← メールマガジンもお読みいただけます。

縮小拡大

[ 掲示板のマナーについて ] [ 記事検索 ] [ 記事修正・削除 ] [ 携帯電話用URL ] [ 過去の記事 ]

はじめての方のメッセージも大歓迎です!
コンサートの感想や小山さんへの応援メッセージなどをお寄せください。
ピアノの好きのあなたに50の質問は=>こちらです!
小山実稚恵さんのピアノで聴きたい曲は?=>こちらです!

お名前 ※ハンドル名(ネット上の仮名)で構いません。
メール ※未記入で も構いません。
U R L ※未記入でも構い ません。(ブログの U R Lも可能です)
Icon Icon
タイトル
メッセージ
A,FONT,Bタグのみ使用できます
文字色
投稿キー 投稿キー を右の欄に入力してから”書き込みボタン”を押して下さい
パスワード
※パスワードを設定しておくと削除、編集が出来ます。


[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] [24] [25] [26] [27] [28] [29] [30][31] [32] [33] [34] [35] [36] [37] [38] [39] [40] [41] [42] [43] [44] [45] [46] [47] [48] [49] [50] [51] [52] [53] [54] [55] [56] [57] [58] [59] [60] [61] [62] [63] [64] [65] [66] [67] [68] [69] [70] [71] [72] [73] [74] [75] [76] [77] [78] [79] [80] [81] [82] [83] [84] [85] [86] [87] [88] [89] [90] [91] [92] [93] [94] [95] [96] [97] [98] [99] [100]


「ハンマークラヴィーア」ソナタの第3楽章の小山さんの演奏
とさま
 小山さんの12年に渡る壮大な企画「ピアノで綴るロマンの旅」・「音の旅」の第21回・・・いよいよ明日オーチャードホール(東京)で千秋楽を迎えます。私は、仙台、札幌、名古屋、大阪での公演を聴く幸運に恵まれました。各地で一期一会の演奏を繰り広げられる小山さんの芸格の高さに圧倒され、常に全身全霊で作品と対峙される小山さんの姿勢を目の当たりにし、小山さんへの尊崇の念が深まるばかりです。

 きょうは、ベートーヴェンの「ハンマークラヴィーア」ソナタの第3楽章「アダージョ・ソステヌート」について認(したた)めようと考えました。第3楽章は、同ソナタの白眉でもあり、人類が産み出した最も崇高な音楽と言っても過言ではないでしょう。187小節にも及ぶ長大な楽章であり、ピアニストによって、曲の解釈の幅が最も大きく振れる楽章でもあります。様々なピアニストの演奏時間を見ると、最短は韓国のH.J.リムが12分50秒、最長はドイツのコルスティックが28分42秒かけて演奏しています。同一のピアニストであっても、演奏の度にテンポの設定(演奏時間)が変わる余地のある曲とも言えます。ピアニストのコンディションに加えて、ピアノ、ホールの大きさ、残響の長さ、天候などによって、演奏の内容が変わるのは自然なことでしょう。

 小山さんは、札幌ではやや遅めのテンポを設定され、この第3楽章を推定19分で演奏され、一方、名古屋・大阪では推定17分で演奏されました。大変興味深いと思ったのは、演奏時間に差の出た(と思われる)札幌と名古屋での演奏の方により多くの共通性を感じ、演奏時間に差のなかった(と思われる)名古屋と大阪での演奏の方により多くの差を感じたことです。そこで、名古屋と大阪での小山さんの演奏の特徴・素晴らしさについてご報告致します。

 第3楽章には、2つの基幹となる要素(側面)があると思います:すなわち、【自己の内面を見つめる】という第1の基幹要素と【神との対話】という第2の基幹要素です。この2つの相対する要素が、ソナタ形式(提示部・展開部・再現部・コーダ)における各主題や経過句の楽想に絶妙に配置され、コーダでは2つが一つに融合し、永遠の時を刻むかのように感動的な終結を迎えるのです。

 名古屋での小山さんは【神との対話】の方に(わずかながら)軸足を置かれ、一方、大阪では、これもわずかだと思いますが、【自己の内面を見つめる】方に軸足を置かれたかのように聴こえたのです。誤解を恐れずに言えば、大阪での演奏は情感の想い入れが深くなり、自己の内面の声を聞き、また自己の想いを語るような、人間性をより強く感じさせる演奏に聴こえたのです。

 音楽の骨格のテンポを守る奏法=イン・テンポは、双方で変わらないのに、大阪では、いよいよ想い入れが深まり、フレーズの末尾で“わずかに”減速されることがあり、名古屋での小山さんと明らかに異なっていたのです。一つだけ例を上げてみましょう。

 第3楽章の第1主題(群)は26小節にも及ぶ【自己の内面を見つめる】ような長大な音楽を構築します:嬰ヘ短調の悲哀に充ちた陰鬱な雰囲気で始まりますが、途中、天国的とも感じられる、まるで天から光が射し込むかのような美しいト長調への転調を経て、espressivo(表情豊かに)と付された第26小節で詠嘆の極みに達しますが、その美しい歌の流れは唐突に打ち切られます。その直後に、雰囲気ががらりと変わり、スタカートのついた左手の一歩一歩踏みしめるかのような特徴的な伴奏が現れ、その上を、まるで舟歌のような美しいメロディーを小山さんは感動的に歌い継いで行かれるのです。しかし、その美しい楽節は単純な舟歌ではなく、【神を賛美する歌】でもあり、【神との対話】を感じさせる、何ものをも超越した精神状態を顕現しているかのように響くのです。この舟歌の直前のespressivoの1小節の奏楽をほんの“わずか”減速させたのが大阪公演であって、名古屋や札幌では減速はほとんどなく、拍子通り舟歌に移行されたのです。

 音楽に深く没入される小山さんは、ベートーヴェンの想いを表現するために、恐らく、無意識の中、“わずかな”減速を伴った奏楽をなさったのだと思います。そこに【自己の内面を見つめる】小山さんが存在し、小山さんは内面の声にしたがって、次なる【神との対話】を感じさせる舟歌に入る前に、“わずかな”減速により、まるで心の準備をされたかのようでした。再現部の同じ箇所で、ベートーヴェンがわざわざ長大なリタルダンド指示を与えたことに注目すれば、特段の指示のない提示部の件の箇所では、私は、減速しなかった名古屋での小山さんの演奏を好みます。しかしながら、第1主題(群)の26小節の基本テンポとそれに続く舟歌におけるテンポにほとんどぶれがないので、この小山さんの“わずかな”減速を伴う演奏は、聴き手に得も言われぬ感動をもたらしたのです。これほどまでに深い想いが音符に籠ると、その想いが聴き手の心の隅々までに沁み入ってきて、感動に打ち震えざるを得ませんでした。

