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新たな一歩
y.s
次の一歩を踏み出すためには、自分自身が充実していなければならない。充実するときを待つ時期もあれば、力が満ち、次々に新たな一歩を踏み出せる時期もある。
小山実稚恵さんのリサイタル(6月18日オーチャードホールでのリサイタルシリーズ第21回)で弾かれた3人の作曲家は、新たな一歩を、強く確かな意志で踏み出していた。「未来の扉を開いて」と題されたリサイタルは、ブラームス『ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ』、バルトーク『ピアノソナタ』、そしてベートーヴェン『ハンマークラヴィーアソナタ』と、それぞれの作曲家にとって節目となる作品で、重量級の演目が組まれた。
冒頭のブラームスから、なんと確信に満ちた演奏だろう。一音一音が生命の輝きにあふれ、変奏ごとに託された想いを自由自在に歌う。ブラームス特有の重厚な音の層のそれぞれが主張し、溶け合い、壮麗な世界を構築してゆく。加えてライブならではの即興性にも事欠かない。短調の変奏のしなやかさや、ジプシー風の悲しみを帯びた変奏の慟哭も印象的だ。演奏は次第に白熱の度合いを増してゆき、頂点を迎えたところでフーガが始まる。ブラームスが先人たちへの畏敬の念を感じながら書いたであろうフーガ。その想いを胸に、新たな自分の世界を切り拓いてゆこうとするブラームスの決意が、小山さんによって体現された。
バルトークでは一転、野性味溢れる音楽が強烈な打鍵で表出される。数年の沈黙の後、次の境地への第一歩を踏み出し作曲したソナタ。血が騒ぐような民族性は、ここでは精神的な背景に昇華されているわけだが、小山さんの生命感がその民族性と呼応し、聴き手の身体が疼くような躍動感を表出する。とりわけフィナーレではそれらが爆発的に炸裂した。
後半のベートーヴェンでは、第3楽章での受難の表現が心に残った。極めて滑らかなテンポ運びの中に身を置いていると、苦悩が神経にまで満ち満ちてくる。やがてト長調への柔らかな転調が訪れ、小山さんの繊細な音色が、天上からの一筋の光のように染み入ってきた。しかし、萌した希望も束の間、現実の苦悩と神からの希望の世界を行きつ戻りつしながら、静寂が満たされ、心の内奥へ沈み込んでゆく。第3楽章の最後、嬰へ長調にすべてが収斂する。何度か萌していた希望の光が再び差し込んで、すべての集中が最後のアルペジオに注がれ、この世のものとは思われない再弱音が響くと、光が消えることはなかった。
壮大なフーガで、ベートーヴェンは知力と情熱の限りを尽くしながら、現実に挑み続けていく。その歩みは、決して器用なものではない。真理への道を、もがきながら進んでいる。小山さんも、その有り余る技巧で弾ききることに安住せず、ある意味スリリングなほど果敢にフーガを奏でていた。
デビュー30周年を超えてなお挑戦し続けるその姿勢は、いかにも小山さんらしい。いや、30周年を超えた精神的に充実した時だからこそ、これまで以上に挑戦し続けているのかもしれない。ベテランから円熟への道をひたむきに歩む小山さんは、残り3回のシリーズでどのような世界を繰り広げるのだろうか。
未来の扉が開かれると、次の扉への道が拓かれていた。
Date: 2016/06/26/22:06:35 No.4570


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「音の旅」第21回 完遂 おめでとうございます。録音がほしいです!
covariant
オーチャードホールでの「音の旅」第21回〜未来の扉を開いて〜が無事に、否、ぴあのふぉるて様のご報告からしても、大成功裏に終了されたご様子、おめでとうございます。オーチャードホールではどんな様子だったのだろうと待ちきれずに、勝手な判断で、タイトルにこれで第21回を「完遂」と書きましたが、誤りであればご指摘ください。

Facebookで、いち早い小山さんのドレス姿を拝見しました。いつも以上に、お疲れの表情は皆無、こげ茶のテーマ・カラーに合わせられた、これまた素敵なドレスとにこやかな表情に、充実感が伝わってきました。
ステージの花はどんなだったのだろうと、まさとさんからのご報告が待ち遠しくもあります。

前回第20回の「音の旅」から漸く拝聴できた私などは、バッハの「ゴルトベルク変奏曲」と今回のベートーヴェン「ハンマークラヴィーア」だけでも、早く小山さん演奏のCDがほしいです。そんな風に思うのは私だけではないでしょう?
もう遅いですが、これまでのとさま様のご報告を拝見するにつけても、ライブ録音もしてほしいなあ、と思ったものです。
Date: 2016/06/20/01:04:40 No.4566

Re:「音の旅」第21回 完遂 おめでとうございます。録音がほしいです!
covariant
Facebook で、AMATI Inc. さん投稿の演奏舞台写真を拝見しました。今回の「舞台花」は特に、まさに大地を感じる樹木と花だったのですね。遠隔地にいる私達にも、今回の小山さんの演奏ステージの雰囲気が伝わる写真に、IT時代の恩恵を感じます。
Date: 2016/06/20/23:42:07 No.4567

Re:「音の旅」第21回 完遂 おめでとうございます。録音がほしいです!
ぴあのふぉるて
facebookや 管理人まさとさんのレポートで写真を拝見できて、ほんとにありがたいですね。感動がよみがえります。

