← メールマガジンもお読みいただけます。

縮小拡大

[ 掲示板のマナーについて ] [ 記事検索 ] [ 記事修正・削除 ] [ 携帯電話用URL ] [ 過去の記事 ]

はじめての方のメッセージも大歓迎です!
コンサートの感想や小山さんへの応援メッセージなどをお寄せください。
ピアノの好きのあなたに50の質問は=>こちらです!
小山実稚恵さんのピアノで聴きたい曲は?=>こちらです!

お名前 ※ハンドル名(ネット上の仮名)で構いません。
メール ※未記入で も構いません。
U R L ※未記入でも構い ません。(ブログの U R Lも可能です)
Icon Icon
タイトル
メッセージ
A,FONT,Bタグのみ使用できます
文字色
投稿キー 投稿キー を右の欄に入力してから”書き込みボタン”を押して下さい
パスワード
※パスワードを設定しておくと削除、編集が出来ます。


[1][2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] [24] [25] [26] [27] [28] [29] [30] [31] [32] [33] [34] [35] [36] [37] [38] [39] [40] [41] [42] [43] [44] [45] [46] [47] [48] [49] [50] [51] [52] [53] [54] [55] [56] [57] [58] [59] [60] [61] [62] [63] [64] [65] [66] [67] [68] [69] [70] [71] [72] [73] [74] [75] [76] [77] [78] [79] [80] [81] [82] [83] [84] [85] [86] [87] [88] [89] [90] [91] [92] [93] [94] [95] [96] [97] [98] [99] [100]


小山さん初演奏、フィンジ:エクローグ〜ピアノと弦楽のための op.10 のご報告
ぴあのふぉるて
先月7/13、サントリーホールで小山さんご出演の日本フィルハーモニー交響楽団 定期演奏会を拝聴しました。遅ればせながらご報告いたします。
(デュオ・リサイタルのご報告と前後しますが、悪しからずご了承ください)

ソロ・リサイタル、室内楽演奏と並び、オーケストラとのご共演は、小山さんの演奏活動の柱の一つですね。ソロと室内楽とコンチェルト、小山さんはそれぞれに異なるアプローチや対策を取りながら、きっとどのような形式の作品にも、偏ることなく愛情を注ぎ、準備を整えておられるのではないでしょうか。この日も最高に素晴らしいステージでした。

〜〜〜
日本フィルハーモニー交響楽団
 第712回 東京定期演奏会 2019年7月12日、7月13日
指揮:広上淳一  ピアノ:小山実稚恵*

プログラム:
ラター:弦楽のための組曲
バッハ:ピアノ協奏曲第3番 ニ長調 BWV1054*
フィンジ:エクローグ〜ピアノと弦楽のための op.10*
 〜休憩〜
ハイドン:交響曲第104番 ニ長調《ロンドン》
バターワース:2つのイギリス田園詩曲
〜〜〜

開演前に音楽ジャーナリスト 林田直樹氏(当日配布のパンフレットでプログラム・ノートご執筆担当)によるプレトーク付き。
〜 日フィルさんはイギリス音楽に実績があり、大切な節目にイギリス音楽を取り上げてきたこと。本日はイギリス音楽だけで構成された、通常と違う、よく考えられた肩のこらない素敵なプログラムであること、など、楽曲解説を交えて丁寧にお話しくださいました。

プログラム冒頭、ジョン・ラター(1945〜)の「弦楽のための組曲」は、イギリスの民謡やわらべ歌が盛り込まれた作品で、どこか懐かしい香りのする、のどかな温かい音楽でした。英国人らしい慎ましさも感じました。

さて、いよいよ小山さんのご登場です。この日は青緑色のドレスをお召しでした。
ヨハン・セバスティアン・バッハ(1685〜1750)の「ピアノ協奏曲第3番」は、有名な「ヴァイオリン協奏曲第2番」をバッハ自身がのちにチェンバロのために編曲した作品です。
耳慣れた旋律を小山さんは、色とりどりの音色で情感豊かに歌っておられました。もとからピアノのために書かれた協奏曲だったのでは?と思うほど、生気あふれる演奏で、オーケストラの皆様と息もぴったりです。
明るく厳かではつらつとした音楽に、心地よく聴き入りました。

この演奏会は、広上さんのお顔が見える2階RC(ステージ右上)の座席で鑑賞しました。広上さんのいろいろな表情の中では特に、かわいい微笑みに心惹かれます。広上さんの微笑みのタクトは奏者への信頼と期待の表れだと感じます。
音のバランスはさておき、オーケストラ全体(コントラバス奏者の方々を除く)が見渡せることも、気に入っています。指揮台の向こうには、一心にピアノに向かう小山さんのお顔が見えるのも嬉しい。

ジェラルド・フィンジ(1901〜56)の「エクローグ〜ピアノと弦楽のための」は初めて出会う作品でしたので、いちおう、演奏会前日に YouTubeで聴いてみました。
ピアノと弦楽器で紡がれる哀しく美しい調べは鎮魂歌のように聴こえましたが、そう感じたのは、フィンジの辛い過去が音楽に反映されているからだったようです。
林田さんの解説によると、作曲家フィンジは幼くして父や兄弟たちを亡くし、1918年には音楽の恩師も戦死で失うなど、孤独な少年時代を送ったそうです。
「人生と音楽、どこまで重ねていいか?という議論はあるけれど、フィンジの場合は過去の痛みと音楽がつながっているように思う」とのお話、大変勉強になりました。

林田さんはプレトークの中で、小山さんのお話もご紹介くださいました:
「(フィンジの「エクローグ」を)初めて演奏してみて、その音楽の深さと濃さに感銘を受けた」
「ピアノの音は減衰してしまうけれど…弦といっしょになってビブラートをかけたくなる」
「きれいな曲ですが、不協和音で鋭いところ、突き刺すようなところがある」

ご参考までに、曲目解説の後半部分を引用します:
〜〜「エクローグ」は、1927年頃作曲が開始され、1953年頃まで長期にわたって試行錯誤が続けられていたが、やがて放棄されたピアノ協奏曲の一部であった。この素朴なアンダンテで書かれた緩徐楽章だけは1929年には完成していたという。フィンジの最後の5年間は白血病との闘いであったが、病のことは身内だけの秘密として伏せられ、最後まで仕事は続けられていたという。
 ついに完成させることのできなかったピアノ協奏曲の一楽章が、「エクローグ」として初演されたのはフィンジの死の4か月後の追悼演奏会においてであった。田園詩を意味するこのタイトルの名づけ親は、フィンジの子息クリストファーと、作曲家で友人のハワード・ファーガソンである。〜〜

小山さんの演奏なさる「エクローグ」は言葉にならないほど美しくて、まさに祈りそのもの。魂が浄化されるような音楽でした。
この作品は小山さんにとって今回が「初演奏」とのことですが、もうすっかり音楽がお身体に沁み込んでいるように思います。作品に寄り添い、フィンジの胸の内をご自分のことのように吐露なさるお姿に、そんなにさらけ出していいの?とハラハラドキドキ魅了されました。哀しく美しい調べの中に、苦しみを乗り越え、前を向いて生きていこう!と自らを鼓舞するフィンジの声が聞こえます。
音楽で人々を励まそうとなさる小山さんの強い思いが重なって、激しく心が震えました。