 【自己の内面を見つめる】こと、そして全てを超越して【神と対話する】こと、この2つの要素は【感情】と【理性】との相剋(そうこく)のような様相を呈し、第3楽章全体に渡り、そのバランスが微妙に揺れ動いていきます。あるときは【理性】が勝り、あるときは【感情】が勝り、そのバランスが名古屋と大阪の公演で異なっていた、ということです。しかしながら、どちらかが、圧倒的優位に立つことはなく、コーダでその2つが融合するのです。

 コーダは、その美しさを形容する言葉を見いだせないほど素晴らしいです。聖なる瞬間は終わりの12小節に訪れます。神々しさを感じさせる小山さんの背後から光が射し込むかのように、まず16分音符の3連音型がクレッシェンドを伴って奏でられます。そして、低声部の3連音の美しい和声による伴奏の上に和音が格調高い調べを奏でます。ディミヌエンドで減衰し、最高音を含む和音の調べは、夜空の星のかなたに消えゆくようで感動的です。再び嬰ヘ短調の第1主題が変形された動機がウナ・コルダ(ソフトペダルを踏む)で登場し、【自己の内面】の世界に戻るかのような不安を一瞬醸し出しますが、最後の4小節では、同一音による和音を使った美しくも荘厳なる終止に到達します。小山さんは、アルペジオの最終和音の音価の割り当てに意を注がれ、聴き手の心に沁みわたる響きを創出されたのです。最後の嬰ハ(Cis)音は、永遠の時間を感じさせるかのように、長く長く響き続いたのです。

 ここでは、もはや、2つの要素は分かち難く融合し、それまでの相剋は克服され、精神(魂)は遥か彼方の天国に吸い込まれてゆくかのようです。

 千秋楽のオーチャードホールでの小山さんは、この第3楽章をどのように演奏されるか、本当に楽しみです。【自己の内面を見つめる】ことと【神と対話する】こととの対比、そのバランスは同じではあり得ないでしょう。コーダでの永遠の時を感じさせる人の心に沁みわたる楽想・・・小山さんを超える感動的演奏はないと言っても過言ではないです。明日の演奏を聴かれる皆さま、どうぞお楽しみになって下さい。

とさま
Date: 2016/06/17/23:32:23 No.4562


▲Top

未来の音楽 小山実稚恵リサイタル
山田兼士
午後2時より、大阪いずみホールにて、小山実稚恵さんの「ピアノ・ロマンの旅」第21回リサイタルがありました。全24回を12年かけて、という遠大な計画ですが、もう残りわずか。たぶん全体の三分の二ぐらいは聴いていると思います。
この日のプログラムのテーマは「未来の扉を開いて」。前半はブラームスとバルトーク。どちらも大変力強い作風ですが、小山さんの演奏は力強いタッチの中にも極めてデリケートな細部が表現されていて、感嘆しきりです。バルトークのピアノ・ソナタなんてあまり聞いたことがないのですが、こんなに素敵な曲なんだと認識。こういう発見は楽しい。
圧巻はなんといっても後半のベートーヴェン。ピアノ・ソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」です。45分の大曲で、大変な超絶技巧が必要。小山さんの演奏は、楽章ごとの特徴を実にみごとに弾き分けながら、悠々と進めていきます。特に、第3楽章の「神との対話」とも呼ばれる瞑想的なフレーズは美しさのかぎり。打って変わって、第4楽章では、これでもかというばかりの超高速パッセージを難なく、しかも的確適切に、どんどん弾いていきます。たまたま席が前の方、左よりだったこともあって、鍵盤上の指がよく見えました。目にも留まらぬ、とはまさにこのこと。興奮のうちにフィナーレ。
こんな大曲の後のアンコールはもういらないかな、と思ったのですが(以前もそんなことを書きましたね)。ここで終わらないのもまた小山流です。なんとシューベルトの即興曲を2曲。まるで加熱したベートーヴェンの興奮をクールダウンするかのように、繊細で優美な、そして静寂の響きを内包した音楽です。すごいプログラミングにも拍手。とても良い演奏会でした。これまでの21回の中でも、今回は特筆ものではないでしょうか。
それにしても、未来の音楽、というのが気になります。ベートーヴェンの時代、たしかに鍵盤楽器(ピアノ)は急速に進歩したようですが、それでも今日のピアノと比べたらまだまだ素朴な楽器でした。ベートーヴェン自身が、第29番について、50年もしたら演奏できるようになるだろう、と語ったとの逸話があります。現在の楽器では演奏不可能な音楽! そんな作品を芸術家は創造できるのでしょうか。実際に、今日のピアノでは十分に演奏可能なわけですから、ベートーヴェンの予言は当たったことになります。これを詩に置き換えることはできるだろうか、と、ふと考えてしまいました。例えば、ロートレアモン『マルドロールの歌』。書かれてからしばらく忘れられ、50年後に「シュルレアリスム」という「楽器」の誕生によって「演奏できる=読解できる」作品になった、と。これは一考の余地がありそうです。おもしろいテーマかもしれない。
深夜ワインはその「ハンマークラヴィーア」をバックハウスの古い演奏で聴きながら。もちろんCDですが。スペインの赤が美味しい季節になりました(なぜ)。

紫陽花に未来の音楽垣間見る
Date: 2016/06/13/00:34:32 No.4561


▲Top

小山さんの《皇帝》@杉並公会堂
ぴあのふぉるて
杉並公会堂開館10周年記念
日本フィル杉並公会堂シリーズ2016
小林研一郎×日本フィル ベートーヴェン交響曲ツィクルス第1回

6月5日(日)、杉並公会堂館内は関係各位より贈られたお祝いのお花がきれいに並べられて、たいへん華やかな雰囲気でした。
杉並公会堂館長 菊地一浩氏の「ごあいさつ」(プログラム冊子)には、杉並公会堂の歩みや、季節の企画の紹介、日本フィルの活動拠点であることの記述に加えて、日本フィルの桂冠名誉指揮者の小林研一郎氏と、「杉並公会堂の歩みに大きく貢献」された小山実稚恵さんへの感謝が綴られています。
最後は「お客様」への言葉でしめくくられて、この施設が地域の皆様に愛されていることが伝わってきました。

曲目もお祝いにぴったりの豪華さです。
まず冒頭に奏されたのは、明るく雅やかな交響曲第1番。
その後、舞台下手で出番を待っていたピアノが調律師さんと数名の方によってステージ中央に移されました。(2階席はホール全体が見渡せて、楽しい!)