6/18当日、ホワイエのボードに「本日のお花」が掲示されていました。ご参考まで。
「小山実稚恵の世界」第21回〜未来の扉を開いて〜
イメージ〈こげ茶〉:大地・地球・力強さと大きさ
・アーティチョーク
・アリウム
・アセビ
・白樺
フラワーアレンジ:エルベ・シャトラン
(Bunkamura 1F)
Date: 2016/06/21/10:31:43 No.4568

Re:「音の旅」第21回 完遂 おめでとうございます。録音がほしいです!
covariant
ぴあのふぉるて様、いつもお心遣いありがとうございます。管理人まさと様のレポートにも今回の花はいつもとちょっと違うと書かれて、花名ボードの写真も付けていただいてますね。ありがとうございます。
Date: 2016/06/21/17:43:01 No.4569


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「音の旅」第21回@オーチャードホール
ぴあのふぉるて
昨日はオーチャードホールで、「音の旅」第21回 〜未来の扉を開いて〜 を拝聴いたしました。

凄い! あまりの素晴らしさに、ただただ驚嘆するしかありません。
小山さんの 3B への深い思いが胸に迫りました。
興奮と感動と畏敬の念で、もう心臓が壊れそうです。

小山さんの気迫と優しい微笑みを、心に刻みました。

ファン仲間の皆様、友人たち、姉と主人、皆で感動を分かち合えて幸せです。
小山さん、ほんとにどうもありがとうございました。

Date: 2016/06/19/12:18:01 No.4565


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2016年6月15日 サン=サーンス:ピアノ・コンチェルト第5番「エジプト風」
ヒース
こんばんは。すっかりご無沙汰しております。
先日、都響のC定期を聴いて参りました。平日のマチネ公演でしたがチケットは完売。公演の前日にこちらの演奏会を知りましたもので、売り切れではありましたが、ネットを見ましたら少し早めに会場へ行けば当日券が出る「かもしれない」との都響からのアナウンスがありましたもので、足を運びました次第です。そしてラッキーなことにお聴きすることができました。

前置きが長くなりました。大野和士さんの指揮による公演でプログラムは…

モーツァルト:オペラ「後宮からの誘拐」序曲
サン=サーンス:ピアノ・コンチェルト第5番「エジプト風」
リムスキー=コルサコフ:シェヘラザード

会場は、東京芸術劇場  …でした。


都響によるモーツァルトの溌剌とした序曲の後、小山さんが登場されました。
この曲は個人的には非常に楽しい曲という認識でおりまして、やはり今回の演奏も楽しくお聴きすることができました。ただ、(なぜか)演奏頻度がそれほど多くない曲でもあります為、私が生での演奏に接したのは今回が初めてでした。そのような曲ということもありましたのでどうしてもお聴きしたくなりお伺い致しました形です。

CD等で聴いていたこと等もあり個人的に愛着のある曲で、颯爽としたイメージを持っておりましたが(特に、第1&第3楽章)、大規模なオーケストラの編成だったことに驚きました。演奏が始まりましたら想像していたよりも音が厚く少し曲の印象が変わりましたがやはり素敵な曲で、小山さんのピアノで演奏をお聴きできましたことを嬉しく思いました。指揮が大野さんということも素晴らしい演奏となった要因のひとつだと感じます。

第1楽章は爽やかに始まるように感じているのですが、オーケストラの短い前奏の後、ピアノが美しい音で始まりました。途中に煌くようなパッセージが幾つも幾つも現れたり、短調の劇的な場面もありますが、積極的なアプローチによりとても楽しくお聴きしました。こちらの楽章が3拍子ということも、なにかのスパイス(!?)なのかもしれません。

第2楽章は、こちらのコンチェルトが「エジプト風」と呼ばれることに納得が行くような不思議な響きが随所に出てきます。サン=サーンスはこの曲を実際にエジプトの地で作曲したとのことですが、それにしましても様々なアイディアが盛り込まれ、面白いような…、聴き慣れない響きのような…、なんとも独特な楽章であるといえるかと思います。ピアノという楽器だから表現できるような箇所もあるかと存じます。ちょっと違った世界に迷い込んだような気分になりました。

終楽章である第3楽章は、はずむようなイメージを持っておりますが、曲のイメージとは裏腹にとでもいいますか、ピアノ・パートは技巧的にも大変難しい楽章でもあるかと思います。そういった「弾くのが大変!!」ということをまったく感じさせずに曲のイメージのまま耳に届けて下さいまして、華麗に幕を閉じましたように感じました。

こちらの曲は以前大阪で演奏されて以来、二度目の演奏だったそうです。素敵な曲だと思いますのでまた演奏されますよう願っております。また、ロマン派の時代の数少ないフランスの作曲家のピアノの作品という意味においても充実した曲という風に(個人的に)思います。「エジプト風」ではありますが、フランスの香りも感じられたことも付け加えさせて下さい。

後半のシェヘラザードは締まりのあるテンポで通され、コンサートマスターの矢部さんのヴァイオリンのソロが大変光った演奏であったようにも思います。

アンコールは、ピアノもオーケストラもありませんでした。「アラブの香り」がテーマとなったプログラムの演奏会でしたが、様々な「アラブの香り」が伝わってきたように感じます。

明日(日付は本日となりました)のオーチャードホールの公演には残念ながらお伺いできませんが、壮大なプログラムのリサイタルと併行し、このような違ったカラーのコンチェルトも弾かれるということに改めて畏れのようなものも感じますが、音楽の様々な面を表情豊かに語って下さるような演奏をお聴きしますと演奏後の笑顔も相俟って、また演奏会へお伺いしたいという気持ちになります。次にどのような演奏に巡り会えるのか楽しみです。