最後の和音のあと、黙とうをささげるように会場に静寂が訪れ、数十秒ほどすると静かに拍手がわき起こりました。
広上さんと小山さんは硬く握手をなさり、両頬にキスを交わされ、お二人はそのあと何度もカーテンコールにお応えくださいました。

サイン会は開かれないと知り、休憩時間にファン仲間を誘って三人で楽屋へお邪魔しました。
「フィンジ、素敵ですねぇ〜!」
「ぜひCD録音してください!」
「今日はアンコール曲なしで、よかったですね!」(「エクローグ」の美しい余韻が続いてよかった、という意味)
興奮気味の私どもに、小山さんは「やっぱり、そうでしょう?」と目をキラキラさせてお応えくださいました。
小山さん、貴重なお時間を割いてご対応いただき、本当にありがとうございました。

演奏会後半もイギリスゆかりの曲が並びます。
まず、フランツ・ヨーゼフ・ハイドン(1732〜1809)の交響曲《ロンドン》が熱く、ダイナミックに奏されました。この曲はハイドンの二度にわたる英国旅行の副産物として生まれた、12の交響曲の最後に作曲されたものだそうです。
プログラム最後、ジョージ・バターワース(1885〜1916)の「2つのイギリス田園詩曲」は、オーボエ、フルート、クラリネットなどの木管楽器、ハープ、弦楽器がそれぞれ印象的に活躍しながら溶け合う、瑞々しい美しい音楽でした。

小山さん、広上さん、日本フィルハーモニーの皆様、素晴らしい音楽の午後を誠にありがとうござました。
広上さんと日本フィルさんと小山さんのご共演を、また楽しみにしております。
Date: 2019/08/28/13:59:57 No.4940

Re:小山さん初演奏、フィンジ:エクローグ〜ピアノと弦楽のための op.10 のご報告
covariant
日フィルの定期演奏会で、小山さんは2曲も演奏なさったのですね。
ぴあのふぉるて様、いつも臨場感溢れる詳細なご報告をいただき、ファンとして、ほんとうにありがとうございます。

林田直樹氏の解説を伺うと、このようなコンサートには、事前にスケジュール調整などして遠方からでも是非行って、全曲聴いてみたいとも思わせますね。
私には小山さんの演奏されたバッハも羨ましいですが、フィンジのエクローグも、私も昨日YouTubeで聴いてみました。

実は昨日急に、難病を患い母子で生活されていた48歳の男性の訃報が入りました。私は最近、まだまだ元気であったその方の通院に三度ほどお付き合いしたこともあり、この訃報に心を痛めましたが、そんな心にこのエクローグは何と自然な受容をもたらしてくれたことでしょう。ぴあのふぉるてさんのこのご報告によって、青緑色のドレスの小山さんの演奏姿も目に浮かびます。
亡くなった彼にも、このエクローグの魂を祈りたいと思います。このご報告に心から感謝致します。
Date: 2019/09/05/01:12:28 No.4943


▲Top

堤剛さん小山実稚恵さんデュオ・リサイタル@軽井沢大賀ホール
ぴあのふぉるて
8/13、軽井沢大賀ホールを夫とともに初めて訪れました。
軽井沢駅から徒歩数分、緑と水に囲まれた静かな環境に建てられた、美しいホールです。
五角形という珍しい形をしたホール、木がふんだんに使われた温かな内装などに、故 大賀典雄氏の音楽への深い想いを感じました。
大賀ホールでは時間が緩やかに流れているように感じます。由緒ある避暑地ですから、昼間は別荘でゆっくり過ごし、夕暮れには室内楽を聴きにちょっとお出かけ…という方が多いかもしれません。優雅ですね。ホワイエに設けられた休憩スペースでくつろぐ人、並べられたCDや書籍に目を止める人、皆さん、ゆったりと演奏会のひとときを楽しんでおられました。

〜〜〜
軽井沢 大賀ホール Classics 2019
〜音楽界を牽引するトップアーティストの共演が軽井沢で実現〜
堤 剛 & 小山実稚恵 デュオ・リサイタル

ベートーヴェン:『魔笛』の主題による7つの変奏曲 変ホ長調 WoO46
メンデルスゾーン:チェロ・ソナタ第2番 ニ長調 Op.58
 〜 休憩 〜
シューベルト:アルペジョーネとピアノのためのソナタ イ短調 D821
ラフマニノフ:チェロ・ソナタ ト短調 Op.19
〜〜〜

前半、後半、すべてチェロ・ソナタで構成されたプログラムです。
2年半に拝聴したお二人のデュオ・リサイタル(@宮地楽器ホール)では、前半が小山さん堤さんそれぞれのソロ演奏(ショパンとバッハ)、後半にデュオ演奏(ベートーヴェン)という構成でしたが、今回は、最初から最後まで、チェロ・ソナタをたっぷりご披露くださいました。

ベートーヴェンの作品はチャーミングな変奏曲でした。
続いてメンデルスゾーンの明るく軽やかな作品が奏されました。

今回、念願がかなって、お二人のアルペジョーネソナタを拝聴できました。
憂いに満ちた美しい旋律を、堤さんは朗々と歌われました。
穏やかな音楽に見え隠れする情熱が心に響きます。
小山さんは慈しみあふれる音色でぴったりと堤さんに寄り添っておられました。
シューベルトの優しい声が聞こえるようです。

堤さんと小山さんのデュオ演奏は、お二人それぞれの精緻なテクニックのみならず、お互いに深い敬意を払い合うお二人のお姿に、胸を打たれます。
チェロと一体となり、ここぞという瞬間には(小山さんへ気を送るかのように)右後方へ楽器ごと身体を向けて、渾身の演奏を展開なさる堤さん。ピアノを思いのままにあやつりながら常に堤さんの音色に耳を傾け、堤さんの背中へ温かな眼差しを投げかける小山さん。
なんと尊いお二人なのでしょう!
そして何と言っても、堤さんも小山さんも、ものすご〜く楽しそうに、のびのびと演奏なさっていて、素敵でした。
演奏中に微笑むのは小山さんだけかと思っていたら、堤さんも、美しい旋律を奏でながら微笑んでおられましたね。
まさにデュオ演奏の真髄を見させていただきました。

アルペジョーネソナタ演奏後、小山さんは聴衆からの拍手に応えてお辞儀をなさりながら、横におられる堤さんをたたえて、こっそり小さく拍手を(といっても丸見えなのですけれど…)送っておられました。ご共演の小山さんも感動なさるほど堤さんの演奏は素晴らしかったのです。
一聴衆のようにお気持ちを素直に示された小山さんのお姿に、思わず頬が緩んでしまいました。いつも自然体の小山さん、ほんとに可愛い〜!