プログラム2曲目は、小山さんの《皇帝》。
(私にとっては本日のメイン。皆様もきっと同じお気持ちでいらしたでしょう?)
開演前の(解説の方の)お話によると、このピアノコンチェルトは、作曲家ベートーヴェンと、技術開発に余念がないピアノメーカーの思いの「相乗効果」によって生まれた作品、とのこと。
それだから、ピアノの性能が最大限に生かされて、これほど魅力あふれる作品になったのですね。研究熱心なベートーヴェンに感謝をささげ、この作品の誕生を影で支えたピアノ職人さん達にも思いを馳せました。

第1楽章、タイトルのイメージどおり煌びやかな華麗な開始で、いきなり心をつかまれます。小山さんは作曲家の心に寄り添いながら、色とりどりの音色を楽器から引き出しておられました。
小山さんはピアノと一体化し、もう音楽そのもの。
この作品、小山さんの魅力を伝えるために作られたような曲ですね! 

緩徐楽章は、静謐でほんとに美しい。小山さんの潤いのあるふくよかな弱音が、2階の最後列までしっかり届き、感動します。ときには立ち止まって自らを顧みよ、と促すような密やかな音楽が心に染み入りました。
解説の方のお話によると、小山さんはこの第2楽章が特にお好きだそうです。
第2楽章の最後、第3楽章の主題が暗示するように演奏されて、新たな展開への期待が高まります… そのまま続けて奏される第3楽章は、堂々として、躍動感と生命力にあふれ、オーケストラの皆さんとの「スリルのある」掛け合いも息がぴたりと合って、素晴らしかった。
ベートーヴェンの情熱とピアノの魅力を、心ゆくまで堪能いたしました。
小山さんの《皇帝》を、今、皆様とともに拝聴できて、幸せです。

割れるような拍手に応えてお辞儀を繰り返される小山さんの、可愛らしい笑顔。
そして、小山さんの傍で団員さんに混ざって椅子にお座りになったコバケンさんのお姿に、会場は温かな微笑みで包まれました。そんな和やかな空気の中、聴こえてきたのは…「エリーゼのために」。
小山さんはこの小品を、先ほど《皇帝》を演奏なさったのと同じ情熱をもって、弾かれました。本編もアンコールもどちらも大切に演奏なさるお姿に、感動が深まります。
《皇帝》と「エリーゼのために」、作品の規模の違いこそあれ、作者が作品に注いだ思いは等しく深かったのね… 小山さんの演奏を拝聴してそう感じました。

ベートーヴェン尽くしのプログラム、後半は、交響曲第5番《運命》。
コバケンさんの思いに日本フィルの皆様がしっかり応えて素晴らしい音楽が生まれ、心を打たれました。ありがとうございました。

終演後、ファン仲間とのオフ会は感動の余韻の中、皆で燃え上がり、クールダウンどころではありませんでした。
小山さん、温かなサイン会もどうもありがとうございました。
また次の演奏会を楽しみにしております。
梅雨入りしたようです。どうぞくれぐれもご自愛くださいませ。
Date: 2016/06/07/14:40:00 No.4558

Re:小山さんの《皇帝》@杉並公会堂
土の器
早速のご投稿、嬉しく拝読させて頂きました。私は、みなとみらいが完売のため、まだ少し空きのある杉並公会堂に急遽変更したのですが、ぴあのふぉるてさんもいらしたのですね。思いは同じ、私も「皇帝」が心の真ん中にありました。
★煌びやかな華麗な開始で、いきなり心をつかまれます。
本当にそうですね。ベートーベン、日フィル、ホール改築のこけら落とし、となれば、選ばれるべくして選ばれた曲となるでしょうか、それも小山さんの演奏で!。今回の企画・演奏に携われたすべての皆様の思いが、オーケストラの第一音とそれに続く華やかなピアノの調べで開始されましたね。
小山さんはよく、ショパンの「華麗なる・・」をお弾き下さいますが、この曲は「ベートーベンによる華麗な・・」と曲名を変えても良い?と思えるほど、華やかで勇壮な音の渦の連続でした。 でもたった一語「皇帝」と名付けられたこと、まさに”言い得て”いますね。
一方第二楽章では、心の奥底に問いかけてくるようなオーケストラの旋律に誘われ、装飾音を伴ったピアノが、たった一音、”ポーン”と飛び込んできますが、たったこの一音、小山さんの音はどこまでも透き通り、さらにその後に続く旋律を予感させるような深い色合いをも秘め。もうこの一音をお聴かせ頂いただけで、コンサートに伺って良かったと、しみじみ思いました。
★この作品、小山さんの魅力を伝えるために作られたような曲、小山さんが演奏なさると、すべてそのように思えてきてしまいますね。
全く同感です。作曲家に仕えられるお思いは、作曲家の方からも、小山さんに扉を開かれ託され、小山さんのために作られたような曲となって、時空を超えて甦るのですね。逝きしお方が、今ここで新たに生命を得、無上の喜びに浸っておいでだったことでしょう。
★「皇帝と」アンコール「エリーゼのために」、作品の規模の違いこそあれ、作者が作品に注いだ思いは等しく深かったのでね・・。
ポピュラーなクラシックしか馴染のない私ですが、「エリーゼのために」は、小山さんのピア二ズムに終始し、それはまるで”アンコールのためだけにご用意された特別な曲”のよう!、誰の手にも触れることなくそぉっとしておきたいご自分のお気持ちを、「皆様とお分かちしましょうね」と微笑み、私達一人一人に語り掛けて下さっているようでした。こんな「エリーゼのために」は初めてでした。みんなが知っているこの一曲、もしこの僅かな時間に触れることができたなら、クラシックファンは更に増えることしょう。
今回図らずも日フィルの「運命」をお聴きすることができましたがこの春、小山さんが恩師田村先生のご遺志を引き継がれ、「ピアノによる運命」の演奏を感遂なさったこと、相田みつをの詩「いちずに一本道、いちずに一ツ事」と、重なって思い出されました。成し遂げられたこと、多くのご苦労もお喜びにおかわりのことと、存じ上げます。
小山さん、素晴らしい演奏をお聴かせ下さり、本当に有難うございました。「皇帝」の第二楽章、今も心に鳴り響いております。
ぴあのふぉるてさん、私の方が2日前に拝聴致しておりましたのに、また投稿のお声かけも頂きましたのに、根っからのぐずな性分ですっかり遅くなり、大変失礼致しました。どうかお許し下さい。6/18オーチャードでの音の旅、私にとって今から頭が真白々、どうなりますことやら(〃▽〃)、有難うございました。
Date: 2016/06/12/09:55:48 No.4559