長々と失礼いたしました。
Date: 2016/06/18/01:20:10 No.4563

東京都響定期公演C
花葉
私も伺いました。「アラビアン」なプログラムで、興味津々でした。

演奏は正にアラブの香り漂うもので、聴いていてアラブの様々な風景が目に浮かびました。何だか五感で音を楽しむようなひと時でした。色々な感覚を音で触れられるなんて、音楽って素敵!と改めて思いました。
小山さんのピアノも、いつものお優しさの中にキラキラした輝く響きや、ジャズのようなリズムではカッコよさがありました。
とても楽しい演奏会でした。
今日のオーチャードも楽しみです♪
Date: 2016/06/18/11:33:42 No.4564


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「ハンマークラヴィーア」ソナタの第3楽章の小山さんの演奏
とさま
 小山さんの12年に渡る壮大な企画「ピアノで綴るロマンの旅」・「音の旅」の第21回・・・いよいよ明日オーチャードホール(東京)で千秋楽を迎えます。私は、仙台、札幌、名古屋、大阪での公演を聴く幸運に恵まれました。各地で一期一会の演奏を繰り広げられる小山さんの芸格の高さに圧倒され、常に全身全霊で作品と対峙される小山さんの姿勢を目の当たりにし、小山さんへの尊崇の念が深まるばかりです。

 きょうは、ベートーヴェンの「ハンマークラヴィーア」ソナタの第3楽章「アダージョ・ソステヌート」について認(したた)めようと考えました。第3楽章は、同ソナタの白眉でもあり、人類が産み出した最も崇高な音楽と言っても過言ではないでしょう。187小節にも及ぶ長大な楽章であり、ピアニストによって、曲の解釈の幅が最も大きく振れる楽章でもあります。様々なピアニストの演奏時間を見ると、最短は韓国のH.J.リムが12分50秒、最長はドイツのコルスティックが28分42秒かけて演奏しています。同一のピアニストであっても、演奏の度にテンポの設定(演奏時間)が変わる余地のある曲とも言えます。ピアニストのコンディションに加えて、ピアノ、ホールの大きさ、残響の長さ、天候などによって、演奏の内容が変わるのは自然なことでしょう。

 小山さんは、札幌ではやや遅めのテンポを設定され、この第3楽章を推定19分で演奏され、一方、名古屋・大阪では推定17分で演奏されました。大変興味深いと思ったのは、演奏時間に差の出た(と思われる)札幌と名古屋での演奏の方により多くの共通性を感じ、演奏時間に差のなかった(と思われる)名古屋と大阪での演奏の方により多くの差を感じたことです。そこで、名古屋と大阪での小山さんの演奏の特徴・素晴らしさについてご報告致します。

 第3楽章には、2つの基幹となる要素(側面)があると思います:すなわち、【自己の内面を見つめる】という第1の基幹要素と【神との対話】という第2の基幹要素です。この2つの相対する要素が、ソナタ形式(提示部・展開部・再現部・コーダ)における各主題や経過句の楽想に絶妙に配置され、コーダでは2つが一つに融合し、永遠の時を刻むかのように感動的な終結を迎えるのです。

 名古屋での小山さんは【神との対話】の方に(わずかながら)軸足を置かれ、一方、大阪では、これもわずかだと思いますが、【自己の内面を見つめる】方に軸足を置かれたかのように聴こえたのです。誤解を恐れずに言えば、大阪での演奏は情感の想い入れが深くなり、自己の内面の声を聞き、また自己の想いを語るような、人間性をより強く感じさせる演奏に聴こえたのです。

 音楽の骨格のテンポを守る奏法=イン・テンポは、双方で変わらないのに、大阪では、いよいよ想い入れが深まり、フレーズの末尾で“わずかに”減速されることがあり、名古屋での小山さんと明らかに異なっていたのです。一つだけ例を上げてみましょう。

 第3楽章の第1主題(群)は26小節にも及ぶ【自己の内面を見つめる】ような長大な音楽を構築します:嬰ヘ短調の悲哀に充ちた陰鬱な雰囲気で始まりますが、途中、天国的とも感じられる、まるで天から光が射し込むかのような美しいト長調への転調を経て、espressivo(表情豊かに)と付された第26小節で詠嘆の極みに達しますが、その美しい歌の流れは唐突に打ち切られます。その直後に、雰囲気ががらりと変わり、スタカートのついた左手の一歩一歩踏みしめるかのような特徴的な伴奏が現れ、その上を、まるで舟歌のような美しいメロディーを小山さんは感動的に歌い継いで行かれるのです。しかし、その美しい楽節は単純な舟歌ではなく、【神を賛美する歌】でもあり、【神との対話】を感じさせる、何ものをも超越した精神状態を顕現しているかのように響くのです。この舟歌の直前のespressivoの1小節の奏楽をほんの“わずか”減速させたのが大阪公演であって、名古屋や札幌では減速はほとんどなく、拍子通り舟歌に移行されたのです。