プログラムの締めくくりは、ラフマニノフのチェロ・ソナタ。
哀愁漂うチェロの音色で始まりますが、ラフマニノフ本人のピアノで初演されたというこの作品は、ピアノパートが非常に充実していて、小山さんファンとしては、特に心満たされる作品です。
第2楽章は緊迫感あふれる音楽にワクワクし、
第3楽章は心がとろけそうな柔らかなメロディにうっとりしました。

室内楽ですので、お二人とも譜面台に楽譜を置いておられますが、堤さんはどの作品も気持ちよさそうに目を閉じて演奏なさっていたので、楽譜はご覧になっていなかったと思います。
小山さんもきっと共演者の動きを確認するためにいちおう置いている感じだと思いますが、演奏中は譜めくり担当の女性がページをめくり、各楽章の最後は小山さんご自身でページをめくられます。
第3楽章を弾き終えられたあと、小山さんはかすかに笑みを浮かべながら、名残り惜しげにページをめくられたように見えました。
 あぁ、大好きなラフマニノフの曲、このままずっと堤さんと一緒に弾いていたいけれど、もう最終楽章なのね… と思われたのかもしれませんね(スミマセン、勝手な想像です…)

第4楽章、深い音色でおおらかに歌うチェロと華麗なピアノの音色が、加熱しながら絡み合い、胸に迫ります。まるでピアノ協奏曲を聴いたような充実感と感動でいっぱいになりました。
熱い拍手の中、カーテンコールが繰り返されました。
アンコール曲は、「先ほど激しかったので、優しいのを…」と堤さんがおっしゃって、お二人で演奏してくださいました。
(曲名、ご紹介くださったと思いますが、うまく聞き取れなくて、たぶん、メンデルスゾーンのチェロとピアノのための無言歌、でしたでしょうか?)

終演後、お二人のサイン会に並び、お話もさせていただきました。
これまでに何度も共演なさっている、小山さんと堤さん、大賀ホールでデュオ演奏をなさるのは、今回が初めてとのこと。
素敵なホールでのご共演、また楽しみにしています。
今回は一泊しましたが、軽井沢は東京から日帰りも十分可能ですね。

堤さん小山さん、素敵な音楽をお聴かせくださり、どうもありがとうございました。
貴重な演奏会情報を教えてくださったとさまさん、どうもありがとうございました。

残暑厳しきおり、皆様どうぞお身体お大事にお過ごしください。
Date: 2019/08/16/13:40:22 No.4937

Re:堤剛さん小山実稚恵さんデュオ・リサイタル@軽井沢大賀ホール
covariant
ぴあのふぉるて様

大賀ホールでのデュオ・リサイタルのご報告を、相変わらずの精確な筆致で有難うございます。会場に伺えなかった者にはほんとうに嬉しいことです。
小山さんがよくCD録音される大賀ホールへのご訪問は初めてとのこと、美しい環境のホールでの演奏会を楽しまれてよい思い出となられたことと存じます。台風10号襲来前で、さすがに皆様の陰徳も感じております。(^^;

小山さんがここでバッハのゴルドベルク変奏曲を録音中に、珍しくFacebookにご報告なさったので、その後私も、休館中でしたが訪れており、外からも見えるホワイエ(ですよね?)の様子も想像して、私もぴあのふぉるてさんのご報告のような妄想(!?)を膨らませておりました。(笑)
次の機会があれば是非、大賀ホールに小山さんの演奏を聴きに伺いたいです。
Date: 2019/08/17/10:44:00 No.4938


▲Top

「ベートーヴェン、そして…」第1回〈敬愛の歌〉@東京公演 のご報告
ぴあのふぉるて
小山さんのピアノシリーズ「ベートーヴェン、そして…」第1回〈敬愛の歌〉東京公演を、一昨日6/29、Bunkamuraオーチャードホールで拝聴しました。
仙台を皮きりに始まった演奏会の千秋楽、会場は笑顔と熱気に包まれています。
いつもの皆様をはじめ、懐かしいお顔に会えたのも嬉しいことでした。
昨年の制作発表記者会見での小山さんのお話を思い出しながら、開演を待ちます。
〜「気持ちを込めてプログラムを作りました。そこに込められたテーマがあることは必須。そしてもう一つは『予測がつきそうで、つかない。ありそうだけど、ない』ということ」〜

〜〜〜
第1回〈敬愛の歌〉 プログラム:
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第28番 イ長調 作品101
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第13番 イ長調 作品120(D664)

シューベルト:即興曲 作品90(D899)より第1番、2番
即興曲 作品142(D935)より第1〜4番
〜〜〜
小山さんは美しい紫色のドレスで登場なさいました。令和元年を祝するような高貴な色に、心を打たれます。胸元にはビーズがあしらわれてキラキラ煌めいています。
小山さんの可愛い笑顔を拝見して、ここオーチャードホールで再び小山さんの音楽世界にお伴できる幸せを噛みしめました。
ステージに飾られたお花は、小山さんのドレスと同じ紫色を基調とした大きなアレンジメントです。
小山さんは演奏に入る前に、両手でマイクを持ち、この新しいピアノシリーズに込められた想いをお話しくださいました。
 24回シリーズとアンコール公演を終えた後、何百万もあるピアノ曲の中で、「弾きたい曲を、弾いていきたい!」という想いが沸き上がった、とのこと。
ご自分を偽らずに想いを実践に移しておられる小山さん、素敵です。ますます惹かれます。
新しいシリーズには「ベートーヴェンのピアノ・ソナタの中から後期の作品5曲を入れました」とおっしゃった小山さんは、やはりどこまでも信念の人だと思います。小山さんの選曲は、ありふれた全曲演奏などとは大違いですね。

今回は「たおやかな歌」で始まる、作品101。そこに組み合わせるのはシューベルトの曲。
「シューベルトは人の良き部分を導き出してくれる作曲家。生涯、激情のベートーヴェンを敬愛し続けたところに感動します。音楽は、どういう個性であろうと、人間の心が動かせられるものだなぁと思います。…」とのお話も心に響きました。
小山さんがシューベルトの音楽をこよなく愛しておられることは、シューベルトの作品が再びシリーズ最後の第6回に組み込まれていることからも伝わりますね。
〜〜〜
お話の後、演奏に入られました。

ピアノ・ソナタ第28番作品101は、ベートーヴェンと思えないほど慎ましやかな優しい歌から始まります。

*今更ですが、昨年の制作発表記者会見時の質疑応答で(ぴあのふぉるての質問に)お答えくださった内容から、関連箇所を記します。(当日、いちばん大事な言葉がうまく聞き取れなかったのですが、きっとこういうお答えだったに違いないと、今、演奏を拝聴して確信しましたので、その言葉を『 』に入れてご報告します。間違っていたら、ごめんなさい) ご参考まで。
〜〜〜小山さんのお答えより:
「… それから、作品101は、本当に弾かれない作品なんですね。ちょっとベートーヴェンがいろいろあった後なので。だけれど、そこから、この最後の32番に至るという、それが私はやっぱり、どうしても入れたかったし、この『導入』の素晴らしさが大変美しいと思ったので。やっぱりプログラムとして美しく、というのは考えました…」〜〜〜