Re:小山さんの《皇帝》@杉並公会堂
TOZ
杉並公会堂の演奏会から1週間が経ちました。ベートーベンの「皇帝」とショパンの「アンダンテスピアナーと華麗なる大ポロネーズ」は自分の中では「小山実稚恵ただ今参上」の2大テーマ曲になっています。あの明るく暖かい独特の響きに、「あっ、小山さんだ!」と思わず声を上げたくなるいつもの特別な瞬間です。今回もそんな小山実稚恵ワールドを心弾ませながら聴きました。公演終了後、会場の杉並公会堂から荻窪駅へ向かうバス通りと商店街を、あのきらびやかで豊かな響きを思い起こしながら少し弾むように歩いていました。その興奮が少し収まると、聞こえてきたのがアンコールで演奏された「エリーゼの為に」でした。
実は演奏会場で聞いていたとき、日本人なら誰でも知っているあの有名な旋律が、なかなかくっきりと浮かび上がってこない中、少しもどかしくも思いながら聞いていると、ふとある情景が一枚の絵のように目の前に現れました。「小さな小川のせせらぎのほとりに、エリーゼが膝を抱えてしゃがみ込んで、川底の小石と揺らめく藻を眺めています。時折川面を渡るやさしい風が、目深にかぶった帽子のレースの縁と細いリボンを微かに揺らしているだけの静かな時間。そこへ1匹の小さな魚が懸命に体をよじらせながら遡っていきます。小さな魚にとっては激流のような静かな流れ。そしてエリーゼはまた川底を眺め続けます。きっと誰かが迎えに来るのを待っているのだろうな。」
荻窪駅から新宿駅への休日の夕方近くの喧騒が、どこか遠くでの出来事のように聞こえる中、ずっと響いていたのがアンコールで聴いたとても静かな「エリーゼの為に」でした。絵は苦手だけれど、画けと言われたら画けそうなくらいに鮮やかに目の前に浮かんだ情景が忘れられません。少し絵を勉強していつか画いてみたいと思います。たとえそれがいつになろうとも、少しも薄れることなく鮮明に描けると思います。

Date: 2016/06/12/22:24:37 No.4560


▲Top

「フーガへの尊敬しかないと思います」(小山さん)@宗次ホール
ぴあのふぉるて
先週土曜日に「音の旅」名古屋公演を拝聴し、いまだ感動の余韻に浸っています。
皆様の素晴らしいご投稿を拝読し、さらにしばらく興奮が冷めそうにありません。

宗次ホールは小山さんのリサイタルに最適の大きさで、音響が素晴らしいから、ぜひいっしょに聴きましょう、とかねてより、とさまさんとまじょるか魔女さんから強くお勧めいただき、今回初めてこのホールで拝聴しました。
お二人をはじめ、covariantさん、まじょるか魔女さんのお友達のピア友さん、そして友人ご夫妻と、ご一緒できてまことに嬉しく存じました。

宗次ホールはこぢんまりとした空間で、響きが鮮やかで豊かですね。
ピアノの音が、直接、身体に届いて驚きました。それも、あらゆる方向から。
大きなピアノの中に自分もいっしょに入ってしまったような、不思議な感覚です。
いわば、音のカプセル。(No.4554 covariantさんのご感想ともつながりますね)
ホールも楽器であるということを、初めて心から実感しました。
小山さんのピアノの音に包まれて、幸せでした。

今回のプログラムは、バルトーク入りの珍しい3B(Brahms,Bartok, Beethoven)。
10年以上前にお考えになったプログラムを、そのまま変更なく実現し続けておられる小山さんの、不断の努力と、おおらかなお心構えに感嘆いたします。
24回の中で「いちばん重いプログラム」だと伺い、聴く側も心して臨みました。

《ブラームス:ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ》
前回のバッハ「ゴルトベルク変奏曲」からのつながりで冒頭に置かれたブラームスの作品。この変奏曲は、当日の小山さんのお話によると、「変奏曲の王道」「そのものズバリ」とのことです。
なるほど、雅やかな主題から始まり、それが25通りに律儀に、生真面目に展開してゆきます。小山さんは一つ一つの変奏を、大切に、慈しむように演奏なさいました。
高度な技巧が盛り込まれていると思いますが、どこか懐かしさを感じるような、温かな音楽でした。(No.4551まじょるか魔女さんのご投稿で合点がいきました。これはクララへの恋文だったのですね…)
ベートーヴェンのハンマークラヴィーアソナタより数十年も後に作曲されたのに、古風な曲に聴こえます。ベートーヴェンの作品がいかに新しかったか(新しいか)ということでしょうね。
曲の最後に「フーガ」が置かれています。

先日(5/22)、東京で開かれたレクチャーでのお話によると、フーガはいろいろと制約が厳しくて、短い作品を作るのも大変なのだそうです。小山さんはブラームスのフーガには「絶対的構築性」と「畏敬の念」を感じる、とお話しになりました。

聞き手の萩谷由喜子さんは、今回も小山さんから、いろいろなお話を上手に引き出してくださいました。例えば、演奏の難しいフーガについては…
Q:「どのようにお覚えになるの? その秘訣は?」
  そして、小山さんは即座に、迷わずお答えになりました。
A:「フーガへの尊敬しかないと思います」と。

「フーガへの尊敬」… あぁ、どこまでも謙虚で、誠実な小山さん。
小山さんのお気持ちに深く心を打たれました。
さらに、フーガを弾く場合は、自然の情景は浮かばないけれど…「声部を歌うようにしている」とのお話でした。
小山さんが演奏なさると、だからこれほど崇高で美しい音楽が生まれるのですね。
(と言いつつ、でも、フーガって何?というレベルで、心苦しく思います…)

《バルトーク:ソナタ》
テーマカラーこげ茶は、この曲からイメージされたのでしょうか。
(今回5/28のリサイタル冒頭、小山さんの作品紹介によると)
「ピアノの能力を最大限に使って… ピアノの原理(打楽器の原理)をうまく使った作品。素敵な作品」。
先日5/22のレクチャーでは「緻密なソナタ。退廃的な感じ。…」とご紹介くださいました。「第1楽章は打楽器的。第2楽章は狂気じみている。陰惨。冷たい。
第3楽章は躍動的。民族的。コケティッシュ…」それから、「リズム感が素敵」と。

小山さんはどんな作品でも、その魅力をみつけて伝えてくださるので、萩谷さんのおっしゃったとおり、聴く側も、ほんとに素敵!と思って聴くことができますね。
3/5彩の国で初めて小山さんのバルトークを拝聴し、今回2回目ですが、この作品が好きになりつつあります。力強くて繊細な、小山さんの魅力ほとばしる演奏でした。小山さんの旅のお伴を続ければ、好き嫌いゼロになれるような気がします。

(No.4552カルロス・さかのさんも小山さんの「強さの中の『繊細さ』」について書かれていますね)

《ベートーヴェン:ソナタ第29番》
「〜未来の扉を開いて〜」プログラム後半は、「ハンマークラヴィーア」。
小山さんはこの作品を「深い思い。壮大、果敢。将来へ向けての可能性…」と紹介されました。小山さんの演奏は、プログラムノートのお言葉のとおり、まさに「全身全霊」でした。
この作品を作曲したベートーヴェンは偉大ですが、このような作品を演奏なさる小山さんも、やっぱり偉大だと思います。書き記された音符や記号は、そのままでは聴衆の耳には届きませんものね。尊いお仕事です。