 音楽に深く没入される小山さんは、ベートーヴェンの想いを表現するために、恐らく、無意識の中、“わずかな”減速を伴った奏楽をなさったのだと思います。そこに【自己の内面を見つめる】小山さんが存在し、小山さんは内面の声にしたがって、次なる【神との対話】を感じさせる舟歌に入る前に、“わずかな”減速により、まるで心の準備をされたかのようでした。再現部の同じ箇所で、ベートーヴェンがわざわざ長大なリタルダンド指示を与えたことに注目すれば、特段の指示のない提示部の件の箇所では、私は、減速しなかった名古屋での小山さんの演奏を好みます。しかしながら、第1主題(群)の26小節の基本テンポとそれに続く舟歌におけるテンポにほとんどぶれがないので、この小山さんの“わずかな”減速を伴う演奏は、聴き手に得も言われぬ感動をもたらしたのです。これほどまでに深い想いが音符に籠ると、その想いが聴き手の心の隅々までに沁み入ってきて、感動に打ち震えざるを得ませんでした。

 【自己の内面を見つめる】こと、そして全てを超越して【神と対話する】こと、この2つの要素は【感情】と【理性】との相剋(そうこく)のような様相を呈し、第3楽章全体に渡り、そのバランスが微妙に揺れ動いていきます。あるときは【理性】が勝り、あるときは【感情】が勝り、そのバランスが名古屋と大阪の公演で異なっていた、ということです。しかしながら、どちらかが、圧倒的優位に立つことはなく、コーダでその2つが融合するのです。

 コーダは、その美しさを形容する言葉を見いだせないほど素晴らしいです。聖なる瞬間は終わりの12小節に訪れます。神々しさを感じさせる小山さんの背後から光が射し込むかのように、まず16分音符の3連音型がクレッシェンドを伴って奏でられます。そして、低声部の3連音の美しい和声による伴奏の上に和音が格調高い調べを奏でます。ディミヌエンドで減衰し、最高音を含む和音の調べは、夜空の星のかなたに消えゆくようで感動的です。再び嬰ヘ短調の第1主題が変形された動機がウナ・コルダ(ソフトペダルを踏む)で登場し、【自己の内面】の世界に戻るかのような不安を一瞬醸し出しますが、最後の4小節では、同一音による和音を使った美しくも荘厳なる終止に到達します。小山さんは、アルペジオの最終和音の音価の割り当てに意を注がれ、聴き手の心に沁みわたる響きを創出されたのです。最後の嬰ハ(Cis)音は、永遠の時間を感じさせるかのように、長く長く響き続いたのです。

 ここでは、もはや、2つの要素は分かち難く融合し、それまでの相剋は克服され、精神(魂)は遥か彼方の天国に吸い込まれてゆくかのようです。

 千秋楽のオーチャードホールでの小山さんは、この第3楽章をどのように演奏されるか、本当に楽しみです。【自己の内面を見つめる】ことと【神と対話する】こととの対比、そのバランスは同じではあり得ないでしょう。コーダでの永遠の時を感じさせる人の心に沁みわたる楽想・・・小山さんを超える感動的演奏はないと言っても過言ではないです。明日の演奏を聴かれる皆さま、どうぞお楽しみになって下さい。

とさま
Date: 2016/06/17/23:32:23 No.4562


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未来の音楽 小山実稚恵リサイタル
山田兼士
午後2時より、大阪いずみホールにて、小山実稚恵さんの「ピアノ・ロマンの旅」第21回リサイタルがありました。全24回を12年かけて、という遠大な計画ですが、もう残りわずか。たぶん全体の三分の二ぐらいは聴いていると思います。
この日のプログラムのテーマは「未来の扉を開いて」。前半はブラームスとバルトーク。どちらも大変力強い作風ですが、小山さんの演奏は力強いタッチの中にも極めてデリケートな細部が表現されていて、感嘆しきりです。バルトークのピアノ・ソナタなんてあまり聞いたことがないのですが、こんなに素敵な曲なんだと認識。こういう発見は楽しい。
圧巻はなんといっても後半のベートーヴェン。ピアノ・ソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」です。45分の大曲で、大変な超絶技巧が必要。小山さんの演奏は、楽章ごとの特徴を実にみごとに弾き分けながら、悠々と進めていきます。特に、第3楽章の「神との対話」とも呼ばれる瞑想的なフレーズは美しさのかぎり。打って変わって、第4楽章では、これでもかというばかりの超高速パッセージを難なく、しかも的確適切に、どんどん弾いていきます。たまたま席が前の方、左よりだったこともあって、鍵盤上の指がよく見えました。目にも留まらぬ、とはまさにこのこと。興奮のうちにフィナーレ。
こんな大曲の後のアンコールはもういらないかな、と思ったのですが(以前もそんなことを書きましたね)。ここで終わらないのもまた小山流です。なんとシューベルトの即興曲を2曲。まるで加熱したベートーヴェンの興奮をクールダウンするかのように、繊細で優美な、そして静寂の響きを内包した音楽です。すごいプログラミングにも拍手。とても良い演奏会でした。これまでの21回の中でも、今回は特筆ものではないでしょうか。
それにしても、未来の音楽、というのが気になります。ベートーヴェンの時代、たしかに鍵盤楽器(ピアノ)は急速に進歩したようですが、それでも今日のピアノと比べたらまだまだ素朴な楽器でした。ベートーヴェン自身が、第29番について、50年もしたら演奏できるようになるだろう、と語ったとの逸話があります。現在の楽器では演奏不可能な音楽! そんな作品を芸術家は創造できるのでしょうか。実際に、今日のピアノでは十分に演奏可能なわけですから、ベートーヴェンの予言は当たったことになります。これを詩に置き換えることはできるだろうか、と、ふと考えてしまいました。例えば、ロートレアモン『マルドロールの歌』。書かれてからしばらく忘れられ、50年後に「シュルレアリスム」という「楽器」の誕生によって「演奏できる=読解できる」作品になった、と。これは一考の余地がありそうです。おもしろいテーマかもしれない。
深夜ワインはその「ハンマークラヴィーア」をバックハウスの古い演奏で聴きながら。もちろんCDですが。スペインの赤が美味しい季節になりました(なぜ)。