ほんとに美しいですね。そっと、いつの間にか音楽の中へ導かれる印象です。
快活で、独特のリズムが楽しい第2楽章を聴けば、でも確かにベートーヴェン!ですね。
第3楽章は別の後期ピアノ・ソナタで聴いたことのあるような雰囲気で始まり、明るく激しいエネルギーに満ちた展開となります。
こんな曲、よく書けたなぁと驚く以上に、よく弾けるなぁと小山さんの渾身の演奏に興奮しました。今、こうして新たにベートーヴェン作品と向き合っておられる小山さんと、様々な新しい試みを作品に取り入れることに貪欲だったベートーヴェンが、重なって見えました。
お二人の底知れぬ探究心と情熱に、ひたすら感動いたします。

続いて、シューベルトのピアノ・ソナタ第13番は先ほどの曲と同じ調性で、耳に心地よく、なんだかすごくほっとしました。移ろいゆく心情が繊細に描かれて、小山さんのシューベルトへの想いとともに優しく心に沁み入ります。
ベートーヴェンを聴くときみたいに構えなくても大丈夫だから、シューベルトの美しさはやっぱり天然だねと、夫も感動していました。

休憩を挟み、プログラム後半は、シューベルトの即興曲が並びます。
冒頭のお話で「晩年のソナタは格別ですが、即興曲は最高峰だと思います…」とご紹介くださった作品。
(大賀ホール収録の)CD演奏も大好きですが、小山さんの生演奏はやはり特別ですね。
多彩な音色はもちろん、情感あふれるお顔の表情からも、小山さんのピアノ愛とシューベルトへの想いをひしひしと感じました。慈しみ深い微笑み、苦悩の喘ぎ、天を見つめる眼差し… 曲想ごとに変化する表情に目を奪われます。祈るように目を閉じて演奏なさるお姿もお美しい。
小山さんはシューベルトの気持ちを、ご自分のこととして語ることのできる境地に入っておられるのだと思います。作品142第4番は迫真の演奏でした。弾き終えた小山さんの目には光るものが見えたような気がします。
さらにアンコールとして、即興曲 作品90の第4番、続いて第3番を演奏してくださって、即興曲全曲演奏となりました。
小山さん、どうもありがとうございます。胸が熱くなりました。

終演後にはサイン会が開催され、小山さんの新しいご著書『ベートーヴェンとピアノ「傑作の森」への道のり』やCDを手にしたファンが並びました。
小山さん、長時間(約1時間半!)にわたり優しくファン対応してくださって、本当にありがとうございました。
Date: 2019/07/01/23:44:04 No.4934

Re:「ベートーヴェン、そして…」第1回〈敬愛の歌〉@東京公演 のご報告
実稚恵さまの微笑み
ぴあのふぉるてさま

新シリーズの第1回目、千秋楽の東京公演の精緻なご報告まことにありがとうございます。
いつもながらの実稚恵さまのお言葉ひとつ聞きもらさない正確なご報告、感服の極みです。

〜「気持ちを込めてプログラムを作りました。そこに込められたテーマがあることは必須。そしてもう一つは『予測がつきそうで、つかない。ありそうだけど、ない』ということ」〜

「シューベルトは人の良き部分を導き出してくれる作曲家。生涯、激情のベートーヴェンを敬愛し続けたところに感動します。音楽は、どういう個性であろうと、人間の心が動かせられるものだなぁと思います。…」

「… 作品101は、本当に弾かれない作品なんですね。ちょっとベートーヴェンがいろいろあった後なので。だけれど、そこから、この最後の32番に至るという、それが私はやっぱり、どうしても入れたかったし、この『導入』の素晴らしさが大変美しいと思ったので。やっぱりプログラムとして美しく、というのは考えました…」

宝石のような実稚恵さまのお言葉の数々。。
大阪、福岡でのあの素晴らしい演奏の感動がよみがえり深く深く心に沁み入ります。


多彩な音色はもちろん、情感あふれるお顔の表情からも、小山さんのピアノ愛とシューベルトへの想いをひしひしと感じました。慈しみ深い微笑み、苦悩の喘ぎ、天を見つめる眼差し… 曲想ごとに変化する表情に目を奪われます。祈るように目を閉じて演奏なさるお姿もお美しい。

小山さんはシューベルトの気持ちを、ご自分のこととして語ることのできる境地に入っておられるのだと思います。作品142第4番は迫真の演奏でした。弾き終えた小山さんの目には光るものが見えたような気がします。・・・胸が熱くなりました。


ぴあのふぉるてさまの描写ご感想を頷きながら拝読させていただきました。

新シリーズの素晴らしい幕開けを共に歓び、また、感動の音楽の旅へ再び私たちを導いてくださる実稚恵さまへ感謝の念を胸に素晴らしい、ご感想を拝見させていただきました。

ぴあのふぉるてさま、ありがとうございました。
Date: 2019/07/02/21:45:20 No.4935


▲Top

ベートーヴェンとピアノ 「傑作の森」への道のり(小山さん×平野昭さん、音楽之友社)6月24日発売です
まじょるか魔女
6月23日(日)大阪いずみホールにて、小山さんの新シリーズを拝聴しました。梅雨の合間の曇り空に爽やかな風が吹くなか会場に入ると、CDコーナーに小山さんと平野さんの対談集が先行販売されていて、開演前に売り切れていました。表紙はピアノに向かうベートーヴェンの後ろに小山さんと平野さんが並んでいらっしゃって、小山さんは両手を合わせて微笑まれている素敵なイラストです。
「はじめに」として、小山さんの
『「ベートーヴェンにとって、ピアノは音楽の源であった‥‥」ーこの対談を通して強く感じたのは、ベートーヴェンのピアノへの愛の深さでした。』
というお言葉があります。

小山さんは黒赤のバラのようなドレスで登場されました。
ベートーヴェン:ピアノソナタ第28番第3楽章のフーガは憧れが幾重にもなり、交響曲第9最終楽章のフィナーレに繋がる圧巻のフーガを想起しました。いずみホールのプログラムに小山さんが『ベートーヴェンが息を吸って、ベートーヴェンが息を吐く。そして、なにかが湧き上がってくる。「ベートーヴェン、そして‥‥」を湧き上がる気持ちと共に演奏したいと思っております。』と記されています。フーガでは小山さんがおひとりで混声四部合唱をされているようでした。
プログラム・ノートに柴田克彦さんが
「小山実稚恵は、強靭さと繊細さ、大胆さと緻密さ、熱さと爽やかさ、さらに近年は風格と清新さが共存した、幅広い表現を聴かせる。そして楽譜と作曲者の意思を咀嚼した上で、“いま生まれ出る”かのように音楽を奏でる。」と記されています。
小山さんの奏楽がなぜこんなにも自然に心に沁みてくるのでしょう。本日あらためて、小山さんのピアノは小山さんの息遣い、小山さんの歌であることを感じました。「響きのいいこのホールで集中できることを嬉しく思います」と仰るように、あるときは鋭い息継ぎで、あるときは息長く小山さんがピアノで歌われます。
愛知県豊田に続いて大阪で拝聴する幸運をいただきましたが、大阪のシューベルトはよりエモーショナルな、大阪だけに浪花節的な情動を感じました。サイン会でそのことをお伝えすると、小山さんはここのピアノは細かいニュアンスを付けやすいから‥と仰ってくださいました。
最後のシューベルト:即興曲142-4では、死へ吸い込まれていくシューベルトの宿命が歌われているかのようでした。鋭く息を吸ってからの怒涛のコーダはシューベルトの命の砂時計が落ちていく様が見えました。最後の一粒が落ちて、小山さんは手を降ろされました。
熱い拍手とブラヴォーの声、声。
アンコールは、90-4、90-3で、シューベルトの魂が救われてベートーヴェンの近くに昇っていく様が感じられました。
舞台に飾られた美しい花々の花材でしょうか、ピアノの椅子の後ろの床にキラキラ光るものが落ちていて、小山さんが歌われた音の粒の忘れもののようでした。
小山さん、今日も小山さんのピアノへの愛の深さ、湧き上がるお気持ちを音色にしていただき有り難うございます。
Date: 2019/06/24/08:00:29 No.4930