小山さんの演奏でこの作品を聴くことができたことを幸せに思います。
情熱的な叫びと、えもいわれぬ美しい調べに、心を奪われました。
特に、「何度か聴いているうちにこんなにいいものはない、と思う。哀しい、胸にしみる、刺さる…」と小山さんがレクチャーでお話しくださった第3楽章は、もうほんとに美しさの極みで、胸がしめつけられる思いがしました。
「ベートーヴェンと神との対話」が静かに心にしみ入ります。それはつまり(作曲家と心を通わせることのできる)小山さんと神との交信であったと、私も思います。(Nos.4551,4553のお二人のお気持ちとつながりますね)

そして、フーガの楽章は「迷いのないフーガ」(5/22のレクチャー)とのお言葉どおり、潔い、強い力がみなぎる演奏が、勇壮な音楽を生みました。
「未来を見据えて」挑戦し続けたベートーヴェンと、「やりたいことにチャレンジし続ける」小山さん、お二人の勇ましいお姿が重なります。
あまりに畏れ多くて、最後の和音の余韻を聴き終えても、すぐには拍手ができませんでした。

アンコールは、シューベルトの即興曲 作品142-2。
凄まじい本編には穏やかなアンコール。あぁ、この組み合わせの妙。
先ほどのフーガの対極にあるような曲の調べに、興奮した神経が鎮まります。
アンコール二つ目は、同じく即興曲 作品142-3。
変奏曲つながりで締めくくられ、ステキな構成でした。(変ロ長調つながりでもあったのですね!)

小山さん、素晴らしい音楽を聴かせていただき、どうもありがとうございました。
東京公演をまた楽しみにしております。
Date: 2016/05/31/09:14:15 No.4555

Re:「フーガへの尊敬しかないと思います」(小山さん)@宗次ホール
とさま
★ぴあのふぉるて様

小山さんのお言葉【フーガへの尊敬しかないと思います】をご紹介いただき有難うございます。小山さんのこのお言葉に心を強く揺り動かされました。何と深いお言葉なのでしょうか。そして、ベートーヴェンの創作に対する感嘆の念と、作曲者への深い尊崇の念を『フーガへの尊敬』と表現される小山さんへの尊崇の念は深まるばかりですね。

ぴあのふぉるてさんは、2000席クラスの大ホールであるオーチャードで小山さんの演奏を聴かれていらしたのですね。対する宗次ホールは300席の小ホール。【いわば、音のカプセル。ホールも楽器であるということを、初めて心から実感しました。小山さんのピアノの音に包まれて、幸せでした。】・・・奏者・ピアノ・ホールの三位一体感、それが小山さんのピアノの音に包まれたように感じられた要因なのですね。私も、本当に幸せでした。【音のカプセル】という表現も実に的を射ていますね。

レクチャー@東京(5月22日)での小山さんの貴重なお話しも交えて、宗次ホールでの小山さんの素晴らしい演奏のレポートをしていただき有難うございます。特にフーガについての小山さんのお言葉が題目だったのですね。【小山さんが演奏なさると、だからこれほど崇高で美しい音楽が生まれるのですね。】・・・ぴあのふぉるてさんの小山さんに対する尊敬の念が滲み出ていて、嬉しくなります。

ぴあのふぉるてさんは、小山さんの演奏でバルトークのソナタを2回聴かれたのですね。この作品が好きになりつつあると仰るぴあのふぉるてさん、【小山さんの旅のお伴を続ければ、好き嫌いゼロになれるような気がします。】・・・小山さんがこのお言葉をお読みになれば、とてもお喜びになられると思います。演奏者冥利に尽きると思うからです。素晴らしい料理をいただいて、好き嫌いが無くなればシェフが喜ばれるのと同じように。

小山さんが全身全霊で演奏されたハンマークラヴィアソナタ。【情熱的な叫びと、えもいわれぬ美しい調べに、心を奪われました。】とぴあのふぉるてさん仰るように、全て素晴らしいですね。【(作曲家と心を通わせることのできる)小山さんと神との交信であった】(ぴあのふぉるてさん)第3楽章は本当に白眉でしたね。揺らがない、ぶれないテンポ、ベートーヴェンが指示したところ以外はほぼインテンポ、長大なリタルダンドの見事なコントロール、長大なクレッシェンドやトリルに込めた情熱・・・全てが「ベートーヴェン(=小山さん)と神との対話」のために奉仕していたからこそ、このような感動的な演奏が産まれたのでしょうね。

チャレンジをキーワードにベートーヴェンと小山さんを対比させたフーガの楽章のご感想も大変興味深いです。私も最後の和音が鳴り終わった直後は涙が溢れ、拍手ができませんでした。

【書き記された音符や記号は、そのままでは聴衆の耳には届きませんものね。尊いお仕事です。】(ぴあのふぉるてさん)に深く同意します。小山さんへの感謝の念が深まるばかりですね。 

とさま
Date: 2016/05/31/22:49:56 No.4556

Re:「フーガへの尊敬しかないと思います」(小山さん)@宗次ホール
ぴあのふぉるて
とさま様
拙文にお心のこもったリプライをいただき、恐縮いたします。
一つ一つ丁寧にお読みくださり温かなコメントを頂戴し、どうもありがとうございます。
題目に掲げた小山さんのお言葉は、レクチャー前半、ヘンデルヴァリエーションのお話の中で発せられたものですので、素晴らしいフーガを書いたブラームスへの尊敬を表したお言葉だったかもしれません。しかし、きっぱりとおっしゃったこのお言葉こそ、プログラム全体を貫く小山さんのお気持ちに違いないと思い、名古屋公演でそれを確信し、タイトルとして使わせていただきました。
Date: 2016/06/01/12:15:51 No.4557


▲Top

初めての宗次ホール
covariant
5月28日、宗次ホールでの「音の旅」第21回〜未来の扉を開いて〜に、私も臨席することができました。皆様の素晴らしいご報告を拝読すると、私などはとても気恥ずかしくなりますが、小山実稚恵さんの演奏に感謝し、今後一人でも多くの方に聴いていただきたいと思うと、駄文であっても、ここに書き加えさせてもらいたい、皆様も、どしどし書こうよ、と呼びかけたいのです。 (^L^; 以下、思いつくままに書き記します。

私にはとても表現できないと思いましたが、まじょるか魔女様の表現に賛同、否今回も、舌を巻かせていただきました。そして、とさま様のご説明にも補足されて初めて、〜未来の扉が開かれた〜という意味を知ることができました。
皆様の受け止め方の素晴らしさに、この演奏家あってこの聴衆あり、身も打ち震えます。

宗次ホールは私には素晴らしいホールでした。演奏された小山さんとピアノと、我々聴衆と、そして会場もすっぽり、一体になれたと思います。ピアノの可能性を存分に引き出す曲が連なり、クライマックスがその名も「ハンマークラヴィーア」!