紫陽花に未来の音楽垣間見る
Date: 2016/06/13/00:34:32 No.4561


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小山さんの《皇帝》@杉並公会堂
ぴあのふぉるて
杉並公会堂開館10周年記念
日本フィル杉並公会堂シリーズ2016
小林研一郎×日本フィル ベートーヴェン交響曲ツィクルス第1回

6月5日(日)、杉並公会堂館内は関係各位より贈られたお祝いのお花がきれいに並べられて、たいへん華やかな雰囲気でした。
杉並公会堂館長 菊地一浩氏の「ごあいさつ」(プログラム冊子)には、杉並公会堂の歩みや、季節の企画の紹介、日本フィルの活動拠点であることの記述に加えて、日本フィルの桂冠名誉指揮者の小林研一郎氏と、「杉並公会堂の歩みに大きく貢献」された小山実稚恵さんへの感謝が綴られています。
最後は「お客様」への言葉でしめくくられて、この施設が地域の皆様に愛されていることが伝わってきました。

曲目もお祝いにぴったりの豪華さです。
まず冒頭に奏されたのは、明るく雅やかな交響曲第1番。
その後、舞台下手で出番を待っていたピアノが調律師さんと数名の方によってステージ中央に移されました。(2階席はホール全体が見渡せて、楽しい!)

プログラム2曲目は、小山さんの《皇帝》。
(私にとっては本日のメイン。皆様もきっと同じお気持ちでいらしたでしょう?)
開演前の(解説の方の)お話によると、このピアノコンチェルトは、作曲家ベートーヴェンと、技術開発に余念がないピアノメーカーの思いの「相乗効果」によって生まれた作品、とのこと。
それだから、ピアノの性能が最大限に生かされて、これほど魅力あふれる作品になったのですね。研究熱心なベートーヴェンに感謝をささげ、この作品の誕生を影で支えたピアノ職人さん達にも思いを馳せました。

第1楽章、タイトルのイメージどおり煌びやかな華麗な開始で、いきなり心をつかまれます。小山さんは作曲家の心に寄り添いながら、色とりどりの音色を楽器から引き出しておられました。
小山さんはピアノと一体化し、もう音楽そのもの。
この作品、小山さんの魅力を伝えるために作られたような曲ですね! 

緩徐楽章は、静謐でほんとに美しい。小山さんの潤いのあるふくよかな弱音が、2階の最後列までしっかり届き、感動します。ときには立ち止まって自らを顧みよ、と促すような密やかな音楽が心に染み入りました。
解説の方のお話によると、小山さんはこの第2楽章が特にお好きだそうです。
第2楽章の最後、第3楽章の主題が暗示するように演奏されて、新たな展開への期待が高まります… そのまま続けて奏される第3楽章は、堂々として、躍動感と生命力にあふれ、オーケストラの皆さんとの「スリルのある」掛け合いも息がぴたりと合って、素晴らしかった。
ベートーヴェンの情熱とピアノの魅力を、心ゆくまで堪能いたしました。
小山さんの《皇帝》を、今、皆様とともに拝聴できて、幸せです。

割れるような拍手に応えてお辞儀を繰り返される小山さんの、可愛らしい笑顔。
そして、小山さんの傍で団員さんに混ざって椅子にお座りになったコバケンさんのお姿に、会場は温かな微笑みで包まれました。そんな和やかな空気の中、聴こえてきたのは…「エリーゼのために」。
小山さんはこの小品を、先ほど《皇帝》を演奏なさったのと同じ情熱をもって、弾かれました。本編もアンコールもどちらも大切に演奏なさるお姿に、感動が深まります。
《皇帝》と「エリーゼのために」、作品の規模の違いこそあれ、作者が作品に注いだ思いは等しく深かったのね… 小山さんの演奏を拝聴してそう感じました。

ベートーヴェン尽くしのプログラム、後半は、交響曲第5番《運命》。
コバケンさんの思いに日本フィルの皆様がしっかり応えて素晴らしい音楽が生まれ、心を打たれました。ありがとうございました。

終演後、ファン仲間とのオフ会は感動の余韻の中、皆で燃え上がり、クールダウンどころではありませんでした。
小山さん、温かなサイン会もどうもありがとうございました。
また次の演奏会を楽しみにしております。
梅雨入りしたようです。どうぞくれぐれもご自愛くださいませ。
Date: 2016/06/07/14:40:00 No.4558

