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小山さん炸裂する。
ぴあのふぉるて
改修されたばかりの美しいサントリーホールで、一昨日9/10、小山さんご出演の演奏会を拝聴いたしました。
ザ・プロデューサー・シリーズ 片山杜秀がひらく「日本再発見」
“戦中日本のリアリズム”〜アジア主義・日本主義・機械主義〜
四人の日本人作曲家の作品が演奏されました。

プログラム冒頭は、尾高尚忠:「交響的幻想曲《草原》作品19」
指揮の下野竜也さんと東京フィルハーモニー交響楽団の皆様の素晴らしい演奏に、すぐに惹きこまれました。弦楽器の奏でる雄大な美しい響きにモンゴルの広い草原を思い浮かべました。解説によると、「《草原》は1943年7月に完成し、よく年に複数回演奏されたが、戦後の演奏は今回が初めてではないだろうか。」とのこと。残念なことでしたね。今回の演奏を機に、今後は演奏される機会が増えますように。
盛大な拍手に応えながら、その拍手を楽譜のほうへ向けようとなさる下野さんのお姿に感動しました。注目してほしいのは指揮をした自分ではなくて、この楽譜を書いた作曲家です、というお気持ちの現れだったでしょう。

二つ目は、山田一雄:「おほむたから(大みたから)作品20」
「この曲の楽譜は山田によって戦後は隠し通され、復活演奏は2001年4月28日、飯守泰次郎指揮 新交響楽団によって行われた。」とのこと。難しい時代だったのですね。復活してよかったですね。
冒頭、トランペットの勇壮な響きで始まりますが、すぐに悲しいメロディーが続きます。前から二列目の座席は奏者との距離が近くて、弦楽器や管楽器の音色とともに振動も身体に届き、迫力があります。(管楽器や打楽器奏者のお姿は見えなくて残念なのですが…) 哀愁を帯びた力強い音色は作曲家の心の奥からの叫びとして、深く胸に突き刺さりました。
悲しい葬送音楽を渾身の演奏で聴かせてくださった下野さんと団員の皆さんに感謝します。この作品はマーラーの交響曲第5番第1楽章とつながりがあるそうです。マーラー作品をご存じの方には、さらに心に沁みたことでしょう。

温かな拍手の中、下野さんが譜面台の楽譜を(団員さん紹介のように)紹介なさるお姿にいちだんと大きな拍手が湧きました。作曲家への尊崇の念がひしひしと伝わりました。

休憩後は小山さんのご登場。
あぁ、なんと美しいご衣装でしょうか。
緑色の地に梅、小菊、桜や松などが描かれています。着物の生地(ちりめん?)のドレスは総模様で華やかです。金糸やビーズも光っています。和柄のドレスをお召しになったのは、聴衆に、目からも「日本」を感じてほしいと思われたからでしょうね。小山さんの感性と「日本再発見」プログラム全体への心くばりに感激しました。

そしていよいよ、伊福部 昭:「ピアノと管弦楽のための協奏風交響曲」の演奏が始まります。
すごい。小山さん、ピアノを弾くというより、鍵盤を「打つ」ように演奏なさっていました。全曲を通して、打楽器的な奏法が大部分を占めていました。指をまっすぐに立てて、上から、ダン、ダン、ダン、ダン…。鋼のように硬い音で強いリズムを刻み続ける白熱の演奏は、他の誰にも真似できないと思います。
ピアノとオケの凄まじい掛け合いに圧倒されました。(第1楽章の後に拍手してしまった人の気持ち、よくわかります)
憂いを帯びた美しい第2楽章に続いて、第3楽章。小山さんは微笑みを浮かべて演奏に入られましたね。(来た、来た! ついに小山さん炸裂!)聴いているこちらも思わず頰が緩んでしまいました。俊敏な腕の動き、鋭いタッチ、重厚な低音と美しい高音、鮮やかな変化、滑らかなグリサンド、等々、小山さんの最高の技と心意気に、すっかり心を奪われました。
「実は私はこういうリズミックな音楽、大好きなんです。自分の素に近いものを感じます。」(HPの小山さんのメッセージより)…やっぱりそうなのですね。小山さん本当に生き生き演奏なさっていましたね。

「この作品に出会って、『自分の信念を貫く』ことの潔さをあらためて感じています」とのお言葉(伊福部先生への尊敬に満ちたお言葉ですね)を拝読したときは、あぁ、でもこれこそ小山さんご自身がいちばん大事になさっていることに違いない、と感激しました。「信念」と「潔さ」は、まじょるか魔女さんと私が日頃から小山さんの音楽に感じていることなので、小山さんのお話にその言葉を見つけて、すごく嬉しく思いました。

ところで、演奏中、楽譜が置かれていますが、譜めくり担当の人は、いません。めくるのは、小山さんご自身で、その譜面には、極小の音符が並んでいる(ように見えます)
終演後にサイン会で楽譜について伺いました。
なんと、小山さんの手作り(コピーを切り貼り)なのだそうです。素敵な作品なのに、市販の楽譜がないなんて、もったいないことですね。
楽譜を置いていたのは、全体の「景色を見るために…」とのお答えに、ピアノの出番が多いわりにページはたまにしかめくられない謎が、解明されました。
(ファンとしてはピアノ協奏曲を聴くような気持ちでおりましたが、作品はあくまでも「〜交響曲」なのでした)
なるほど、音楽の流れを確認するための楽譜だったのですね! つまり、この作品はもちろん、もう小山さんの身体にしっかり取り込まれていたのです。
「音楽そのものが体に入るまでいかないと、先生の音楽にならないのが難しいところですね。」とメッセージにもありましたね。
小山さんはステージ本番でそのお言葉を実証なさったのです。
改めて小山さんの才能に驚嘆いたしました。
この作品も、1942年の初演の後、不幸な運命をたどったようですが、小山さんの演奏によっていっそう注目されることになるのではないでしょうか。

会場からの割れるような拍手とブラボー!ブラボー!の嵐に数回のカーテンコールが繰り返された後、小山さんがお選びになったアンコール曲は…
伊福部 昭:ピアノ組曲より「七夕」。
なんと静かで優しい音色でしょう。興奮が一気に鎮まります。
この日のために同じ作曲家の他の作品を色々と研究なさったのですね。最適な選曲が、自然に、さりげなく、できてしまう小山さんに、ただただ敬服いたします。

短い休憩が入り、プログラム最後の曲は、諸井三郎:「交響曲第3番 作品25」
静かに心に染み入る気高くて美しい音楽でした。(先ほどの小山さんの美しいアンコール曲はこの作品への導入にもなっていたのですね。)
この交響曲第3番も「プロのオーケストラが公開で演奏するのは今回が39年ぶりだろう」とのこと、実にもったいないですね。
第3楽章「死についての諸観念」はパイプオルガンも入り、最後は天窓から光が差し込む情景が見えるようでした。
下野さんのタクトがゆっくりおろされて、崇高な音楽が静寂に変わったとき、思わず手を合わせてお祈りしました。拍手はその後で…。
温かな拍手に包まれて、下野さん最後にまた楽譜と作曲家へ敬意を示され、その謙虚なお姿に感動がいっそう深まりました。

プロデューサーの片山杜秀さん、熱演してくださった下野竜也さん・東京フィルハーモニーの皆さんと小山さん、素晴らしいコンサートを本当にどうもありがとうございました。
Date: 2017/09/12/11:47:28 No.4744

Re:小山さん炸裂する。
とさま
★ぴあのふぉるて様

 素晴らしく感動的なご投稿を拝読し、何度も読み返し、感動を新たにしています。

 音楽に対する愛情、プロデューサーへの尊敬、奏者に対する尊崇の念が、滾々と湧く泉のごとく文章に綴られていて、歴史に残る、当日の比類なき音楽創造の世界の記録として、誠に貴重なご投稿です。ぴあのふぉるてさんの想いは、当日一緒に居合わせた、全ての音楽愛好家が共通して感じた想いなのではないでしょうか。4人の偉大な作曲家、プロデューサーの片山さん、ピアノの小山さん、指揮の下野さん、東京フィルハーモニ交響楽団の団員の皆様が、ぴあのふぉるてさんのご投稿をお読みになれば、さぞかしお喜びになることでしょう。

 ぴあのふぉるてさんが言い尽くして下さったので、私は、少し別の視点で感想を綴らせて下さい。

《片山先生の慧眼(けいがん)》
 プロデューサーをお勤めになった片山先生の慧眼(けいがん)に圧倒されます。『片山杜秀がひらく「日本再発見」』シリーズは、戦前・戦中・戦後の日本の音楽事情にテーマを絞り、4回に分けての公演企画でした。小山さんが出演されたのは「戦中日本のリアリズム」と題された最終公演でした。プログラム冊子の裏表紙に『耳からウロコの夏になる』と書かれていたのですが、まさにその通りで、このような素晴らしい作品群を知らなかった自分の不明を恥じる想いです。