小山さんの24回シリーズのうち20回目から漸く臨席することが叶った私ですが、今はその幸運に、感謝し切れないほどの思いです。
そのような私の想いは、今回のベートーヴェン「ハンマークラヴィーア」第3楽章に出てくる「神との対話」、「ひと筋の光」と、ちょうど符合しています。このような喜びは比類の無いものです。ほんとうに、ありがとうございます。

今回の、特にベートーヴェン「ハンマークラヴィーア」のような、楽譜表現でも複雑・難解極まりない、しかし、少なくとも小山さんの演奏ならとても魅力的に聴くことのできる曲は、私などは、あと何回でも聴きたいのですが、残された小山さんのリサイタルに、生憎私の都合はつきません。いずみホールやオーチャードホールにいらっしゃる皆様は、どうぞお楽しみにお待ちください!
Date: 2016/05/30/00:47:16 No.4554


▲Top

はじめて拝聴
カルロス・さかの
5月28日、以前からコンサートに行きたいと思っていましたが、ようやく、小山さんのリサイタルに行きました。
こじんまりとした宗次ホール(名古屋)で聴けてよかったです。
ピアノ独奏のコンサートに行くのも久しぶりだったのです。
強さの中の「繊細さ」も感じました。
二時間のリサイタルを本当に楽しみました。
音の旅から、元気をもらいました。
音の旅に、これから参加したいです。

Date: 2016/05/29/09:41:34 No.4552

Re:はじめて拝聴
とさま
★カルロス・さかの様(No.4552):小山さんの第21回音の旅@宗次ホールにいらっしゃったのですね。【強さの中の「繊細さ」も感じました。】はまさに小山さんの演奏の本質ですね。【音の旅から、元気をもらいました。】・・・小山さんのファンの皆さま、等しく小山さんが創造される音楽からエネルギーをいただいています。小山さんは、いつ、どこでも、全身全霊で演奏に臨まれていらっしゃいます。音の旅を通じて、ご一緒に小山さんを応援して参りましょう。

★実稚恵さまの微笑み様(No.4548):第21回音の旅@福岡での小山さんの奏楽のご報告を拝読致しました。大きなスランプを克服したベートーヴェンが自身の音楽の全てを注ぎ込んだのが第29番変ロ長調作品106なのですね。交互に現れる極端なフォルテとピアノは神経を刺激し、深遠長大なアダージョ・ソステヌートは苦渋の世界を垣間見させ、そして複雑さを極めるフーガは極度の集中を強いるかのようですね・・・ハンマークラヴィアソナタは、無人島に持っていく1枚のCDに選ばれない作品かもしれませんが、ベートーヴェンはこの作品を完成して、その後は、“脱力”したかのように、ピアノソナタ第30番ホ長調作品109、第31番変イ長調作品110、第32番ハ短調作品111と言う不朽の名作を世に送りだしたのですよね。ベートーヴェンにとっても、奏者である小山さんにとっても、そして聴き手である私たちにとっても、ハンマークラヴィアと対峙し、小山さんとご一緒に時間を過ごさせていただいたことで、次なる輝かしい旅への一歩が約束されたかのような気がしています。音の旅第22回から最終回の第24回までの各回、それぞれ、作品109、作品110、作品111を小山さんは演奏して下さいますね。実稚恵さまの微笑み様が仰るように、【通常のリサイタルとは違ったプログラムの深化】も楽しみですね。

★花葉様(No.4549):チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番は小山さんの十八番のレパートリーですよね。小山さんのチャイコフスキーやラフマニノフを聴かせていただくと前向きな気持ちになることができ、元気になりますよね。大賀様ご夫妻が愛用されていたスタインウェイだったので、【いつものスタインウェイとは少し違う響き】だったのですね。ぴあのふぉるてさんが書かれているように(No.4550)、小山さんはこのピアノを使って、あの(もはや不朽の)名盤「シューベルト:即興曲集作品90&作品142」を録音されたのですね。

★ぴあのふぉるて様(No.4550):バックナンバーの改めてのご紹介を有難うございます。実にタイムリーです。このピアノを使ったからこそ、花葉さんが仰られるように、チャイコフスキーの第2楽章に合った響きが産まれたのですね。また、チャイコフスキーの作品に関する小山さんのお考え(モーストリ・クラシックの記事)を教えていただき有難うございます。小山さんは、ロシア音楽に「太古からの目に見えない繋がりのようなもの」を感じていらっしゃるのですね。小山さんがチャイコフスキー、ラフマニノフの作品を十八番にされている理由が分かりますね。有難うございます。

★まじょるか魔女様(No.4551):第21回音の旅@愛知【小山さんの意志の力に耕されるピアノという名の大地】という素晴らしい題目のご感想を有難うございます。音楽への愛情と小山さんに対する尊崇の情に溢れたご感想に深く感銘を受けています。

ブラームスのヘンデルバリエーションの冒頭主題の小山さんの奏楽の描写=【キラキラと大地に降り注ぐ陽光があたたかく射してきます。】・・・本当にその通りでしたね。同じ変ロ長調繋がりということだけでなく、その方向性に共通性があるからこそ、【ハンマークラヴィーアの冒頭ファンファーレに通じる煌びやかで肯定感に満ちた音粒がホールに満ちていきます。】と感じることができたのですね。これは素敵な発見ですね。〜300名収容の小ホールにも関わらず、音の飽和感、あるいはもやもや感がなく、主題・変奏・フーガの各声部がクリアに聴こえましたね。まじょるか魔女さんは【中間部の揺れながら下降する印象的なフレーズ。】がお好きなのですね。その印象的なフレーズも含めて、小山さんの喜びに充ちた活き活きとした奏楽を通じて、曲の素晴らしさを堪能できましたね。

ハンマークラヴィアソナタに対するまじょるか魔女様の感性豊かなご感想を大変嬉しく拝読しました。

第1楽章冒頭のファンファーレの主題に対するまじょるか魔女さんのイメージ=【深く耕された地中から、若い樹がポン!と音をたてて大地に顔を出し・・・大地からみるみる花の森ができていきます。】・・・このように考えると、この楽章の(実は)大部分を支配する温かい抒情的な楽句群は花の森であって、それを支える揺るがない低音の音符群は大地だったことがよく理解できます。
眩しいまでに躍動感に充ちた第1楽章と対照的な第2楽章が【心の闇を深くえぐります。】とお感じになったまじょるか魔女さんに深く同意します。【カデンツァ風の慟哭に悪魔的な焦燥感が塗り重ねられ、楽章がピアニシモで閉じるところに底知れない不安が残ります。】・・・小山さんの凄まじい奏楽が忘れ難いです。このピアニシモの音型がオクターブで順々に上っていくところが、なお不気味さを演出していますね。