Re:小山さんの《皇帝》@杉並公会堂
土の器
早速のご投稿、嬉しく拝読させて頂きました。私は、みなとみらいが完売のため、まだ少し空きのある杉並公会堂に急遽変更したのですが、ぴあのふぉるてさんもいらしたのですね。思いは同じ、私も「皇帝」が心の真ん中にありました。
★煌びやかな華麗な開始で、いきなり心をつかまれます。
本当にそうですね。ベートーベン、日フィル、ホール改築のこけら落とし、となれば、選ばれるべくして選ばれた曲となるでしょうか、それも小山さんの演奏で!。今回の企画・演奏に携われたすべての皆様の思いが、オーケストラの第一音とそれに続く華やかなピアノの調べで開始されましたね。
小山さんはよく、ショパンの「華麗なる・・」をお弾き下さいますが、この曲は「ベートーベンによる華麗な・・」と曲名を変えても良い?と思えるほど、華やかで勇壮な音の渦の連続でした。 でもたった一語「皇帝」と名付けられたこと、まさに”言い得て”いますね。
一方第二楽章では、心の奥底に問いかけてくるようなオーケストラの旋律に誘われ、装飾音を伴ったピアノが、たった一音、”ポーン”と飛び込んできますが、たったこの一音、小山さんの音はどこまでも透き通り、さらにその後に続く旋律を予感させるような深い色合いをも秘め。もうこの一音をお聴かせ頂いただけで、コンサートに伺って良かったと、しみじみ思いました。
★この作品、小山さんの魅力を伝えるために作られたような曲、小山さんが演奏なさると、すべてそのように思えてきてしまいますね。
全く同感です。作曲家に仕えられるお思いは、作曲家の方からも、小山さんに扉を開かれ託され、小山さんのために作られたような曲となって、時空を超えて甦るのですね。逝きしお方が、今ここで新たに生命を得、無上の喜びに浸っておいでだったことでしょう。
★「皇帝と」アンコール「エリーゼのために」、作品の規模の違いこそあれ、作者が作品に注いだ思いは等しく深かったのでね・・。
ポピュラーなクラシックしか馴染のない私ですが、「エリーゼのために」は、小山さんのピア二ズムに終始し、それはまるで”アンコールのためだけにご用意された特別な曲”のよう!、誰の手にも触れることなくそぉっとしておきたいご自分のお気持ちを、「皆様とお分かちしましょうね」と微笑み、私達一人一人に語り掛けて下さっているようでした。こんな「エリーゼのために」は初めてでした。みんなが知っているこの一曲、もしこの僅かな時間に触れることができたなら、クラシックファンは更に増えることしょう。
今回図らずも日フィルの「運命」をお聴きすることができましたがこの春、小山さんが恩師田村先生のご遺志を引き継がれ、「ピアノによる運命」の演奏を感遂なさったこと、相田みつをの詩「いちずに一本道、いちずに一ツ事」と、重なって思い出されました。成し遂げられたこと、多くのご苦労もお喜びにおかわりのことと、存じ上げます。
小山さん、素晴らしい演奏をお聴かせ下さり、本当に有難うございました。「皇帝」の第二楽章、今も心に鳴り響いております。
ぴあのふぉるてさん、私の方が2日前に拝聴致しておりましたのに、また投稿のお声かけも頂きましたのに、根っからのぐずな性分ですっかり遅くなり、大変失礼致しました。どうかお許し下さい。6/18オーチャードでの音の旅、私にとって今から頭が真白々、どうなりますことやら(〃▽〃)、有難うございました。
Date: 2016/06/12/09:55:48 No.4559

Re:小山さんの《皇帝》@杉並公会堂
TOZ
杉並公会堂の演奏会から1週間が経ちました。ベートーベンの「皇帝」とショパンの「アンダンテスピアナーと華麗なる大ポロネーズ」は自分の中では「小山実稚恵ただ今参上」の2大テーマ曲になっています。あの明るく暖かい独特の響きに、「あっ、小山さんだ!」と思わず声を上げたくなるいつもの特別な瞬間です。今回もそんな小山実稚恵ワールドを心弾ませながら聴きました。公演終了後、会場の杉並公会堂から荻窪駅へ向かうバス通りと商店街を、あのきらびやかで豊かな響きを思い起こしながら少し弾むように歩いていました。その興奮が少し収まると、聞こえてきたのがアンコールで演奏された「エリーゼの為に」でした。
実は演奏会場で聞いていたとき、日本人なら誰でも知っているあの有名な旋律が、なかなかくっきりと浮かび上がってこない中、少しもどかしくも思いながら聞いていると、ふとある情景が一枚の絵のように目の前に現れました。「小さな小川のせせらぎのほとりに、エリーゼが膝を抱えてしゃがみ込んで、川底の小石と揺らめく藻を眺めています。時折川面を渡るやさしい風が、目深にかぶった帽子のレースの縁と細いリボンを微かに揺らしているだけの静かな時間。そこへ1匹の小さな魚が懸命に体をよじらせながら遡っていきます。小さな魚にとっては激流のような静かな流れ。そしてエリーゼはまた川底を眺め続けます。きっと誰かが迎えに来るのを待っているのだろうな。」
荻窪駅から新宿駅への休日の夕方近くの喧騒が、どこか遠くでの出来事のように聞こえる中、ずっと響いていたのがアンコールで聴いたとても静かな「エリーゼの為に」でした。絵は苦手だけれど、画けと言われたら画けそうなくらいに鮮やかに目の前に浮かんだ情景が忘れられません。少し絵を勉強していつか画いてみたいと思います。たとえそれがいつになろうとも、少しも薄れることなく鮮明に描けると思います。

Date: 2016/06/12/22:24:37 No.4560


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「フーガへの尊敬しかないと思います」(小山さん)@宗次ホール
ぴあのふぉるて
先週土曜日に「音の旅」名古屋公演を拝聴し、いまだ感動の余韻に浸っています。
皆様の素晴らしいご投稿を拝読し、さらにしばらく興奮が冷めそうにありません。