 「日本の作曲家」や「日本の音楽史」をもっと幅広く取り上げるべきとの片山先生の執念のような想い、それをご自分の使命のようにお考えになっての入念な準備…この企画を実現するまでに伴ったであろう、幾多の困難を克服され、成功裡に終えられたことは、誠に慶賀のいたりです。日本の作曲家の素晴らしい音楽作品との出会いを造っていただいた片山先生に感謝の言葉がないほどです。

《諸井三郎先生の交響曲第3番》
 ぴあのふぉるてさんの素晴らしいご感想【第3楽章「死についての諸観念」はパイプオルガンも入り、最後は天窓から光が差し込む情景が見えるようでした。】から分かるように、この作品の白眉は第3楽章のアダージョだと思います。

 私の一番愛する作曲家の一人である、アントン・ブルックナーを彷彿とさせるような、深遠な音楽であり、このような作品が戦時中1944年に日本人(諸井三郎先生)が作曲した事実に驚嘆します。上述したように、ぴあのふぉるてさんが、これ以上ない見事な文章で描写して下さった終結部の音楽の素晴らしさは筆舌に尽くし難いものがあります。救済と祈りの音楽であり、西洋的に言えば天国的な音楽、日本的に言えば彼岸の音楽。【天窓から光が差し込む情景が見えるようでした】(ぴあのふぉるてさん)…ブルックナーの交響曲第9番あるいは交響曲第7番のフィナーレの終結部と同様に、魂の籠った音がきらめく光の粉のように天から舞い降りてくるかのようでした。ブルックナーと同様に、最後の和音の後に置かれた長大な休符…音が減衰し無音の休符が静寂の音楽を形成します。下野さんのタクトが降りるまで10秒以上の時間があったでしょうか…この世のものとは思えない美しい彼岸の響きの終結部は、休符と協働しながら、人智を超越した昇華された音楽空間を創出したのです。マエストロ下野さん、東フィル、そして聴衆が三位一体となって産み出した奇跡のような時空間だったのです。

《コンサート全体に心を配られた小山さん》
 伊福部先生の「ピアノと管弦楽のための協奏風交響曲」の小山さんの凄演を拝聴し、まるで初演に居合わせたかのような錯覚に陥りました。何と幸せなことでしょうか!まるで小山さんのために作曲されたかのような作品であるとも言えます。【小山さんの演奏によっていっそう注目されることになるのではないでしょうか。】(ぴあのふぉるてさん)…そうなって欲しい傑作に違いありませんが、小山さん以外に、この作品の本質を見事に弾き切ることのできるピアニストは居ないのではないか、と思わせるほど、小山さんの奏楽に圧倒されました。

 小山さんは、アンコールで、伊福部先生のピアノソロ作品の中から、「七夕」という静謐な作品を選んで演奏して下さいました。ぴあのふぉるてさんが言及されているように、この選曲は、小山さんが、この日のコンサート全体に心を配られた末の最適な選曲だったと確信しています。原始的で生な響きに充ちたエネルギッシュな「ピアノと管弦楽のための協奏風交響曲」の第3楽章とブルックナーを想起させるような『静かに心に染み入る気高くて美しい音楽』(ぴあのふぉるてさん)である諸井三郎先生の第3交響曲を繋げるために、小山さんは、静かで優しい「七夕」を演奏されたのだと思います。ぴあのふぉるてさんのお言葉【先ほどの小山さんの美しいアンコール曲はこの作品への導入にもなっていたのですね。】に深く同意します。

 かなり飛躍しますが、この小山さんの発想は、ベートーヴェンの最後のピアノソナタ第32番ハ短調作品111を想起させます。〔地上と天国〕、〔闘争と平安〕のように、作品111の第1楽章と第2楽章はベートーヴェンの二元性が際立った作品です。しかしながら、ベートーヴェンは、その第1楽章の末尾にハ長調に転調する美しいコーダを用意し、2つの楽章を音楽的に繋いだのです。小山さんが、今回の公演で取られた音楽的思慮に基づいたアンコールの選曲に、小山さんという稀代の芸術家の奥儀の一端を見るかのようです。

★★小山さん:私の音楽体験の中で、最高に素晴らしいコンサートの一つでした。伊福部音楽のピアニズムを堪能しました。諸井三郎先生の作品では、ピアノソナタ第2番が素晴らしいですね。諸井先生の作品に違和感なく繋がる、アンコール曲を挟んでいただき、感動の質が更に増幅されました。一生忘れられないコンサートでした。有難うございました。

★★マエストロ下野さん:下野さんの指揮するベートーヴェンが好きです。第5交響曲では、下野さんの指揮が私の中でベストの一つです。今回、4曲の傑作を復活演奏して下さり、いずれも圧倒的演奏として、永遠の輝きを失わないでしょう。有難うございました。
Date: 2017/09/12/22:49:04 No.4745

Re:小山さん炸裂する。
covariant
今夜もこんな時間になってしまったので、そろそろアップされているのではないかと、訪ねてみましたら案の定、まさとさんの写真付きのご報告に加え、ぴあのふぉるてさん、とさまさんお二人の名手によるご投稿を拝見し、私達もその感動を共にできることに、感謝せずにはおれません。

リニューアルされたサントリーホールで、「日本再発見」が挙行され、その大役にふさわしい小山さんの演奏も実現されたのだと思うと、新たな時代の光を見い出したようにも感じる、と言っては言いすぎでしょうか?管理人まさとさんの写真やFacebookで拝見した小山さんの衣装も、ぴあのふぉるてさんのご説明で、なるほどそうだったのか、と得心しました。

そして、ぴあのふぉるてさんが仰った小山さんのピアノ上の楽譜ですが、私はきっとそのような使い方で、楽譜は置かれるのだろうな、と想像していました。ソロでの演奏では楽譜を置かれない小山さんも、他の奏者との協奏の場合には、それら奏者の演奏を予見する上で楽譜があったほうがいい、と以前仰っていたと記憶するからです。でも、実際どうだったんだろう?と気にしていましたので、ぴあのふぉるてさんのご報告は、私にとってもまさに的を射たり、それにしても小山さん手作りの楽譜とは!ほんとうに素晴らしいです。
Date: 2017/09/13/02:11:15 No.4746

Re:小山さん炸裂する。
まじょるか魔女
小山さんが伊福部さんのゴジラの曲を弾かれる
(^。^)、その曲は舘野泉さんが演奏されたことがある、と教えていただき、「ピアノと管弦楽のための協奏風交響曲」を youtubeで聴いてみました。
「ピアノは打楽器‥」と仰った 小山さんの言葉と、バルトーク ピアノソナタを嬉々として演奏されていた 小山さんのお姿を思い出していました。

生まれ変わったサントリーホールに響く音色を、びあのふぉるてさん、とさまさんのお心のこもったきめ細かいレポートから想像しています。
covariantさんもコメントされているように、小山さんの和柄のドレスは今回のテーマを体現されていますね。
まさとさんの写真付きレポートも嬉しく拝読しました。

日本人のDNAには和太鼓のリズムが組み込まれているのではないでしょうか。
ピアノという打楽器を打鍵される 小山さん。
「血湧き肉躍る」という言葉が浮かんできます。
フィナーレのグリッサンドでは、鍵盤という大地が力強く耕され掘り起こされ、生命力がホールにスパークしたことでしょう。
臨場された方は、できれば踊りたかったのでは?鼻血が出そうだったのでは?(≧∇≦)などと想像しています。

その昂まりを鎮めるように、アンコール「七夕」と、諸井三郎さんの「交響曲第3番 作品25」が演奏されたのですね。
手を合わせてお祈りしたくなるような音楽だったのですね。

いつか拝聴できる日がきますように。
素晴らしい企画と一期一会の演奏についてお知らせいただき、有り難うございました。
Date: 2017/09/14/00:26:45 No.4747


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小山さんのスフォルツァンド(sf):作曲家の想いが宿るsf
とさま
★まじょるか魔女様(No.4736):『こどもの夢ひろば』の拙い報告(No.4735)に温かいReplyを有難うございました。魔女さんのお言葉『ひとかけらの勇気を持ち続けて能動的に「かんじよう!」とする思いと姿勢(が大切)。』に深く同意します。力むことなく、脱力して『ひとかけらの勇気』からスタートできればいいですね。

★オクターヴ練習中様(No.4738):時の経つのは速いですね。オクターヴ練習中さんは黒鍵のエチュードに挑戦されているのですね。私はピアノを弾くことができないので、とても羨ましく思います。ピアノに向き合うことで、新しい発見が沢山あったようで、それは本当に素晴らしいことですね。音楽が好きということは、幸せなことなのではないでしょうか。これからも音楽をより深く、そして心から楽しんで下さいね。

〜〜〜〜〜〜〜
さて、きょうは、小山さんのsf奏法の素晴らしさについて綴ってみたいです。

 スフォルツァンド(sf)が音符に付与されると、“その音を特に強く”演奏することを意味します。類似の音楽記号にアクセント(<)やフォルツァンド(fz)があります。“その音を特に強く”という点では共通しますが、楽想によって使い分けられるように見えます。弱奏が続く中、突然ある音を強くするようなときに、sfが使われる傾向があるようです。一方、クレッシェンドして、頂点の音を強調するようなときに、fzが使われることが多いようです。