Re:ベートーヴェンとピアノ 「傑作の森」への道のり(小山さん×平野昭さん、音楽之友社)6月24日発売です
covariant

まじょるか魔女様
小生もいずみホールに行きましたが、まじょるか魔女さんの報告の速さに敬服するばかり、ありがとうございます。

私のシューベルト鑑賞は、これまで、まさにシューベルトを敬愛される小山さんの演奏によって(勿論まだまだ拙いながらも)開拓されてきました。
べートーヴェンのソナタ第28番は、その冒頭は、これはシューベルトの作曲?と思わせるものですね。
これまで、小山さんのCDで、シューベルトの即興曲D899とD935とを何度も聴いてきましたが、これらは、普段一人で居るときの自分の心の移ろいをも表しているなあ、と、この頃思うようになりました。

今回、いずみホールでの私の席は最前列のど真ん中、小山さんが弾かれる鍵盤延長線上の直下、最短距離の位置を与えられる幸いに恵まれました。私は先ず瞑目し、小山さんの表情を伺い、天上を見上げ、時には足のペダル運びも拝見しながら、その豊穣な響きに浴していました。

シューベルトのベートーヴェンに対する敬愛の心、尊敬の念と慈しみ、それを今回、小山さんは存分に表現されたと感じました。まじょるか魔女さんも仰ったように、最後のプログラム: シューベルトの即興曲142-4 を弾き終えた後の聴衆の感動は最高に盛り上がり、私の両手(モロテ)も全く自然に高く引き挙げられて、拍手することになったのでした。日本版のスタンディング・オーベーションです。(^^;

今朝一番に思いついて、私は自分所有のシューベルトの「未完成」交響曲を探し、古いLPレコードにあったので聴きました。半世紀余り前の高校生の頃に、僅かしか持ち合わせていなかったクラシック曲の、ラジオからのテープ録音などで、分からないながらも、この曲もよく聴いたものです。今はその昔日よりはるかにこの曲に寄り添うことができます。

小山さんは、大阪新音さんからのインタビューで、次のように仰っていますね。

後期ピアノ・ソナタの5曲には、変奏やフーガが入っています。ベートーヴェンはそうした技法を駆使し、天才的な構成力によって、自身の不遇を人間全体の苦しみに普遍化し、それに打ち克つための気力を音楽に表現したと私は思っています。感動で本当に心が震えます。それが、このシリーズの軸に5曲の後期ピアノ・ソナタを据えた理由です。
(2019.01.25付 −小山実稚恵「ベートーヴェン そして…」シリーズ公演だより− より)

「自身の不遇を人間全体の苦しみに普遍化し、それに打ち克つための気力を音楽に表現した」ベートーヴェン。
医学の発達した現代の人々は、これまで「健常者」と言われてきた人ばかりではなく、また、「男・女」という括り(ククリ)だけで区別されてきた人だけでもなく、様々な様態で生きています。
そういった意味でも、ベートヴェンの音楽はまさにこれから、その真骨頂を発揮すると思われます。その表現者として小山実稚恵さんが渾身の力を振るわれますように、ファンの一人として「敬愛の心」をもって同行させてください。
Date: 2019/06/24/12:19:47 No.4931

Re:ベートーヴェンとピアノ 「傑作の森」への道のり(小山さん×平野昭さん、音楽之友社)6月24日発売です
実稚恵さまの微笑み

「ベートーヴェン、そして・・・」初回公演。
実稚恵さまの演奏を福岡に続き、素晴らしい音響で知られる大阪は「いずみホール」で、しかも最前列の実稚恵さま正面で拝聴するという素晴らしい機会を幸運にも得ることができました。

実稚恵さまも、このシリーズを、このホールで演奏できる幸せを感じていると仰っていました。今回は、福岡での紫ではなく金属的な深紅の色合いのドレスでのご登場でした。

前半のベートーヴェンとシューベルトのイ長調のチャーミングなソナタ2作品。ともに若々しく幸福というか安らぎを覚えました。ピアノの響きと明るさが、とてもウォームフルで、特にシューベルトの第2楽章は、うっとりと聴き惚れてしまいました。

後半のシューベルトの即興曲集は、いわば「静」と感じた福岡の演奏に比して、とてもアグレッシブでドラマティックでしかも「歌心」を感じさせてくださいました。会場の聴衆も気圧された?のか曲間の拍手が何度か起こったほどでした。

渾身の魂が昇華するような心が震える演奏に接し、今さらではありますが実稚恵さまの偉大さを感じました。

アンコールの即興曲の曲順を福岡の時と入れ換えたり、ベートーヴェンをタイトルとしながらもシューベルトをメインに据えたりと演奏のみならずプログラムにもいつも工夫をいただける有難さに本当に幸せを感じたひとときでした。


実稚恵さま今回もありがとうございました。
Date: 2019/06/24/16:48:50 No.4932

Re:ベートーヴェンとピアノ 「傑作の森」への道のり(小山さん×平野昭さん、音楽之友社)6月24日発売です
ぴあのふぉるて
まじょるか魔女さん、演奏会の翌朝にはもう投稿なさって、素晴らしいですね。
小山さんの息遣いも聞こえてくるような臨場感いっぱいのご報告を拝読し、私もいずみホールでご一緒したような気持ちになりました。新しいご著書に記された小山さんのお言葉、プログラムノートからの引用、さらに小山さんの生のお声まで、細やかに教えてくださり本当にありがとうございます。
敬愛の念あふれるご感想の中で、最後に描かれた「音の粒の忘れもの」の情景に心惹かれました。さながら移り香のようですね。芳しい余韻まで共有させていただきありがとうございました。