第3楽章の小山さんの奏楽は神々しく、これほどまでに感動的なベートーヴェン演奏は、小山さんの別の会場での演奏以外に存在しないと断言できるほどでしたね。まじょるか魔女さんの、小山さんの奏楽に対する詩的な描写=【花の森の木漏れ日がさす天空で 小山さんが神様と静かに会話をされています。小山さんがピアノと一体になって、大地から天空までの豊かな連なりを導かれています。雲間から花の森まで、天使の梯子が伸びて太陽光線が降り注いでいます。天使の梯子・・・宮沢賢治は「光のパイプオルガン」と表現したのですね。】が全てを語りつくしていますね。

【第4楽章の冒頭。リストはこのフレーズに「ラ・カンパネラ」のインスピレーションを得たのでしょうか。】というまじょるか魔女さんの発見は、この曲を聴く敷居を低くしてくれますね。素晴らしいです。複雑極まりないフーガ群の中に【「第九」のドッペルフーガを彷彿とさせる、心の内のもつれる声が浮き彫りになり胸に迫ります。】とのご感想にも深く共鳴します。ベートーヴェンはハンマークラヴィアソナタのフレーズや変奏様式を荘厳ミサ曲や第9交響曲の第3楽章に活かしているので、まじょるか魔女さんの仰る通りだと思います。

曲の結尾での小山さんの奏楽のまじょるか魔女さんの描写=【左右でのトリルが心の襞をのせて千々の声はフィナーレで一つになり、ユニゾンで決意を込めて歌い切ります。ベートーヴェンは作曲を通じて苦悩の底からある結論を得たのでしょうか。】を小山さんがお読みになれば、お喜びになられると思います。それは、ベートーヴェンと一体化してこの大作に挑まれた小山さんに読み替えれば、最後の文章は【小山さんは演奏を通じて苦悩の底からある結論を得たのでしょうか。】となるからです。最後の和音を弾き切られた直後の小山さんの清々しい表情がそのことを物語っていたと感じました。【決然としたフォルテシモで閉じられた 小山さんの演奏は、次の 小山さんの演奏に繋がります。未来の扉が開かれたのです。】・・・まじょるか魔女さんのこのお言葉に全てのファンの方が同意することでしょう。

ブラームスのヘンデルバリエーションが1861年に作曲され、ハンマークラヴィアソナタは1818年に作曲された事実に震えるような感動を覚えます。ブラームスの作品の価値を低く見るということではなく、ハンマークラヴィアソナタを作曲したベートーヴェンの偉大さに対してです。小山さんの演奏を聴いて【ベートーヴェンは花の森の木陰で、髪をかきむしって喜ばれていることでしょう。】(まじょるか魔女さん)と思われるほど、小山さんはベートーヴェンの想いを完全に表現し尽くされた、永遠に記憶に刻まれる素晴らし演奏をなさいましたね。素晴らしいご感想を有難うございました。


★★小山さんへ:ブラームスの変ロ長調のバリエーションで幕を開け、シューベルトの変ロ長調のバリエーションで幕を閉じた第21回音の旅@宗次ホール・・・ハンマークラヴィアソナタの第3楽章の理想的な演奏現場に立ち会うことができた幸せに打ち震えています。ベートーヴェンの想いの全て・・・それが魂の籠った音として聴き手の心の隅々まで沁み渡りました。第4楽章の未来を見据えた輝かしい最終和音に到達し、止めどなく流れる涙を堪えることができませんでした。心から感謝しています。有難うございました。
Date: 2016/05/29/16:26:40 No.4553


▲Top

小山さんの意志の力に耕されるピアノという名の大地
まじょるか魔女
仙台と福岡での皆さまのご感想を拝読しながら待ちわびた「音の旅」・・・
5月28日(土)名古屋・宗次ホールにて、第21回「音の旅」を拝聴しました。
小山さんは濃い大地の色のような焦げ茶色のドレスで登場されました。

今回は大曲3曲の流れに、茶色と緑を基調に彩られた絵画を感じました。

✿ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ
ブラームス28歳の作品で、クララ・シューマンによって初演されたのですね。
冒頭の旋律・・・キラキラと大地に降り注ぐ陽光があたたかく射してきます。
ベートーヴェン亡き後に誕生したブラームスは直接の接点はないものの
ベートーヴェンの後継者としての意識を強くもっていたそうですね。
ハンマークラヴィーアの冒頭ファンファーレに通じる煌びやかで肯定感に満ちた音粒がホールに満ちていきます。
中間部の揺れながら下降する印象的なフレーズ。ド素人の魔女は今回予習するまで、
これがブラームスさんの作品だと知りませんでした。
ドラマかCMで耳にしたような・・・ドラマティックでお洒落な旋律ですね。
お天気雨の風景がうかんできます。大地に恵みの雨がシャワーのようにきらめきながら沁み込んでいきます。
1861年9月にこの曲は作られ、ブラームスは翌月 クララに宛てた手紙に
「あなたの誕生日のために、あなたがこれまで聞いたことがないような変奏曲を作りました」と記したそうですね。
この曲はラブレターなのだと気付きます。
クララはどのような思いでブラームスから楽譜を受け取り、演奏したのでしょうか。

✿バルトーク:ピアノソナタ
バルトーク唯一のピアノソナタ。
演奏前の 小山さんのお言葉「ピアノは歌う楽器であるけれど打楽器でもある」ことを露わにした、
ひたむきな打鍵に息を呑みます。
小山さんの打鍵がピアノという大地を耕し肥沃にしていきます。
意志を持った美しい鍬のように、小山さんの勁い指があらゆる鍵盤を掘り起こし、足元ではペダルを鋭く、
深く踏み込んでいきます。

✿ハンマークラヴィーア
「ハンマークラヴィーア」とは、ドイツ語圏で使われているピアノに対するドイツ語の呼称なのですね。
  この曲が『ハンマークラヴィーア』と通称されるのは、ベートーヴェンが作品101以降のピアノソナタに
  「ピアノフォルテ」に代わりドイツ語表記で「ハンマークラヴィーアのための大ソナタ」と記すように
  指定したことに由来するのですね。
  その後、この曲だけが『ハンマークラヴィーア』と呼ばれるようになったとのこと。
言うなれば、「ピアノ」というタイトルの曲なのでしょうか。この曲だけがなぜ?
その答えは、小山さんの演奏そのものでした。
冒頭のパパーンと竹を割ったような音のスパーク。
陽の光を浴びて雨が沁み込み、深く耕された地中から、若い樹がポン!と音をたてて大地に顔を出しました。
そして、するすると枝が伸び、パッ。パッ。と音をたてて花が開いていきます。
大地からみるみる花の森ができていきます。