作曲家によって傾向(好み)が異なりますね:

●ベートーヴェン・・・sfを多用し、一つの小節の中で何度も使うことを好みました。

●ブラームス・・・sfを比較的多用しましたが、ここぞというときに、sfでも足りず、sff(スフォルツァティッシモ:sfより更に強く)を使いました。例えば、6つの小品・作品118の6には、2回sffが登場します。小山さんの前人未踏の《最高の音楽》は、このsffの付与された和音に込められたブラームスの想いが具現されたことによって産まれたのです。

●シューベルト・・・sfは滅多に使わず、代わりにアクセント(<)を使用し、ここぞというときにはffz(フォルツァティッシモ:fzより更に強調)を使いました。例えば、最後のピアノソナタD960の第1楽章の提示部の1番括弧にffzが登場します。この音符に込めたシューベルトの渾身の想い…小山さんは単なる絶叫ではなく、粗野の対極にある音楽的なffz音を響かせることで、絶望を越えた世界観を提示されたのです。

**********
ここでは、ベートーヴェンの最後の3つのピアノソナタ(第30番ホ長調作品109、第31番変イ長調作品110、第32番ハ短調作品111)におけるsfに注目してみます。頻度は別にして、sf やfzは音を強調する記号ですから、『それらに作曲家の特別な想いが込められている』と考えるのは自然なことでしょう。そうであれば、「気持ちが一番大切」と仰る小山さんの奏楽が特別な音楽的価値を生み出すことは想像に難くないところです。また、ある意味で、聴きどころにもなると思うのです。

.戞璽函璽凜Д鵝Ε團▲離愁淵紳30番ホ長調作品109の第3楽章 《第4変奏》

第4変奏の前半は、霊感豊かな音楽がポリフォニックに進行し、小山さんは、限りなく優しい眼差しで、ベートーヴェンの「心の想い」を聴き手に届けて下さいました。

 しかし、第4変奏後半で音楽の雰囲気は突然変わり、9/8拍子の弱拍上のアクセント(<)と執拗なスフォルツァンド(sf)を繰り返しながら高揚し、最後には、第3楽章で唯一のffの頂点を築きます。小山さんは、全身全霊でベートーヴェンの尋常でない想いを語られます。<やsfが、物理的音量としてのffを導く役割を果たすだけでなく、ベートーヴェンの想念を、魂(心)の叫びとして表現するために不可欠であること…そのことを初めて気づかせて下さったのが小山さんなのです。


▲戞璽函璽凜Д鵝Ε團▲離愁淵紳31番変イ長調作品110 《第3楽章》

音楽史上稀にみる独創的かつ感動的な音楽を築くのが作品110の第3楽章です。息も絶え絶えの2つめの【嘆きの歌】に続くのが、10回の鐘の音によって導かれる、まるで天から舞い降りてきたかのように始まる2つ目の【フーガ】です。

やがてフーガ特有のポリフォニー音楽からホモフォニー音楽(右手が旋律で左手が伴奏のイメージ)の祈りと賛美の音楽(第184小節〜)に移行し、sfが極めて重要な役割を担うようになります。最初に登場するsfはF(ファ)とAs(ラ♭)の3度の単純な和音に付与されています(第188小節)。しかしながら、驚くべきことに、多くのピアニストがsfを感じさせることなく、まるで経過音のように淡白に扱っているのです。

それに対し、小山さんは、おそらく『ベートーヴェンは、苦悩から解放された、歓びと感謝の最初の想いをこの和音に特別に込めたかった=だからsfを付与した』とお考えになられて、この和音に全身全霊でベートーヴェンの魂の音楽を注がれました。小山さんの奏楽の見事さに言葉を失い、ただただ圧倒されます。同様に、第200小節から登場する(フーガ)主題に付与されたsfの和音とそれに続く3つの強烈な減七和音(緊張感を与える特別な和音で、作曲家の腕の見せ所のような和音)に、ベートーヴェンの震えるような感動的な想いを小山さんほど深く込めたピアニストは、私の比較的長い音楽体験の中で、居ません。

作品110の最後は、確信に満ちたアルペジオで壮大に盛り上がり、天に導かれるように、苦悩から永遠の歓喜の世界に到達します。この歓喜の感情を共有するためには、そこに至るまでのベートーヴェンの想念に心を寄せる必要があると思うのです。sfは、単に『その音を特に強く』という音楽記号ではなく、ベートーヴェンの想いを具現するために、音楽全体を支配するほど重要な役割を果たしている…そのことを立証した初めてのピアニストが小山さんなのです。


ベートーヴェン・ピアノソナタ第32番ハ短調作品111 《第1楽章》

【ピアノで綴るロマンの旅】、【音の旅】の最終回の末尾を飾る作品…158小節から成る、その第1楽章にはsfが約70回!も登場します。ここでは、たった22小節の短い展開部末尾5小節(第86〜90小節)に登場するsfに着目します。フォルテ(f)を基盤とし、各小節、3つの音を基本とする第1主題を素材とし、3拍目の2分音符(もしくは付点4分音符)の和音にsfが付与されます。しかも、sfが付与された和音は、ことごとく、ベートーヴェンお好みの減7和音なのです。さらに、減7和音に続く、一瞬遅れて現れる左手の分散減7和音が尋常でない雰囲気を醸し出します。

 fを基盤とした〔sf+右手減7和音+左手減7分散和音〕の5小節…前述した作品110のコーダと同様に、これ以上〔情熱(=想い)の沸騰〕を想起させる音楽的状況は無いのではないでしょうか。ところが、にわかに信じ難いことに、極めて多くのピアニストが、第1楽章全体を覆う緊迫感や闘争的とも感じられる情熱の沸騰に圧倒され、この5小節を経過句のごとく扱っているのです。ベートーヴェンの真実の想いを具現できるピアニストは小山さん以外には考えられないのです。

記憶が明確でないのですが、20年前、もっと以前だったでしょうか、小山さんが演奏された(と記憶する)作品111の名演が私のスタンダードになっています。何十年振りかになる、10月の小山さんの演奏を聴かせていただくのが待ち遠しい限りです。


********
sfは、小山さんが上梓(じょうし)された新著〔点と魂と〕のサブ題目〔スイートスポットを探して〕と密接に関係していると思います。音楽的に意味のあるsf音を響かせるには、恐らく打鍵の位置が0.1mmずれても達成できないのではないか…著書を拝読して、そのように思いました。また、ピアノの調律(調整)を通じて、打鍵しやすくすれば、無難な音楽に終わってしまい、聴き手の心を奪うことは出来ないのではないか、と想像されるのです。

スイートスポットに的中させて、音響学的に(物理的に)勁い(つよい)音を響かせる小山さん…しかし、小山さんは、そこに作曲家の想いを全身全霊で注がれます。小山さんより更に素晴らしい演奏を聴きたいのであれば、それは次の小山さんの演奏を待つしかないでしょう。そして小山さんの凄いところは、《最高の音楽》を目指して、常に一期一会の感動的な演奏を各地で繰り広げられていることだと思います。

sf音を奏して、誇張や恣意を一切感じさせることなく、音楽の本質(作曲家の想い)を違和感なく自然に浮かび上がらせることができるピアニストが小山さんです…小山さんの演奏がかくも多くのファンに愛される理由の一つなのではないでしょうか。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜
★★小山さんへ:8月もまもなく終わり、秋の音楽会シーズンが始まりますね。作曲家の真実の想いの籠った素晴らしい演奏をいつもお届け下さり感謝しています。これからも多くの人を幸せにして下さい。気候が不順の折、ご自愛くださいますようにお願い致します。

とさま
Date: 2017/08/26/13:08:12 No.4739

Re:小山さんのスフォルツァンド(sf):作曲家の想いが宿るsf
covariant
とさま様
いつもながらこのコーナーに深い解釈と愛情溢れるコメントをいただき、その恩恵を受ける者の一人としてほんとうに感謝致します。このコメントを頭に置いて、これからのベートーヴェン・ソナタ拝聴に臨みたいと思います。仙台での『こどもの夢ひろば ボレロ』の臨場感溢れる詳細なご報告も、ありがとうございます。
ついでで大変失礼ですが、ぴあのふぉるてさんのこれもまた詳細な記事情報も、いつもほんとうにありがとうございます。

9月に入ったばかりですが、当地は今朝から急に涼しくなりました。
小生は、先月8月末までに申請すべき仕事等も抱えていたことや、小山さんも公式には8月は夏休みとお知らせいただいていたこともあり、今日久しぶりにここを訪れてみました。そして皆様の最新投稿をいくつも拝見し、嬉しくなります。