前後しますが、前回、豊田公演のご感想ではピアノソナタ第28番の印象を「…多種の食材が入ったお好み焼きのように感じました」と表現なさっていましたね。曲の特徴をうまく捉えた「お好み焼き」のたとえを拝見し、さすが、まじょるか魔女さん!と思いました。この作品は後に続くピアノソナタの威力の片鱗がうかがえる予告編?のように私も感じておりましたが、まじょるか魔女さんのおかげで音楽が見えて、スッキリしました。

covariantさん、パイプオルガンの画像とご感想を嬉しく拝見しました。covariantさんをはじめ会場の皆様の興奮と感動がこちらまで届きます。
大阪新音さんの公演だより2019/1/25に掲載されたインタビュー記事から、小山さんのお話を転記してくださって、誠にありがとうございます。新しいピアノシリーズ「ベートーヴェン、そして…」は、小山さんのベートーヴェンへの並々ならぬ想いから生まれたのですね。心して拝聴することを誓います。(力みすぎ?かもしれないけれど、そんな心境です)

covariantさんのご報告に触発されて、久しぶりにシューベルトの交響曲『未完成』を聴きました。(演奏は、ギュンター・ヴァント指揮、ベルリンフィル。1995年ライブ録音のCDです)苦しくて美しすぎて、胸が締めつけられます。

実稚恵さまの微笑みさん、続けて温かなご感想を書き込んでくださって、ありがとうございます。アンコール曲の掲示板の画像も貴重な記録資料になりますね。
実稚恵さまの微笑みさんもcovariantさんも、最前列の中央で聴かれたのですね! 小山さんの音楽と一体になれる最高に幸せな位置ですね。でも、もしかすると、興奮して思考停止に陥る危険もはらんでいるかもしれません。

小山さん大阪いずみホールでは福岡公演よりも「アグレッシブでドラマティック」な演奏をなさった、とのこと。小山さんの唯一無二の演奏を、各地で、リアルタイムで拝聴できる私どもは、本当に恵まれていると思います。
小山さんの「敬愛の歌」、東京公演を楽しみにしております。
Date: 2019/06/25/17:19:55 No.4933


▲Top

尽きせぬ憧れ、見果てぬ夢 〜小山さんの「敬愛の歌」
まじょるか魔女
6月8日(土)、愛知県のクルマの街、豊田市で小山さんの新シリーズ「ベートーヴェン、そして・・・」を拝聴しました。
仙台でいよいよ始まった小山さんの新しい音の旅。とさまさん、微笑みさんのご感想を拝読し期待は募るばかりです。

小山さんは紫陽花の精のような透明感のある紫のドレスで登場されました。
ピアノソナタ第28番は、ベートーヴェンに珍しくたおやかな曲と小山さんが言われるように、憧れのこもった「敬愛の歌」が奏でられます。後期ピアノソナタへの道標のようなこの曲には、瞑想的な、ある時はジャズ風のフレーズや主題の萌芽がちりばめられ、ど素人の印象としては多種の食材が入ったお好み焼きのように感じました。全身の不調を抱えながら、ベートーヴェンには音楽の神への「敬愛の歌」が溢れていたと思うのです。最後の和音三音は、決意表明の「い、け、る」と聴こえてきました。四音なら、「い、け、る、で」と聴こえたと思います。(なぜ関西弁?‥申し訳ありませんが、音源で聴いた他の方の演奏では、最後の和音は唐突感が拭えませんでした)
後期ピアノソナタのように洗練される前の、ベートーヴェンの直截な情熱が伝わってくる曲として、繰り返し味わいたいと感じました。

ベートーヴェンを敬愛し、葬儀にはその棺を囲んで進む集団の一人となっていたシューベルト。その翌年には、シューベルト自身が棺の人となってしまうのですね。尊敬するベートーヴェンの近くに葬ってほしいとの遺言で、ウィーン中央墓地に並んで眠っているのですね。

小山さんが、震災の後でさらに好きになったと言われるシューベルト。どんな時にも横に座っていてくれる友人のようなシューベルト。ピアノソナタ第13番では、憧れと透明な哀しみに胸がしめつけられます。
即興曲のスウィング感のある打鍵は揺りかごのような心地良さでしたが、作品142-4 の最後、小山さんは鋭く息を吸い込まれ、雪崩のように運命の旋律を打鍵され、シューベルトの「死」が想起されました。
熱い拍手、ブラヴォーの声。
小山さんは、アンコールで、90-4、90-3を全身で弾いてくださいました。
90-4ではシューベルトの魂が浮遊し、空へ昇っていく様を、90-3では大きな翼に守られ天国へ到達した様を想像しました。音楽の神への尽きせぬ憧れを持ち続けたベートーヴェンとシューベルトは天国でも「敬愛の歌」を共に追究されているのでしょうか。

小山さんのピアノに向かうお姿は音楽への敬愛そのものでした。
プログラミングを考えるのが好き、同じ曲でも順番によって意味合いが変わってくると仰った小山さん。
今日の曲順は、ベートーヴェン、そしてシューベルトの魂に寄り添ったプログラムとして深く心に響きました。

小山さん、今回も一期一会の素晴らしい演奏を有り難うございました。小山さんへの敬愛の歌をファン同士合唱しながら、これからの演奏も心待ちにしております。
Date: 2019/06/10/09:51:42 No.4929


▲Top

小山実稚恵ピアノシリーズ 「ベートーヴェン、そして・・・」 <敬愛の歌>
実稚恵さまの微笑み

昨今の温暖化の影響でしょうか、ここ2、3年の実稚恵さまの春の公演は梅雨空のような天候が続いています。九州地区は昨日から雨となっていますが、博多は実稚恵さまのお力添えを得て雨もあがり曇り空が広がっています。

さて、新シリーズ「ベートーヴェン、そして・・・」演奏を始められる前に実稚恵さまはステージに立たれ今回の新しいプログラムについてお話しをしていただきました。

12年にわたる「音の旅」で演奏もあるけれど曲目を考えたりと「平成」の半分関わってきました。その中で「ベートーヴェン」に対する想いが強くなっていきました。それで、リサイタルは5回となるけれど「ベートーヴェン、そして・・・」というプログラムを考えました。初回となる第1回は<敬愛の歌>というタイトルでベートーヴェンとシューベルトを取り上げました。

「そして・・・」の部分は決して付け足しや競うといった意味合いではありません。皆さまに考えていただきたい。というお話しでした。

実稚恵さまは、私の大好きな気品のある紫のドレスで登場されました。ステージ後方の生花のオブジェに配された季節を感じさせる落ち着いた色合いの紫陽花の花にも似てとても素敵でした。

本日のプログラム

ベートーヴェン ピアノソナタ 第28番 イ長調 作品101
シューベルト  ピアノソナタ 第13番 イ長調 作品120
〜休憩〜
シューベルト 即興曲集より
作品90−1 ハ短調
作品90−2 変ホ長調
作品142−1 ヘ短調
作品142−2 変イ長調
作品142−3 変ロ長調
作品142−4 ヘ短調
〜アンコール〜
作品90−3 変ト長調
作品90−4 変イ長調