宗次ホールは小山さんのリサイタルに最適の大きさで、音響が素晴らしいから、ぜひいっしょに聴きましょう、とかねてより、とさまさんとまじょるか魔女さんから強くお勧めいただき、今回初めてこのホールで拝聴しました。
お二人をはじめ、covariantさん、まじょるか魔女さんのお友達のピア友さん、そして友人ご夫妻と、ご一緒できてまことに嬉しく存じました。

宗次ホールはこぢんまりとした空間で、響きが鮮やかで豊かですね。
ピアノの音が、直接、身体に届いて驚きました。それも、あらゆる方向から。
大きなピアノの中に自分もいっしょに入ってしまったような、不思議な感覚です。
いわば、音のカプセル。(No.4554 covariantさんのご感想ともつながりますね)
ホールも楽器であるということを、初めて心から実感しました。
小山さんのピアノの音に包まれて、幸せでした。

今回のプログラムは、バルトーク入りの珍しい3B(Brahms,Bartok, Beethoven)。
10年以上前にお考えになったプログラムを、そのまま変更なく実現し続けておられる小山さんの、不断の努力と、おおらかなお心構えに感嘆いたします。
24回の中で「いちばん重いプログラム」だと伺い、聴く側も心して臨みました。

《ブラームス:ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ》
前回のバッハ「ゴルトベルク変奏曲」からのつながりで冒頭に置かれたブラームスの作品。この変奏曲は、当日の小山さんのお話によると、「変奏曲の王道」「そのものズバリ」とのことです。
なるほど、雅やかな主題から始まり、それが25通りに律儀に、生真面目に展開してゆきます。小山さんは一つ一つの変奏を、大切に、慈しむように演奏なさいました。
高度な技巧が盛り込まれていると思いますが、どこか懐かしさを感じるような、温かな音楽でした。(No.4551まじょるか魔女さんのご投稿で合点がいきました。これはクララへの恋文だったのですね…)
ベートーヴェンのハンマークラヴィーアソナタより数十年も後に作曲されたのに、古風な曲に聴こえます。ベートーヴェンの作品がいかに新しかったか(新しいか)ということでしょうね。
曲の最後に「フーガ」が置かれています。

先日(5/22)、東京で開かれたレクチャーでのお話によると、フーガはいろいろと制約が厳しくて、短い作品を作るのも大変なのだそうです。小山さんはブラームスのフーガには「絶対的構築性」と「畏敬の念」を感じる、とお話しになりました。

聞き手の萩谷由喜子さんは、今回も小山さんから、いろいろなお話を上手に引き出してくださいました。例えば、演奏の難しいフーガについては…
Q:「どのようにお覚えになるの? その秘訣は?」
  そして、小山さんは即座に、迷わずお答えになりました。
A:「フーガへの尊敬しかないと思います」と。

「フーガへの尊敬」… あぁ、どこまでも謙虚で、誠実な小山さん。
小山さんのお気持ちに深く心を打たれました。
さらに、フーガを弾く場合は、自然の情景は浮かばないけれど…「声部を歌うようにしている」とのお話でした。
小山さんが演奏なさると、だからこれほど崇高で美しい音楽が生まれるのですね。
(と言いつつ、でも、フーガって何?というレベルで、心苦しく思います…)

《バルトーク:ソナタ》
テーマカラーこげ茶は、この曲からイメージされたのでしょうか。
(今回5/28のリサイタル冒頭、小山さんの作品紹介によると)
「ピアノの能力を最大限に使って… ピアノの原理(打楽器の原理)をうまく使った作品。素敵な作品」。
先日5/22のレクチャーでは「緻密なソナタ。退廃的な感じ。…」とご紹介くださいました。「第1楽章は打楽器的。第2楽章は狂気じみている。陰惨。冷たい。
第3楽章は躍動的。民族的。コケティッシュ…」それから、「リズム感が素敵」と。

小山さんはどんな作品でも、その魅力をみつけて伝えてくださるので、萩谷さんのおっしゃったとおり、聴く側も、ほんとに素敵!と思って聴くことができますね。
3/5彩の国で初めて小山さんのバルトークを拝聴し、今回2回目ですが、この作品が好きになりつつあります。力強くて繊細な、小山さんの魅力ほとばしる演奏でした。小山さんの旅のお伴を続ければ、好き嫌いゼロになれるような気がします。

(No.4552カルロス・さかのさんも小山さんの「強さの中の『繊細さ』」について書かれていますね)

《ベートーヴェン:ソナタ第29番》
「〜未来の扉を開いて〜」プログラム後半は、「ハンマークラヴィーア」。
小山さんはこの作品を「深い思い。壮大、果敢。将来へ向けての可能性…」と紹介されました。小山さんの演奏は、プログラムノートのお言葉のとおり、まさに「全身全霊」でした。
この作品を作曲したベートーヴェンは偉大ですが、このような作品を演奏なさる小山さんも、やっぱり偉大だと思います。書き記された音符や記号は、そのままでは聴衆の耳には届きませんものね。尊いお仕事です。