小山さんの今月9月のスケジュール表を確認し、「サントリー芸術財団サマーフェスティバル2017」のサイトを見たところ、
10日の演奏を前に、小山さんの談話メッセージが載っていました!
スケジュール・カレンダーにも記載のあるとおり、演奏曲目は
伊福部昭作曲 ピアノと管弦楽のための協奏風交響曲
ですが、小山さんからのこのメッセージを見ると、そこには作曲者の伊福部先生の思いに対する小山さんの鋭い洞察が語られており、改めて小山さんの音楽に対する思いの深さと、その準備の幅の広さを知る事ができますね。
未だご覧になってない方がいらっしゃるなら、是非ともサントリーホールのサイトから入って、読んでいただきたいと思います。できることならこのコンサートにも足を運びたいと思ってしまうのは、私だけではないでしょう。
この小山さんのメッセージや、とさま様や皆様からのコメントと情報をまた一つの宝物として、この秋に向かいたいと思います。(^^;/~
Date: 2017/09/02/00:12:26 No.4743


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すべての感情を取り戻した時間
オクターヴ練習中
 時が過ぎゆくのは速いもので、第23回 「 音の旅 」 仙台公演から3か月。記述までに、これほど時間が掛かるとは公演拝見の時は思ってもみませんでした。この間ずっとピアノに浸りっぱなし。後悔をしないためだけに、今しか出来ないことに向き合ってみるという、自分が初めて自分に向き合って挑戦をするということをしてみたのかもしれません。
 ちょうど、第23回 「 音の旅 」 仙台公演の頃、もしかしたらピアノが弾けるようになるかもしれない、そんな感覚が出て来ていました。無謀な毎日ということは分かっていました。それでも、ひたすらピアノに向かう日々。それでも、なかなかピアノが弾けるようにならない。そして、どうしてもやめてしまうことも出来ない。なぜなのか。いまは、自分が、ピアノをあきらめることが出来なかったのかという理由も明確に解ってきたような気がします。けれど、このときはその理由がまったく解らなかった。いつか、この理由を”小山実稚恵さん”に伝えることが出来れば、と思っています。

 昨日と一昨日と、諸事情でピアノに触れることすら出来ませんでした。中2日あけ、3日ぶりのピアノ。ここ最近、朝一番に、ショパン 黒鍵のエチュード を練習していました。その ショパン 黒鍵のエチュード の運指を確認。暗譜の怪しいところが多々。ミスタッチ多々。評価をするならば、譜面を見たことがない人が聞くぶんには、弾けているように思えるかもしれません。(もうすこしテンポを上げることが出来ませんか、という声が100%出てくるような速度ではありますが)そんなレベルで弾いています。
 ”小山実稚恵さん”がノリノリで弾いていた、ショパン 黒鍵のエチュード。そんなイメージのある作品について、どうして、あのノリノリの感覚が出てくるのだろうか、理由を知ってみたい。そんな気持ちで、 ショパン 黒鍵のエチュード に取り組んでみました。
 1小節に3連符が4つ。フレーズの終りはレ♭の音が多い。次のフレーズはソ♭から始まる。安心感の連続で自然と身体も揺れてくる。音階は、ソ♭から始まってソ♭で終わる。日常であまり耳にすることのない音階に、無意識に聴き耳が起ってきてしまう。でも、最後の小節から数えて20小節目。前の全部フラットで、ミレシラソミレシラソレシの後に続く、トップノートで、「 ラ、シ、ラ、ソ 」 。この和音を導くために創られた作品。そう考えることで、この小節以外はすべて、ノリノリでいくように創られている。そんなことを感じながら ショパン 黒鍵のエチュード に向き合っています。

 前置きが長くなりました。なんでもいいから暗譜でピアノが弾けるようになる、そんな状態に来るまで、他のことがまったく手につかない、というような状態でした。なんとか、ピアノを弾き始めた、と言えるかもしれない。そんな感じです。(どれも運指が遅く、ミスタッチが多くて曲になっていないのですが)


 第23回 「 音の旅 」 仙台公演で、”小山実稚恵さん”に伝えたかったこと。それは、あの公演で、自分が失っていた感情を取り戻した、ということです。そう、それは、すべての演奏が終わっての、ステージからの退出。扉が開くと、待機をしていた方を観て、ほっとしたのか、笑顔で身体ごと崩れる様に、控室に入っていく”小山実稚恵さん”の姿を観ることになりました。なぜだろう。理由は解らない。演奏は完璧だったと思えるのに。そんなことを感じながら、控室へと入っていく”小山実稚恵さん”の姿を見ることになりました。きっと自分には解らないけれども、とにかく、なにかの理由があったのだろうというように思いました。けれど、あのときの、あの表情と、あの姿を、観たことで、自分の中で固まったままけっして動くことのなかった感情が、もう一度、動き始めることとなりました。自分があの席に座っていた理由は、あの表情、あの姿、を観るためだったのだろうと、そう思えてなりませんでした(自分の固まってしまった感情についても改めて記述してみたいと思っています)。ライブ演奏を観るということは、生きている様を観に行く、ということが揺るがないものになったわけです。

 いくつかの作品にピアノで向き合うことで、ピアノの大変さが分かるような気がしています。そして、ピアノに向き合ってみたことで、曲に取り組んでみることで、演奏を観る愉しみも出てくる、ということも感じています。無論。聴くだけ。それだけで十分、ということを踏まえて、です。

 第23回 「 音の旅 」 仙台公演 から3か月。ようやく伝えることとなりました。
Date: 2017/08/24/21:49:49 No.4738


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感性を磨くことの大切さ:『こどもの夢ひろば ボレロ〜つながる・集まる・羽ばたく〜』
とさま
残暑、お見舞い申し上げます。

  本物に触れあうことのできる楽しい出会いの場『こどもの夢ひろば ボレロ』。ひろばのメイン・イヴェントの大集合コンサート・・・2日間で午前・午後の部に分けた4回のコンサートが大変な盛会のうちに終了しました(7月29日(土)、30日(日)@日立システムズホール仙台・コンサートホール)。ちょっと訳があって、タイムリーにご報告できず誠に申し訳ありません。

  仙台生まれ、盛岡育ちの小山さんは、東日本大震災の被災地へ音楽を届ける活動をライフワークの一つとされています。小山さんは、震災直後から被災地の訪問コンサートを継続する中で、やがて「子どもたちに本当に必要なのは、新たな一歩を踏み出す勇気」なのではないか、と感じられるようになられました。そして「子供たちに、何でも、好きなこと、夢中になれることに出会って欲しい」との想いから、ゼネラルプロデューサとして、この素晴らしい『こどもの夢ひろば』を企画し、実行に移されたのです。3回目を迎える今回、テーマに「かんじよう(感じよう)!」を設定されました。

  広報誌に印刷された、小山さんと、今回、指揮者をお務め下さった広上淳一先生の『開催にあたっての想い』のお言葉をご紹介しましょう。

  【今年の“ボレロ”大集合コンサートのプログラムは、ベートーヴェンの「運命」とラヴェルの「ボレロ」です。ワクワクするような運命の出会いを楽しみにして、『こどもの夢ひろば』にみんなで遊びに来てね!】(小山さん)

  【若い人たちに向けたこのプロジェクトは、これからの日本に大きな勇気を与えることでしょう。実稚恵さんが夢に描く子供たちとのコラボの世界観が、彼女の出身地である仙台で花開くよう、応援したいと思います。】(広上先生)


  昨夏と同様に、館内各所で沢山の楽しいイベントが催されました。「書道パーフォーマンス〜文字の力〜」では、書道家の藤田雄大さんが〔かんじよう(感じよう)!〕の文字を大きな紙に書いて下さいました。定番の「サイエンスショー」や「プラネタリウム」に加えて、何かと話題になっている昆虫の世界に迫る「昆虫ワンダーランド」、昨年に引き続き、防災を意識した「ジェルキャンドル造り」などなど。今年の目玉の一つは「茶道ワークショップ」と「お抹茶体験コーナー」でした。小山さんも参加されたようですね。小山さんが期待された通り、どの会場も子ども達の笑顔でいっぱいになり、あちこちで〔運命の出会い〕があったことでしょう。

************
  さて、“ボレロ”大集合コンサートの模様をご報告します。

  今年は、広上淳一先生の指揮で宮城教育大学(宮教大)交響楽団の皆さんが演奏して下さいました。ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」の第1楽章及び昨年と同じ吉川(きっかわ)和夫さん編曲によるラヴェルの「ボレロ」というプログラムでした。

≪プレトーク≫
  小山さんがマイクを持って登場され、短いプレトークをして下さいました。今年のテーマ〔感じよう!〕について、【色々と見たり聴いたり体験して何か大切なことを感じ取って欲しい】という趣旨のことをお話下さいました。続いて、小山さんが広上先生をお招きされ、温かい笑顔をされたマエストロが登場されました。広上先生、いきなり小山さんに【小山さん、今何を感じていますか?】と振ると、小山さんは笑顔で【嬉しさを感じています】とお答えになりました。会場の聴衆みんなが明るい気持ちになる素敵な会話のキャッチボールでした。

  続いて、「運命」の特別編成についての説明をいただきました。オケは、宮教大生メンバーに、オーディションで合格した小中高生10数名が加わりました。小山さんが一人一人のお名前を呼んで丁寧に紹介して下さいました。そして、舞台上の2台のピアノの説明に入る前に、オーディションで選ばれた2人のリトル・ピアニストが拍手に迎えられて登場します。

  ベートーヴェンオリジナルの管弦楽版と(間宮芳生先生編曲による)2台のピアノ、3人のピアニストによる6手のためのピアノ版との合作版!ピアノだけが奏する部分、オーケストラだけが奏する部分、そして両方が一緒に奏する部分・・・【コンチェルトみたいなので、楽しんで下さい】と小山さんお話下さいました。いよいよ開演です!