ベートーヴェンのソナタ第28番 初めて聴く作品でしたが、歌心を感じさせる美しい曲でした。第2楽章の闊達さや第3楽章の深遠かつ壮大さをもった楽曲でした。実稚恵さまの解説では、ベートーヴェンの作品100番台以降は、後期にかかる時期で聴力を失った苦難の時代に書かれたということでした。

2曲目は、シューベルトの同じくイ長調のソナタ。ベートーヴェンとは対象的な作曲家ですが、彼はベートーヴェンを「敬愛」していたとのこと。こちらのソナタも実に美しく素晴らしい作品でした。瑞々しくてとてもチャーミング。まさに歌曲の薫りのする楽曲でした。

休憩後は、シューベルトの即興曲集でした。「じっくりと丁寧に書かれていた気がする」と実稚恵さが仰られていたとても深くて美しくて感動的な作品の数々。アンコールを挟んで一気に2作品。

以前、「震災等を経てシューベルトの作品をさらにさらに好きになった」と仰られていた実稚恵さま。深い感動で魂が震えるような演奏をしていただきました。

会場で配られたプログラムの冒頭に「さらに近年は風格と清新さが共存した」との実稚恵さまのご紹介文がありましたが私は、お弾きになられているお姿を拝見して揺るぎなく泰然とされている様に深い感銘をお受けしました。

さらにさらに、音楽の極みを歩いていかれる実稚恵さま。今日もただただ、素晴らしい演奏をありがとうございました。演奏会のタイトルでもある深い「敬愛」の気持ちを込めてお礼を申し上げ会場を後にしました。
Date: 2019/05/20/12:26:38 No.4926

Re:小山実稚恵ピアノシリーズ 「ベートーヴェン、そして・・・」 <敬愛の歌>
ぴあのふぉるて
実稚恵さまの微笑み様
早々に福岡公演のご報告を、どうもありがとうございます。
小山さんへの深い敬愛の情あふれるご筆致に、心が温かくなりました。
小山さんのお話も丁寧にご紹介いただき、感謝いたします。
新しいピアノシリーズ「ベートーヴェン、そして…」がますます楽しみになりました。
小山さんは「敬愛の歌」のアンコール曲として、即興曲 作品90の 3 と 4を弾いてくださったのですね! まさに、小山さんならではの選曲だと思います。
私どもファンは、小山さん愛が「さらにさらに」深まりますね。
ご一緒に応援できて幸せです。

とさま様
リプライの順序が前後してしまって申し訳ございません。
(仙台公演後、ほぼ即日書き込まれた)最速の細密なご投稿に、感じ入りました。作品の特徴と小山さんの素晴らしい演奏を、細やかにお伝えいただき、誠にありがとうございます。
ピアノソナタ第28番は「ベートーヴェンの後期の作品の幕開けとなる」作品なのですね。
新しいピアノシリーズ冒頭の曲として選ばれていることからも、特別な作品であることが伝わりますね。
とさまさんのお心尽くしのご報告、繰り返し拝読して予習しようと思います。
いつも感動を共有させていただき、本当にありがとうございます。
Date: 2019/05/22/00:56:45 No.4927


▲Top

【ベートーヴェン、そして・・・】 第1回 <敬愛の歌>@仙台 のご報告
とさま
皆様 お変わりありませんか。

【ベートーヴェン、そして・・・】と題された、小山さんの新たなシリーズの第1回は〈敬愛の歌〉と題され、ここ仙台での公演が初日となります。

ベートーヴェンの後期の作品の幕開けとなる ピアノソナタ第28番イ長調作品101が最初に演奏され、【ベートーヴェン、そして・・・】の【・・・】はシューベルトの作品群が並びます。ベートーヴェンの第28番ソナタと同じ調性で作曲されたシューベルトのピアノソナタ第13番が前半を締め、後半は 同じシューベルトの即興曲作品90の1と2及び作品142の4曲全てが並びます。

きょうは 音の旅でも登場しなかったベートーヴェンのピアノソナタ第28番イ長調作品101の小山さんの素晴らしい演奏についてご報告します。

《第1楽章》
ベートーヴェンの優しさと憧れの気持ちが、香り高き歌として昇華していきます。ベートーヴェンは 第1楽章冒頭にドイツ語で「Etwas lebhaft und mit der innigsten Empfindung(やや快活に、そして最も親密な(深い)感情を込めて)」と標記しています。小山さんは、【やや快活に】よりは、ドイツ語の最上級の【最も親密な(深い)感情を込めて】に重点を置かれ、心の底から慈しむような奏楽をなさいました。メトロノーム的には比較的ゆったりとしたテンポ設定でしたが、弛緩とは無縁で、テンポが遅いと感じることはありませんでした。ホ長調とイ長調との間での和声の移ろいも美しい 夢のような音楽に そして 小山さんの 心の内奥から湧きだす深い感情表現に聴き手は陶酔します。

《第2楽章》
第1楽章とは雰囲気がガラッと変わります。独特な跳躍リズムの刻みを持つ行進曲部分に挟まれた カノン風の中間部がドルチェ効果もあって美しさを極めます。この中間部の途中には 後期のベートーヴェンが好んで使ったトリルが登場し、左手の和音群の動きと協働しながら 美しい響きを創造します。小山さんの見事な奏楽を堪能できる楽章です。

《第3楽章》
形容しがたい内的充実に満ちた第3楽章の小山さんの奏楽の素晴らしさに圧倒されます。

20小節から成る緩やかな導入部・・・なんとも寂しい風景が浮かぶ 寂寥感溢れるイ短調の楽想が 特徴的な3連符で彩られます。ベートーヴェンの天才は、その導入部と主部を繋ぐ9小節に発揮されます。主調のイ長調(あるいは属調のホ長調)に転調させるために用意された 美しいアルペジオ風のカデンツァの小山さんの奏楽は独創性の極みです。通常は速いテンポで文字通りカデンツァ風に弾かれるところ 小山さんは憧れと慈しみさとを表現するために たっぷりとしたテンポを設定され そして あの懐かしい 香り高い第1楽章冒頭の優しいフレーズの回想に繋げられたのです!そうです・・・優しさと優しさとが 自然に繋がる奏法を小山さんは選ばれたのです。ためらいがちに休符を挟んで回想が繰り返され、その後、急に高揚して プレストに速度を変えてトリルに導かれて 輝かしくエネルギッシュな主部(提示部)に突入します。

ベートーヴェンはその主部にドイツ語で『Geschwinde, doch nicht zu sehr und mit Entschlossenheit(速く、しかし速すぎないように、そして断固(決然)として)』と書き込みました。この最後の『断固(決然)として』を表現するのに小山さんほど相応しいピアニストは思い浮かばないほど 歓喜に満ちた小山さんの第1主題の堂々たる風格に溢れた奏楽です。対照的に、第2主題はリズミックで愛らしく まるで踊りの音楽のようです。愉悦感に溢れ、精神的に充実した気持ちにさせてくれる 屈指の聴きどころです。