小山さんの演奏でこの作品を聴くことができたことを幸せに思います。
情熱的な叫びと、えもいわれぬ美しい調べに、心を奪われました。
特に、「何度か聴いているうちにこんなにいいものはない、と思う。哀しい、胸にしみる、刺さる…」と小山さんがレクチャーでお話しくださった第3楽章は、もうほんとに美しさの極みで、胸がしめつけられる思いがしました。
「ベートーヴェンと神との対話」が静かに心にしみ入ります。それはつまり(作曲家と心を通わせることのできる)小山さんと神との交信であったと、私も思います。(Nos.4551,4553のお二人のお気持ちとつながりますね)

そして、フーガの楽章は「迷いのないフーガ」(5/22のレクチャー)とのお言葉どおり、潔い、強い力がみなぎる演奏が、勇壮な音楽を生みました。
「未来を見据えて」挑戦し続けたベートーヴェンと、「やりたいことにチャレンジし続ける」小山さん、お二人の勇ましいお姿が重なります。
あまりに畏れ多くて、最後の和音の余韻を聴き終えても、すぐには拍手ができませんでした。

アンコールは、シューベルトの即興曲 作品142-2。
凄まじい本編には穏やかなアンコール。あぁ、この組み合わせの妙。
先ほどのフーガの対極にあるような曲の調べに、興奮した神経が鎮まります。
アンコール二つ目は、同じく即興曲 作品142-3。
変奏曲つながりで締めくくられ、ステキな構成でした。(変ロ長調つながりでもあったのですね!)

小山さん、素晴らしい音楽を聴かせていただき、どうもありがとうございました。
東京公演をまた楽しみにしております。
Date: 2016/05/31/09:14:15 No.4555

Re:「フーガへの尊敬しかないと思います」(小山さん)@宗次ホール
とさま
★ぴあのふぉるて様

小山さんのお言葉【フーガへの尊敬しかないと思います】をご紹介いただき有難うございます。小山さんのこのお言葉に心を強く揺り動かされました。何と深いお言葉なのでしょうか。そして、ベートーヴェンの創作に対する感嘆の念と、作曲者への深い尊崇の念を『フーガへの尊敬』と表現される小山さんへの尊崇の念は深まるばかりですね。

ぴあのふぉるてさんは、2000席クラスの大ホールであるオーチャードで小山さんの演奏を聴かれていらしたのですね。対する宗次ホールは300席の小ホール。【いわば、音のカプセル。ホールも楽器であるということを、初めて心から実感しました。小山さんのピアノの音に包まれて、幸せでした。】・・・奏者・ピアノ・ホールの三位一体感、それが小山さんのピアノの音に包まれたように感じられた要因なのですね。私も、本当に幸せでした。【音のカプセル】という表現も実に的を射ていますね。

レクチャー@東京(5月22日)での小山さんの貴重なお話しも交えて、宗次ホールでの小山さんの素晴らしい演奏のレポートをしていただき有難うございます。特にフーガについての小山さんのお言葉が題目だったのですね。【小山さんが演奏なさると、だからこれほど崇高で美しい音楽が生まれるのですね。】・・・ぴあのふぉるてさんの小山さんに対する尊敬の念が滲み出ていて、嬉しくなります。

ぴあのふぉるてさんは、小山さんの演奏でバルトークのソナタを2回聴かれたのですね。この作品が好きになりつつあると仰るぴあのふぉるてさん、【小山さんの旅のお伴を続ければ、好き嫌いゼロになれるような気がします。】・・・小山さんがこのお言葉をお読みになれば、とてもお喜びになられると思います。演奏者冥利に尽きると思うからです。素晴らしい料理をいただいて、好き嫌いが無くなればシェフが喜ばれるのと同じように。

小山さんが全身全霊で演奏されたハンマークラヴィアソナタ。【情熱的な叫びと、えもいわれぬ美しい調べに、心を奪われました。】とぴあのふぉるてさん仰るように、全て素晴らしいですね。【(作曲家と心を通わせることのできる)小山さんと神との交信であった】(ぴあのふぉるてさん)第3楽章は本当に白眉でしたね。揺らがない、ぶれないテンポ、ベートーヴェンが指示したところ以外はほぼインテンポ、長大なリタルダンドの見事なコントロール、長大なクレッシェンドやトリルに込めた情熱・・・全てが「ベートーヴェン(=小山さん)と神との対話」のために奉仕していたからこそ、このような感動的な演奏が産まれたのでしょうね。

チャレンジをキーワードにベートーヴェンと小山さんを対比させたフーガの楽章のご感想も大変興味深いです。私も最後の和音が鳴り終わった直後は涙が溢れ、拍手ができませんでした。

【書き記された音符や記号は、そのままでは聴衆の耳には届きませんものね。尊いお仕事です。】(ぴあのふぉるてさん)に深く同意します。小山さんへの感謝の念が深まるばかりですね。 

とさま
Date: 2016/05/31/22:49:56 No.4556

Re:「フーガへの尊敬しかないと思います」(小山さん)@宗次ホール
ぴあのふぉるて
とさま様
拙文にお心のこもったリプライをいただき、恐縮いたします。
一つ一つ丁寧にお読みくださり温かなコメントを頂戴し、どうもありがとうございます。
題目に掲げた小山さんのお言葉は、レクチャー前半、ヘンデルヴァリエーションのお話の中で発せられたものですので、素晴らしいフーガを書いたブラームスへの尊敬を表したお言葉だったかもしれません。しかし、きっぱりとおっしゃったこのお言葉こそ、プログラム全体を貫く小山さんのお気持ちに違いないと思い、名古屋公演でそれを確信し、タイトルとして使わせていただきました。
Date: 2016/06/01/12:15:51 No.4557


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