《運命》
  リトル・ピアニストは第1ピアノの第1奏者と第2ピアノを担当し、小山さんは第1ピアノの第2奏者をお務めになりました。広上先生が聴衆の方を向いて、指揮棒を振り下ろされると、〔運命〕のあの有名な動機がピアノだけで始まります!何と新鮮な響きでしょうか!動機の繰り返しではオーケストラがしっかりと意味深く音を刻んでいきます。小山さんの予告通り、〔運命〕第1楽章は、深刻な音楽というよりは、推進力に溢れたコンチェルトに豹変し、輝かしい未来すら感じさせる素晴らしい音楽に変わっていたのです。

  充実した最後の和音を受け、盛大な拍手に会場は包み込まれます。広上先生と小山さんが、リトル・ピアニストに【何を感じましたか?】とインタビューをされました。

●【オーケストラの皆さんと沢山練習ができて幸せ】
●【オクターブが多く大変だったけれど、オーケストラ、小山さんと豊潤な時間を過ごせて嬉しかった】
●【オーケストラと合わせて気持ちよく弾けた】

など、貴重な音楽体験をしたリトル・ピアニストの高揚する様子が却って清々しい印象を与えました。

≪指揮者体験コーナー≫
  昨年に続いての1分間指揮者体験コーナーです。

【指揮したい人、手を上げて!】・・・子どもたちが一斉に手を上げて、もの凄い熱気となりました。小山さんが3人の子どもを指名されました。小山さん 【3人しか選べなくて、ごめんなさいね】という表情をなさっていました。

  曲は〔ボレロ〕の大詰めの部分です。広上先生が出だしの振りのサポートをして下さって、それぞれの子供が真剣に棒を振ってオケをコントロールしていきます。危なくなると、広上先生がそっと手を添えて下さいます。〔ボレロ〕のクライマックスと最後の雪崩落ちるような感動的な終止をリトル指揮者が現実に体験したのです!しかも、世界のマエストロ広上先生のご指導の元で・・・。

  体験後も緊張している子供をリラックスさせるために、広上先生と小山さんは楽しいインタビューをして下さいました。【好きな食べ物は?】、【将来何になりたい?】、【ピアニストになりたいの・・・指揮者はどう?(笑)】などなど。微笑ましい光景に聴衆の気持ちは温かくなりました。

≪ボレロ≫
  ボレロには、ピアノ連弾と合唱が加わります。合唱は、宮城教育大学付属小学校有志(3年生〜6年生)とNHK仙台少年少女合唱隊(小中高生)の皆さんでした。今回は、竹田理央さんの振付・ダンスの指導があり、ボレロのリズムに合わせて体を動かしたり、手を大きく回転させたり、聴衆もボレロに参加することができました。曲の後半から、通路左右に分かれて並んだ合唱隊が澄み切った美しい声で、「みんな一緒」がキーワードの歌詞【友達できるかな きっとできると思う 一緒に歌を歌おう 仲良しになろう】、【あの青い空を眺める 旅にでかけよう みんな一緒に 歌を歌って行こう】などと歌われていきます。

  オスティナート風に同じボレロリズムが繰り返され、少しずつ楽器を増やし(ピアノ連弾や合唱も加わります)、音量も次第に増大し、巨大な建築物を施工するように音楽が積み重なっていきます。そして最後の2小節で、雪崩れ込むような圧倒的な終結を迎えるのです。アマチュアのオーケストラから、これほどまでに音楽の本質に迫った演奏が聴けるのは、奇跡のようであり、広上先生への尊崇の念が深まるばかりです。

  covariantさんが1年以上前に紹介して下さった、ラジオ深夜便での広上先生のお言葉(No.4578)を思い起こしています:

【「最高の音楽」はブランドでは決まらない。心がこもっていれば、どこの場所で、どのような形であっても、あるんではないか。……(最高の音楽とは)名もないアマチュアのオーケストラでも、名もない学生オーケストラでも、いいものはいいし、柔らかな心で音楽を作り、そして聴衆は柔らかな心でそれを受け止める一緒の空間、のことをいうのではないか。】(広上先生)

  このお考えは、【気持ちが一番大事】と仰る小山さんのお考えと共通していると思います。書籍「そこに音楽があった 楽都仙台と東日本大震災」(梶山寿子さん著)に《ボロボロのピアノでも圧巻の演奏》という項目があります。「お世辞にも整った環境とは言えないが、小山さんは信頼する調律師を同伴して、そんなピアノをできる限りよみがえらせた。」という記述を受けて、小山さんが「音響やピアノの状態が悪くとも、何より大切なのは気持ち。心がこもっていれば、悪条件はカバーできる」とお考えになったことが紹介されているのです(No.4658の拙文より)。

《小山さんの素晴らしいお言葉》
  会場は、嵐のような拍手と喜びの歓声で一杯でした。子供たちだけでなく、大人たちも人生について深く考える機会となった演奏会です。私の隣に座っていた女性は泣きながら、こんなに感動したのは初めてと言いながら、笑顔を私に向けて下さいました。私も同じ状態だったのでしょう。

  小山さんと広上先生が〔3年目の気持ち〕についてお話しして下さいました(いずれも趣旨)。

●【習うより慣れることが大切・・・何回も何回も演奏しました。】(広上先生)
●【4回の本番・・・ステップアップして、最後には、感動して込み上げてくるものがありました。】(小山さん)
●【空間を通して音楽の喜びを伝えることの素晴らしさ!】(広上先生、小山さん)

  そして、小山さんの最後の一言は短いながらも、感動に充ちていました。

★【何か大切なことを感じること・・・どの世界にもある。音楽の世界で感じるものがあれば、他の世界でも何か大切なことを感じるものがある。】(小山さん)

 眠燭大切なことを感じること〕→〔自分の生き方を見つけること〕
◆眠燭大切なことを感じること〕→〔気付く力を身に着けること〕→〔無関心ではなく他者への思いやりの気持ちに繋がること〕

  これらの発展を実現するためには、〔感性を磨くこと〕あるいは〔感受性を豊かにすること〕がとても大切になるのだろうな、と思います。〔愛〕の反対は〔憎しみ〕ではなく〔無関心〕であると言われます。〔無関心〕からは何も産まれないことを考えると、【子供の夢ひろば】のテーマに【感じよう!】を設定されたのは本当に素晴らしいことです。そして、小山さんは多様性を大切にされるからこそ、〔他の世界でも何か大切なことを感じるものがある〕とお言葉を結ばれたのでしょう。

  昨年と同様に、舞台中央にかけられた、藤田さんが入魂の想いで書かれた「かんじよう!」の文字を背景に、小山さんが最後に語られたお言葉は、こどもにも大人にも等しく、人生において最も大切なことを教えて下さる、素晴らしいお言葉でした。小山さんの演奏と同じように、そのお言葉はいささかも揺らぐことのない、真実そのものを語っていました。

〜〜〜〜〜〜〜〜
★★小山さんへ:第3回「こどもの夢ひろば」が大成功に終わりましたね。子供も大人も【生きる勇気】のヒントを得ることができた素晴らしい2日間でした。広上先生と共演されたときの小山さんのコンチェルト演奏が《最高の音楽》になる理由もよく分かり、その意味でも収穫が大きかったです。小山さん、広上先生、宮教大交響楽団の皆様を初め、関係された全ての方に心から感謝申し上げます。
Date: 2017/08/12/22:20:04 No.4735

Re:感性を磨くことの大切さ:『こどもの夢ひろば ボレロ〜つながる・集まる・羽ばたく〜』
まじょるか魔女
とさまさん、“ボレロ”大集合コンサート@仙台のきめ細かいご報告、深く心に響きました。
小山さんと 広上さんの『開催にあたっての想い』のお言葉と、当日の会場の様子を詳しくお教えいただき有り難うございます。
今年のテーマ〔感じよう!〕は、舞台中央にかけられた「かんじよう!」の魂のこもった文字からダイレクトに伝わってきますね。
ファンサイト「FACEBOOK」の写真とメッセージも嬉しく拝見しました。

