [30] [31] [32] [33] [34] [35] [36] [37] [38] [39] [40] [41] [42][43] [44] [45] [46] [47] [48] [49] [50] [51] [52] [53] [54] [55] [56] [57] [58] [59] [60] [61] [62] [63] [64] [65] [66] [67] [68] [69] [70] [71] [72] [73] [74] [75] [76] [77] [78] [79] [80] [81] [82] [83] [84] [85] [86] [87] [88] [89] [90] [91] [92] [93] [94] [95] [96] [97] [98] [99] [100]

TOP Admin
 ★ Produce by Masato ★