エネルギーと躍動にあふれた第1楽章の光が眩しければ眩しいほど、第2楽章が心の闇を深くえぐります。
カデンツァ風の慟哭に悪魔的な焦燥感が塗り重ねられ、楽章がピアニシモで閉じるところに
底知れない不安が残ります。

第3楽章では花の森の木漏れ日がさす天空で 小山さんが神様と静かに会話をされています。
小山さんがピアノ、またの名を「羊と鋼の森」(本年の「本屋大賞」受賞作)と一体になって、
大地から天空までの豊かな連なりを導かれています。
雲間から花の森まで、天使の梯子が伸びて太陽光線が降り注いでいます。
天使の梯子・・・宮沢賢治は「光のパイプオルガン」と表現したのですね。
第4楽章の冒頭。リストはこのフレーズに「ラ・カンパネラ」のインスピレーションを得たのでしょうか。
フィナーレを予言するかのような鐘の音がひそやかに響きます。
後半は「第九」のドッペルフーガを彷彿とさせる、心の内のもつれる声が浮き彫りになり胸に迫ります。
左右でのトリルが心の襞をのせて千々の声はフィナーレで一つになり、ユニゾンで決意を込めて歌い切ります。
ベートーヴェンは作曲を通じて苦悩の底からある結論を得たのでしょうか。

1818年に完成されたピアノという名のソナタ。
ベートーヴェン自身が「今に50年もたったら弾けるようになるだろう」と語ったという
ピアニストに対して途方もない精神力と体力を要求する、音楽史上最長かつ最難解とも言われるこの曲は
200年近い時を経て 小山さんによって輝かしく演奏されたのです。
ベートーヴェンは花の森の木陰で、髪をかきむしって喜ばれていることでしょう。
決然としたフォルテシモで閉じられた 小山さんの演奏は、次の 小山さんの演奏に繋がります。
未来の扉が開かれたのです。 

✿アンコール
ベートーヴェンを崇敬していた シューベルトの即興曲:作品142-2及び作品142-3 を演奏してくださいました。          
ハンマークラヴィーアで張りつめた会場の空気が柔らかくほどけていきます。
変奏曲で始まり、変奏曲でしめくくられた本日の音の旅でした。
ブラームス、バルトーク、ベートーヴェン、シューベルトの音魂が花の森のあちこちに佇み、
小山さんの演奏を見守っているようですね。


今回の「音の旅」は、とさまさん、covariant さん、ぴあのふぉるてさん、ぴあのふぉるてさんのお友達ご夫婦、
ピア友さんとご一緒に拝聴できて、「旅は道連れ」を実感できる貴重なひとときでした。

小山さん、ピアノの持つ力を私たちに示していただいた音色が心の底まで響いてきました。
「ハンマークラヴィーア」1曲でも十分ですのに、音楽史上の変奏曲の歴史を飾る曲「ヘンデルの主題による
変奏曲とフーガ」、勁さみなぎる「バルトーク:ピアノソナタ」も共にライヴ拝聴できて幸せです。
小山さんの演奏される曲はことごとく「ハンマークラヴィーア」の連番をつけたくなります。
今回も一期一会の演奏を有り難うございました。
Date: 2016/05/28/22:46:35 No.4551


▲Top

軽井沢大賀ホール春の音楽祭
花葉
二週間過ぎてしまい、大変失礼します。
5月3日、小山さんのお誕生日に軽井沢大賀ホールの音楽祭で東京フィルさんとの公演に伺いました。
今回は、ホールを寄贈された大賀様ご夫妻が愛用されていたスタインウェイによるチャイコフスキーの協奏曲でした。いつものスタインウェイとは少し違う響きでしたが、明るい音色で、特に第2楽章に合っていたような気がして、とても心地良く感じました。
5月の涼しい軽井沢の中、情熱的で熱い演奏は大変素晴らしく、会場中が感動の渦となりました。私の二つ隣りの男性が目頭を押さえていて、それを見て私も感動が倍増しました。
小山さん、今回も素晴らしい演奏をありがとうございました!思い出深いゴールデンウィークとなりました。
Date: 2016/05/19/23:06:21 No.4549

Re:軽井沢大賀ホール春の音楽祭
ぴあのふぉるて
花葉さん、すてきなご報告をありがとうございます。
小山さんはこの日、昨年1月に「シューベルト:即興曲集」を録音されたピアノで、チャイコフスキーのピアノ協奏曲を弾かれたのですね。花葉さんの「… 特に第2楽章に合っていたような気がして、とても心地良く感じました」とのご感想から、CDに刻まれたのと同じ、温もりのある美しい音色を想像しました。

昨年ご紹介したバックナンバーになりますが、小山さんは「モーストリー・クラシック」2015年6月号「ピアノと私」第13回〜シューベルト「即興曲集」レコーディングについて〜の記事で、冬場の録音のこと、奥様より寄贈された故・大賀典雄氏のピアノとの出会い、調律師さんの陰でのお仕事ぶり、「…一音を出した瞬間に、なんと全員が魅せられてしまったのです」、ピアノとピアニストの相性、などを静かに熱く語っておられます。
小山さんが「この古いスタインウェイ」と出会われて、ホントによかった!

お誕生日の小山さん“生演奏”のチャイコフスキー:ピアノ協奏曲は素晴らしかったでしょうね。私など、昨年6月開催N響定期公演の“録画映像”でも、見るたびに目頭が熱くなります。
小山さんはこの作品を5/5 ラ・フォル・ジュルネ金沢でも演奏されましたね。

「モーストリー・クラシック」2016年6月号「ピアノと私」第25回〜ロシアとチャイコフスキー〜の記事では、ロシア音楽に感じる「太古からの目に見えない繋がりのようなもの」や(1982年コンクール入賞者の演奏LP、ロシアの作曲家の新曲作品2曲は小山さんの演奏で収録されていたそうです!)、チャイコフスキーの偉大さ、作品の初演のこと、などについてお話しになっています。
また、1994年、チャイコフスキー国際コンクールで審査員をお務めになった折の素敵な思い出も、ご紹介くださっています。
お知らせまで。
Date: 2016/05/20/19:40:50 No.4550


▲Top
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] [24] [25] [26] [27] [28] [29] [30][31] [32] [33] [34] [35] [36] [37] [38] [39] [40] [41] [42] [43] [44] [45] [46] [47] [48] [49] [50] [51] [52] [53] [54] [55] [56] [57] [58] [59] [60] [61] [62] [63] [64] [65] [66] [67] [68] [69] [70] [71] [72] [73] [74] [75] [76] [77] [78] [79] [80] [81] [82] [83] [84] [85] [86] [87] [88] [89] [90] [91] [92] [93] [94] [95] [96] [97] [98] [99] [100]

TOP Admin
 ★ Produce by Masato ★