「〔何か大切なことを感じること〕→〔気付く力を身に着けること〕→〔無関心ではなく他者への思いやりの気持ちに繋がること〕」、
「〔愛〕の反対は〔憎しみ〕ではなく〔無関心〕であると言われます。
〔無関心〕からは何も産まれないことを考えると、【子供の夢ひろば】のテーマに【感じよう!】を設定されたのは本当に素晴らしいことです。
そして、小山さんは多様性を大切にされるからこそ、〔他の世界でも何か大切なことを感じるものがある〕とお言葉を結ばれたのでしょう。」
とさまさんのメッセージを、一人でも多くの人が共有できますように。

「癒しでなく、生きる勇気を」という 小山さんの想いが8月8日のFACEBOOKに紹介されていますね。
「一瞬で燃え上がり、すぐに燃え尽きる高熱ではなく、微熱の愛情を持って長く付き合っていこう。」
広上さんの言葉と共に、エネルギーの温かい伝導を感じます。
ひとかけらの勇気を持ち続けて能動的に「かんじよう!」とする思いと姿勢。
子どもにとっても、大人にとっても大切なことなのですね。
Date: 2017/08/16/00:20:23 No.4736


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「ジャン・ワン & 小山実稚恵 デュオ・リサイタル」感動のお福分け。
ぴあのふぉるて
先週7/13、小山さんとジャン・ワンさんのデュオ・リサイタル@紀尾井ホールは、ありえないほど素晴らしかったです。
お二人の生き生きした演奏に興奮しました。
小山さんの美しいピアノ演奏はもとより、ワンさんのチェロの鮮やかな奏楽に目も耳も釘付けになりました。チェロという楽器の演奏で、最後まで音程がきっちり正確で、一つもずれないことに驚嘆します。音色の明るさや躍動感、作品へ込められた思いなど、小山さんといっしょだと感じました。

ベートーヴェンもブラームスもラフマニノフも、皆さまピアノの名手でしたから、「チェロ・ソナタ」といっても、ピアノも重要な役割を担っていて、どれも聴きごたえのある作品ですね。
ベートーヴェンの作品も、続く二作品も、小山さんのピアノパートは音符が多くてお忙しそうな上、チェロの歌を引き出すために気をお使いになって、大変だったことでしょう。でも、小山さんにとってはそれよりも、ジャン・ワンさんとお二人で音楽を作り上げる楽しさの方が、優っていたように感じます。
(友人も、小山さんがステージでいつも楽しそうに、気負いのないご様子で演奏なさっていることに、いたく感じ入っていました)

小山さんとジャン・ワンさんのデュオ演奏は、時にピアノが前面に出る箇所もありますが、全体を通してピアノとチェロは対等な関係で、お二人ともに思いやりあふれ、優しく対話を重ねている印象でした。
楽章の合間には、お二人でしっかりとアイコンタクトを交わしておられました。
そして、一作品の演奏が終わるごとに、ジャン・ワンさんが小山さんの首に腕を回して抱擁し、喜びを表現なさっていたのが微笑ましく、心温まる光景でした。

ブラームスのチェロ・ソナタ第1番 ホ短調は暗〜い曲だと思っていたのですが、それは思い違いだったような気がするほど、明るさと活気に満ちた、輝かしい音楽でした。
ラフマニノフのチェロ・ソナタ ト短調は誠に美しい作品で、ピアノ協奏曲を聴くのと同じような充実感を覚えました。組曲第2番とも似ている箇所があるなぁと思ったら、同じ時期に書かれたのだそうですね。
小山さんのラフマニノフ演奏は、優美で瑞々しくて、大好きです。

アンコールにはショパンのチェロ・ソナタより第3楽章が、しっとりと奏でられました。
熱い拍手に応えて、最後は、ラフマニノフ:ヴォカリーズ を演奏してくださいました。チェロとピアノの美しい歌が心に沁み入ります。

サイン会で、ジャン・ワンさんに「素晴らしい演奏でしたね」(Beautiful music!)とお伝えしたら、すごくお喜びになり、両手で握手してくださいました!
今日の素晴らしいプログラムをぜひ小山さんとお二人で録音してください!と(一応英語で)お伝えしたところ、左隣りの小山さんのほうをご覧になって、にこにこなさっていました。
朗らかで人懐っこいお人柄も小山さんと似ていますね。
サインしていただいたCD「シューマン:ピアノ五重奏曲」、早速聴いてみたいと思います。

小山さん、素晴らしいデュオ・リサイタルをどうもありがとうございました。サイン会での温かなご対応にも心より感謝いたします。
次の演奏会をまた楽しみにしております。
とさまさん初めファン仲間の皆様、またご一緒できますように。

猛暑の折、どうぞくれぐれもご自愛くださいませ。
Date: 2017/07/17/00:24:43 No.4733

Re:「ジャン・ワン & 小山実稚恵 デュオ・リサイタル」感動のお福分け。
とさま
★★小山さん、小山さんのファンの皆様

猛暑お見舞い申し上げます。どうぞ皆様ご自愛くださいますようお願い致します。

小山さんの音楽を愛される皆様の素晴らしい投稿を嬉しく拝読しています。読ませていただくと、気持ちが前向きに元気になります。有難うございます。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
★ぴあのふぉるて様(No.4733)
心温まる臨場感あふれるワンさん・小山さんのデゥオ・リサイタルのご報告を嬉しく拝読しました。暗すぎて聴くのが辛かったブラームスの1番のチェロソナタ・・・【それは思い違いだったような気がするほど、明るさと活気に満ちた、輝かしい音楽でした】というぴあのふぉるてさんのご感想に、今宵のリサイタルの音楽的特徴と本質の全てが語り尽くされていますね。ベートーヴェン、ラフマニノフ作品の【ありえないほど素晴らしかった(ぴあのふぉるてさん)】演奏はもちろんのこと、ブラームス作品へのぴあのふぉるてさんの感想をワンさんと小山さんが読まれれば、とても嬉しく思われるのではないでしょうか。通常チェロでは、わずかに♭気味になりがちですね。ぴあのふぉるてさんご指摘のようにワンさんにはそれが皆無で、その上で、朗々と歌われていく音楽造りに圧倒されますね。ピアノが小山さんであるからこそ、稀代の名演が産まれましたね。現代最高峰の黄金デゥオの誕生を歓びたいです。

★きよ様(No.4732)
リリス@横浜での小山さんのリサイタルの模様をお知らせいただき有難うございます。チケットは発売とほぼ同時に完売だったようですね。蒸し暑い日で、ピアノの調整に時間がかかってしまったのですね。シューベルトは各地で名演を小山さん繰り広げられていて、きっとリリスの聴衆を魅了されたことでしょう。きよさん仰られるように、【小山さんの一つひとつの音に込める想いから生まれるのであろう造形】に私達は【打ちのめされる】のですね。

★ぴあのふぉるて様(No.4731)
いつもいつも小山さんに関する情報をきちんと纏めて、硬軟織り交ぜて、上質な記事として投稿していただき、有難うございます。世界最高のピアニストのお一人である、21世紀を代表する小山さんに関する記録として意義深い作業の労を取っていただき感謝しています。暑いのでご無理のないようにお願い致します。

★y.s様(No.4729)
何かと陰になりがちだったシューマンの幻想小曲集の小山さんの演奏にお寄せいただいたご感想は宝石のように貴重です。ぴあのふぉるてさんのリプライ(No.4730)の心に響く文章と併せて拝読させていただき、心が温かくなって参りました。【心のままに歌を歌っていた】(y.sさん)、【何の作為もない(ように聴こえる)、心からの自然な歌】(ぴあのふぉるてさん)・・・この歌を聴くために私達は小山さんの公演に集うのですね。

★covariant様(No.4728)
 音の旅で登場した名作群・・・小山さんの演奏で聴かせていただくと、今までこの曲の何を聴いてきたのだろうと、きよさんのお言葉を拝借すれば、まさに【打ちのめされる】のです。すると、とても困ったことになります。それは、他のピアニストの演奏で聴くことができなくなるのです。3度のご飯より好きな(かもしれない(笑))ゴルトベルクを小山さんの演奏で聴いてから、自宅にある同曲のCDがプレーヤに乗ることは無くなりました。図書館に寄付する予定です(笑)。covariantさんと同じ想いです。ゴルトベルクは小山さんの最新CDが登場しましたが、ベートーヴェンの後期の名作群、シューベルトのD960は小山さんの録音はまだですね。自宅のCDを整理できる日(=小山さんが録音をなさる日)を私もじっと耐えて待ち望みます(笑)。

★ぴあのふぉるて様(No.4727)
ラジオ深夜便のご感想を有難うございます。また、covariant様には情報提供及び聞き逃しサービスについて教えていただき有難うございました(No.4724)。朝4時台にラジオを聴いている人は多くはないはずですので、本当に助かります。小山さんの素晴らしさを一人でも多くの方に知っていただくために、このファンサイトは貴重ですね。管理人のまさとさんにも感謝しています。

★土の器様(No.4726)
 ぴあのふぉるてさんのオーチャード公演及びレクチャー&サロンのとても素晴らしいご報告(No.4722)への土の器さんのリプライを大きな喜びを持って拝読しました。土の器さんの豊かな感性に溢れた温かい文章に引き込まれました。そしてシューベルトのD960ソナタの第1楽章冒頭の『アウフタクト』の意味の発見!最初の『アウフタクト』の音と次の音との間の1/100秒の間合いを小山さんのように表現するピアニストは稀です。土の器さんの音楽的感性にブラヴァ―です。

 『アウフタクト』の音の前には休符があると考えることもできます。静寂の中で拍を数えて『アウフタクト』の音に繋がる・・・CDをプレーヤに設定してスタートボタンを押すといきなり始まる場合と無音の時間を経て始まるCDがあります。後者の方が音楽的ですね。この『アウフタクト』の音の前の無音の音楽を考慮すると、第1楽章の長大な提示部は繰り返した方がよいと私は思っています。もちろん第1括弧の特徴的な9小節を聴くためには繰り返しが必須というのもあります。しかし、その第1括弧の9小節の末尾で、シューベルトは『アウフタクト』で足りない分の無音の休符を置くのです。すると、繰り返しで冒頭に戻った時に素晴らしく新しい音楽の世界が始まるのです。休符にはフェルマータが付いていますが、小山さんは非常に短いフェルマータとされ、その結果、『アウフタクト』音が見事に静寂の中から自然な姿で登場してきます。

 小山さんの倉敷公演のまじょるか魔女さんの素晴らしく味わいのあるご感想(No.4723)も引用されつつ、鐘についての土の器さんの素敵な文章にも深い感銘を受けました。

 【私はジャンルを問わず、心ふるえる演奏・演奏家に出会えることは、なんて幸せなことかと思います。恵みに感謝あるのみ、です。】(土の器さん)・・・まさに小山さんは聴き手の心を奪う演奏をされる稀にみるピアニストでいらっしゃいますね。


★まじょるか魔女様(No.4723)
 倉敷でご一緒させていただいて早くも3週間経過してしまいました。

 【ピアニッシモが繊細に響いた】倉敷での小山さんの公演を【紫陽花の花弁の上をほろりと転がる雨粒のような、密やかなメッセージがこめられています。】と書かれたまじょるか魔女さんのポエティックな筆致に感動しています。

 【「美しい小山さんとピアノ」のダンスはお互いを愛おしみ、慈しみあって続いていきます。】(魔女さん)・・・小山さんはピアノを使うというような表現をされませんね。小山さんはピアノと協働して一緒に音楽を造られますね。それをダンスに例えられた魔女さんの表現は素敵です。

 【小山さんのピアノからいただくポジティブなエネルギー】(魔女さん)は小山さんファンが共通して体験していることかなと思います。まじょるか魔女さんの次のお言葉から、ポジティブなエネルギーの源泉を教えていただきました:【小山さんは、まさに紫陽花のようでした。雨に打たれると、ますます色鮮やかに咲く、勁(つよ)くて優しい紫陽花そのものでした。凛としてぶれない軸をもって、激しい雨のなかでもしなやかに背筋を伸ばされているのです。】

幸せな気持ちになる、心温まるご投稿を有難うございました。
Date: 2017/07/17/19:57:43 No.4734


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横浜市栄区民文化センターリリス
キヨ
7月15日 横浜市栄区民文化センターリリスでのリサイタルを聴かせていただきました。全3回シリーズの第1回です。

大変暑い日で、そのためもあってか、ピアノの調整に時間がかかっているとのことで、若干開場が遅れていました。
ホールは、客席の傾斜も急なためコンパクトで、演奏者と聴衆の距離感がとても近くて楽しめます。

プログラムは、前半がブラームスの「6つの小品」から第2曲と シューベルトの即興曲op.90、後半はショパンのワルツやノクターン。
特にシューベルトが素敵でした。ショパンはお手の物といった感じで、純粋に楽しませていただけました。
アンコールは例によって大サービス。スペインものに感動しました。

今回も小山さんの一つひとつの音に込める想いから生まれるのであろう造形には、打ちのめされる思いでした。
ありがとうございました。
Date: 2017/07/16/16:50:04 No.4732


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小山さんの記事情報をお届けします
ぴあのふぉるて
九州北部の豪雨災害のニュースに心が痛みます。犠牲となられた方々のご冥福をお祈りします。避難生活を送っておられる皆様には早く平穏な日々が戻りますように。

さて、音楽誌や新聞などに掲載された小山さんの記事情報をご連絡いたします。
小山さんの記事は他にもたくさんあると思います。目に留まった記事だけになりますこと、また、古いものも含まれますこと、ご了承ください。

♪『ショパン』2017年5月号 
「創刊400号記念 ピアニストからのメッセージ&大大プレゼント!!」
28名のピアニストのお一人が小山さん(p.21)お写真とメッセージ+CD
♪同じく『ショパン』5月号 
「400号記念 歴代日本人ピアニスト史」 文:真嶋雄大  p.32~39
「日本人初のピアニスト」「明治・大正」「戦前・後〜日本人初の国際コンクール入賞〜」など、日本人ピアニストの歴史を辿る記事です。
小山さんは「世界に活躍の場を広げる」の章で、「… 独自の見解を持った旺盛かつ重厚な活動を現在も続けている」と紹介されています。

♪『音楽の友』2017年6月号 p.98~101
〔連載〕小山実稚恵&平野 昭  対談:ベートーヴェンとピアノ 第3回
 今回取り扱う楽曲:
チェロ・ソナタ第1番 へ長調 Op.5-1
チェロ・ソナタ第2番 ト短調 Op.5-2
傑作が生まれた背景には優れたチェロ奏者との出会いがあったこと、後期作品で使われた要素が既に(「第1番」に)出ていること、作曲のスケッチが書かれた「紙」から推定される「御前演奏」の時期、「ベートーヴェンがいかに優れた弾き手だったかということがよくわかります」(小山さんのお言葉)など、小山さんと平野さんお二人の語り合いから、作品の特徴が浮き彫りになります。
「チェロを効果的に歌わせるためにピアノはかなり忙しいですね。…」小山さんが実際に作品を演奏なさる際のお気持ちにも触れていらして、素敵です。

♪同じく『音楽の友』6月号 News & Information 巻末p.14
DISC Selection 選・文 諸石幸生 「今月の注目盤」
〜日本人アーティストたちによる様々なジャンルでの必聴盤が登場〜
佐渡裕氏のシベリウス「交響曲第2番」(ライヴ録音)や、飯森範親氏によるモーツアルト「交響曲全集」(13枚組アルバム)等と並び、小山さんの新譜:J.Sバッハ《ゴルトベルク変奏曲》がジャケット写真入りで紹介されています。

♪『モーストリー・クラシック』2017年7月号 p.87
「ピアノと私」第38回 〜演奏と筋力〜
(小山さんはコンサートの後もお疲れにならないのですね。薄々そう感じていたのですが、この記事でそれが本当だとわかり、スッキリしました)
ピアノを弾くことは小山さんにとってどのようなものか、パソコン作業で肩が凝った時は何をすると治るか、腹筋のこと、それからご著書『点と魂と(スイートスポットを探して)』のテーマにつながる、興味深いお話です。

♪『日経新聞(夕刊)』2017年6月2日
小山実稚恵さん 30枚目アルバムに「バッハ」〜船旅のように自由な音楽〜
「プレッシャーもあったが、変奏のたびに船で寄港するような旅のイメージを心がけ、自由な音楽ができた」とのお言葉を嬉しく拝読しました。
この秋最終回を迎える「24回リサイタル」と、ご著書『点と魂と』にも触れて、演奏への思いを語っておられます。

♪『音楽の友』2017年7月号
〔連載〕小山実稚恵&平野 昭 対談:ベートーヴェンとピアノ 第4回
 今回取り扱う楽曲:
ピアノ・ソナタ第4番 変ホ長調 Op.7
ピアノ・ソナタ第19番 ト短調 Op.49-1
ピアノ・ソナタ第20番 ト長調 Op.49-2
「第4番」について小山さんは「私はこの作品7から特にベートーヴェンの魂を激しく感じるんです」とおっしゃり、平野さんは「この作品はとても洗練されたテクニックや流れが見えますね」とおっしゃっています。
この曲を献呈されたバベッテ・フォン・ケグレヴィッチ伯爵令嬢の存在も大きかったようですね。その女性は「優れたピアノの弾き手だった…」のですね。
指示記号や調性のこと、「同音連打」のこと、などお二人の細やかな分析は続きます。作品49の2曲については、平野さんの「仮想のお話」に楽しそうに反応なさる小山さんのご様子がキラキラして印象的です。

♪同『音楽の友』7 月号 News & Information 〜新刊書評BOOKS 巻末p.19
『点と魂と スイートスポットを探して』小山実稚恵 著
〜分野を超えて共振する理想を追い求める魂〜
道下京子さんによる、丁寧で温かな書評です。

♪同『音楽の友』7月号 News & Information 〜Scramble Shot」巻末p.5
「第3回 こどもの夢広場“ボレロ”」記者発表会
今月7/29,30に仙台で開かれるイヴェントの記者発表会(5/17)の報告記事。
イヴェントの趣旨、プログラムの内容などが紹介されています。
小山さんの茶道体験のお写真も素敵。
音楽の演奏、いろいろな科学実験やパフォーマンス体験を通して、子供たちが未来の「生きる力」につながる「大好きな何か」を見つけられますように。

♪『ショパン』2017年7月号 report p.47
小山実稚恵さん『こどもの夢ひろば“ボレロ”』記者発表
〜夏休み、親子で“本物”の感動を〜
5/17に仙台市役所で行われた記者会見のお写真とともに、7/29,30に日立システムズホール内で開かれるイベントの詳細が載っています。
『こどもの夢ひろば“ボレロ”』のメインとなる「“ボレロ”大集合コンサート」(広上淳一さん指揮、宮城教育大学交響楽団と子供たち)の他に、18もの科学や文化のイベントが楽しめるそうです。大人もワクワクするような催しですね。
小山さんのお話からは小山さんがこのイベントにどれほど深い思いを込めておられるかが、しみじみ伝わってきます。
参加した子供も大人も、心に響く何かと出会えますようにお祈りいたします。

♪『モーストリー・クラシック』2017年8月号
(p.78:11/25最終公演@オーチャードホール のお知らせが掲載されています)
p.79「ピアノと私」第39回 〜プログラムの作り方〜
ファンなら誰もが聞いてみたい、12年間24回リサイタルシリーズのプログラミングのお話です。「かなり先のことを空想の中だけで事細かに決定してしまうなんて、私の普段の生活ではまずありえないこと」とご自身を分析なさる小山さん、プログラム作りに関しては、別人のようですね!「何年も先のことなのに、胸をときめかせてプログラム作りに励んでいた毎日が懐かしく思い出されます」と語っておられます。本当にかなり前(2004年の夏過ぎ頃)から準備なさったのですね。プログラムのコンセプト、流れや手順、作品に込められた願い、最終回と第1回のプログラムとの繋がり、などを拝読し、小山さんの凄さに改めて感服します。
決定したことを、変更も加えずそのまま実行なさってきた(←小山さんご自身「とても不思議なこと」と繰り返しおっしゃっている)12年間24回リサイタルシリーズ、秋の最終回を心待ちにしております。

♪『レコード芸術』2017年7月号
「新譜月評 2017-7」p.126 器楽曲
小山実稚恵「J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲」
《THE RECORD GEIJUTSU 特選盤》 (おめでとうございます!)
濱田滋郎 氏 + 那須田 務 氏 評者お二人の推薦文と、山之内 正 氏による録音評が掲載されています。
濱田氏の慈愛に満ちた推薦文、後半部分より引用します。「… 名実共に円熟の域に達した小山実稚恵、今や唯一無二のピアニストであることを思えば、遅かったようで最も良い時に、彼女の《ゴルトベルク》録音は成ったのだと考えるべきであろう。演奏は、さすがの出来映え、と讃えるしかないものに思える。余裕をもって歌われる主題〈アリア〉の風格すら漂う美しさ、各変奏それぞれの、何らの気負いも、たくらみも感じられない率直な美しさ。すべてが深いところから底光りしている。…(略)… この演奏は傑作だ。」
那須田氏も「… 一見さりげないが、実際にはこまやかな心配りでとても変化に富んだ表現を聴かせているし、感覚的な楽しさと論理的な明快さが同居し、音楽の流れが自然だ。…」と賛美しておられます。

♪同じく『レコード芸術』7月号 p.212 BOOKMARK
 『点と魂と スイートスポットを探して』 書籍案内。

♪『intoxicate』#128  2017 June (タワーレコードのカルチャーマガジン)
p.19 CLASSICAL/INTERVIEW 「小山実稚恵」
小山さんのインタビュー記事+CD写真(聞き手/文:片桐卓也)
〜これまでになかった《ゴルトベルク》の世界〜小山実稚恵が実現したもの〜
2段鍵盤付きクラヴィチェンバロのために書かれた作品をピアノで弾くことの難しさ、30の変奏それぞれの個性のこと、バッハへの畏敬の念と録音までの道のり、などをお話しくださっています。
facebookで拝見した収録最終日の小山さんの晴れやかな笑顔とちっちゃな雪だるまちゃん達を思い出しました。CDは発売以来、毎日聴いています。深謝。

以上、ご参考まで。

p.s. もう一つ、ありました。
♪『音楽の友』2017年6月号 巻末p.19
News & Information 〜 BOOK-END
「小山実稚恵の人気連載が再構成され書籍化!」との見出しで、
ご著書『点と魂と スイートスポットを探して』が紹介されています。

p.p.s. さらに、 『レコード芸術』2017年7月号 p.202〜205
CROSSPOINT
〜音楽とオーディオの交差点:お気に入りのディスクは、こんなシステムで〜
第63回:山崎浩太郎(演奏史譚)×山之内 正(オーディオ評論家)
 山崎氏が選んだディスクは、小山さんの「J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲」。
演奏の魅力を最大限に引き出すためにスピーカー、アンプ、プレーヤーを選ぶのは、山之内氏。
「いろいろな意味で小山さんの今が出ているディスクだと思います」、「… 中にいろいろなものが込められている演奏ですから、なるべく多く引き出せるようにしたい」 お二人で小山さんの演奏と録音の特徴を熱く語っておられます。オーディオマニア、必見。
Date: 2017/07/12/11:59:24 No.4731


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自在な歌
y.s
心のままに歌を歌うことができたらどれほどいいだろうかと思うことがある。理由はよくわからないが、話したり語るだけでは伝えきれないようなものを、歌になら託せる気がするからなのだろう。
小山実稚恵さんのリサイタルシリーズ第23回〜祈りを込めて〜での、シューマン『幻想小曲集作品12』の演奏に、歌が聞こえた。(6月17日、オーチャードホール)。
小山さんの演奏は本質的に、その場の霊感に身を委ね大きな流れを生み出すものであるが、このシューマンでそれが遺憾なく発揮されていた。シューマンの夢想と幻想、憧れや激情、そしてもつれが、小山さんの本能的なロマンティシズムと溶け合った演奏だった。『飛翔』での激情、『夢のもつれ』でのユーモアも印象的であるが、とりわけ、『夕べに』や『なぜに』、『夜に』の中間部などの繊細な個所で聴かれた歌は、シューマンの心の襞に寄り添い、優しく、デリケートなものがそっとあった。
そこには何ら作為性はない。創作も演奏も、人間の意識で行っている以上、そこには何らかの作為が入り込まざるを得ない。しかしながら、その根底には、作為を超えた生きた感覚をそのまま表現したいという願いがあり、作曲家も演奏家も、その二律背反に苦悩する。「していないがしている」、という究極の表現を求めて。
それはつまり、自身の歌が心から生まれるものであるからであろう。心の生じた歌を、飾ることなく、何かに似せることもなく、そのまま誰かに伝えたいという願い。それができたなら、そこには無言の対話が生まれ、繋がりが生まれ、想いを1つにすることができるかもしれない。
小山さんの奏でるシューマンは、心のままに歌を歌っていた。
Date: 2017/07/07/22:03:04 No.4729

Re:自在な歌
ぴあのふぉるて
y.s様
y.sさんならではのご考察に引き込まれました。
静かなご筆致から小山さんへの尊敬の念がひしひしと伝わります。
「小山さんの演奏は本質的に、その場の霊感に身を委ね大きな流れを生み出すものであるが、〜」 ここを読み、そうそう。これこそが、まさに小山さんの魅力なの!と興奮しました。
不意に現れてハッとさせられる、小山さんの野性味?を、美しい語句で描写してくださってありがとうございます。
小山さんの演奏に「その場の霊感」を感じ取られた、繊細なy.sさんご自身も、きっと舞台で演奏中に「その場の霊感」を感じる瞬間があるのではないでしょうか?

演奏家の皆様は、「していないがしている」という究極の表現を追い求めておられるのですね。
小山さんは演奏で何も特別なことをしていない。しかし、やはりそこには、小山さんにしかできない何かがあって、小山さんの色や香りがあるから、また聴きに行きたくなるのですよね。無味無臭だったら、誰の演奏でも同じなわけで、それでは面白くない。
やっぱり、何かしている。あるいは、していない?

y.sさんのおっしゃるとおり、小山さんの演奏にはいつも「歌」がありますね。何の作為もない(ように聴こえる)、心からの自然な歌が。
y.sさんのご投稿から、小山さんの連載「ピアノと私」(第17回)を思い出しました。
ララちゃんの近況から人間の理性と本能の話につながる素敵な記事は、次のように結ばれています。
「犬のように誠実に練習を積み、猫のように自由な心で演奏ができたら、なんと素晴らしいことでしょう。」
どこまでも謙虚でひたむきな小山さんの演奏を、これからも楽しみにしております。
y.sさんの演奏とご投稿も、また楽しみにしています。
Date: 2017/07/10/10:22:40 No.4730


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