主部(提示部)の繰り返しを経て、展開部は第1主題のフレーズを駆使した4声のフーガとなり 後期ソナタ群の壮大なフーガへの前哨を強く感じさせます。小山さんの卓越した音楽的技術は フーガからホモフォニックなスタイルに移行し、アルペジオによる壮大な盛り上がりで再現部を迎えるまでの部分でいかんなく発揮されます。その迫力とエネルギー放出の熱量は常軌を逸するほどですが それはまさにベートーヴェンが望んだ音楽的必然故 聴き手は深い音楽的満足感を得るのです。

再現部では ほぼ定石通り提示部が再現されますが、コーダ、とりわけ曲の末尾 リタルダンド(速度を遅く)していき ヒソヒソ話しのようなバスのトリルに到達して消え入るかのようになり そして 一瞬の間をおいて 突然元のテンポ(Tempo I)に戻って 両手共に分厚い和音で決然と終結する、最後の3小節は本当にベートーヴェンらしさに溢れています。この最後の3小節で 小山さんは にわかには信じがたい奏楽をなさいました(かつて聴いたことがありません)。多くのピアニストが、減速して念を押すように終結、あるいはスタカートを意識したある種の軽さを和音群に内包させるのに対し、小山さんは何と Tempo Iが付された8分音符の4音をTempo Iよりわずかに速目のテンポで演奏され、そして最後の2つの和音間をTempo Iで演奏されたのです。和音群はスタカートではなく ベートーヴェンの自筆譜に示されたとおり 全ての和音の重量感を維持させたまま 極めて激しいアクセントで圧倒的な迫力で終えられたのです。

 私はこの最後の3小節に関しては 小山さんの演奏スタイルからすれば、初めから終わりまでTempo Iに終始し(決して減速しない)、ff+強烈なアクセントできっぱりと終えられるのではないかと予想していたので 心底驚きました。しかしながら、同時に生のコンサートでしか味わうことのできない、特別な音楽的体験に気分が高揚し、気持ちをシューベルトの音楽を鑑賞するために切り替えるのが大変でした。

ベートーヴェンのピアノソナタ第28番イ長調作品101は本当に素晴らしい作品ですので、皆様も是非 小山さんの素晴らしい演奏を堪能なさってください。

★小山さんへ:初日の大成功をお祝い申し上げます。28番は本当に傑作だと感じ入りました。版によっても異なり、解釈も自由度が高い作品だけに、これからも色々な発見があるように感じています。どうぞ引き続き 私たちを音楽で幸せにして下さい。

とさま
Date: 2019/05/13/00:13:43 No.4925


▲Top

小山さん『戴冠式』初演奏のご報告
ぴあのふぉるて
多治見リサイタル翌日4/21、小山さんは東京フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会にソリストとして出演なさいました。
小山さん地方公演の翌日に、都内で、全く別の曲(しかも初演奏のコンチェルト!)を完璧に演奏することができるなんて、まるで神業ですね。
小山さんはやっぱり特殊な才能をお持ちなんだと思います。
技はもちろん、気力も体力もすごい!
〜〜〜
東京フィルハーモニー交響楽団
第921回 オーチャード定期演奏会 Bunkamuraオーチャードホール
指揮:アンドレア・バッティストーニ
ピアノ:小山実稚恵*
コンサートマスター:近藤 薫

《プログラム》
ウォルトン:
戴冠式行進曲『王冠』

モーツァルト:
ピアノ協奏曲第26番 ニ長調 K.537『戴冠式』*

〜休憩〜
チャイコフスキー:
交響曲第4番 へ短調 Op.36
〜〜〜
(4月の定期演奏会:4/16東京オペラシティコンサートホール、
4/18サントリーホールに続いて、3回目の公演です)

プログラムは、祝意に満ちた作品で構成されていました。
打楽器の活躍が印象的な曲が明るく華やかに奏された後、いよいよピアノがステージの中央に運ばれます。

小山さんのドレスの色は、美しい藤紫です。
モーツァルトのピアノ協奏曲第26番は、第25番と第27番にはさまれて印象が薄かったのですが、今回、小山さんの演奏によって、全く感じ方が変わりました。
なんと瑞々しい可憐な曲なのでしょう!
ピアノの音色が際立ち、ピアノの魅力が真っすぐ伝わってきます。
ピアノコンチェルトですからもちろん、ピアノとオーケストラが対話をしながら進むのですが…オーケストラの伴奏がピアノの音にむやみにかぶさらない作風のおかげで、ピアノの音色を心ゆくまで堪能いたしました。

小山さんがお弾きになったカデンツァは、初めて聴きました。
聴き覚えのある普通のカデンツァと違って、小山さんのカデンツァは緊張感と喜びに満ちていました。もしかして小山さんご自身による即興演奏?と感じるほど、迫真の演奏です。

 小山さんのサイン会で、どなたのカデンツァですか? 小山さんのオリジナルですか? と伺ったところ、みんなにそう言われるけど、と前置きなさってから、
「カール・ライネッケ」と教えてくださいました。
ライネッケはドイツロマン派の作曲家/ピアニストで、この曲の第二楽章の録音も残っているそうです。

小山さんの『戴冠式』初演奏に立ち会えて幸せです。
初めてこの曲を演奏する機会に恵まれた小山さんご自身も、すっかり満ち足りたご様子でした。
「協奏曲のレパートリーは60曲を超える」とプロフィール紹介欄にありますが、新たに1曲が加わるのですね!
現状に安住なさらずに新しい曲に取り込み続けるお姿、素晴らしいですね
初めて小山さんにこの作品を演奏してもらえたモーツァルト先生も、自作のカデンツァを小山さんに選んでもらえたライネッケ先生も、ガッツポーズで祝杯をあげたことでしょう。

小山さんのアンコール曲は、ラフマニノフ 前奏曲ト長調 Op.32-5でした。
後半のプログラムにつながる素敵な選曲ですね。
気品と哀愁に満ちた演奏で、ロシアの香りを運んでくださいました。

バッティストーニ氏指揮のチャイコの4番はやけに明るくて、哀愁や憂いとは無縁で、苦悩から喜びへ…の「喜び」のほうに力点が置かれたようでした。
「令和」を祝するプログラム内容だったからかもしれません。
熱狂的な拍手とブラボー!に応えて、バッティストーニさんは「新しい東京フィルハーモニーと新しい令和のために」と日本語でおっしゃってから、エルガーの行進曲『威風堂々』第1番を演奏されました。最後まで、熱い想いのこもった濃厚な選曲です。
祝賀演奏会は、導入の曲と同じくイギリス人作曲家の作品で、情熱いっぱいに締めくくられました。

小山さん、バッティストーニさん、東京フィルハーモニー交響楽団の皆様、どうもありがとうございました。
令和の時代も、皆様のご活躍を心よりお祈りしています。
Date: 2019/04/28/14:23:03 No.4923


▲Top
[1][2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] [24] [25] [26] [27] [28] [29] [30] [31] [32] [33] [34] [35] [36] [37] [38] [39] [40] [41] [42] [43] [44] [45] [46] [47] [48] [49] [50] [51] [52] [53] [54] [55] [56] [57] [58] [59] [60] [61] [62] [63] [64] [65] [66] [67] [68] [69] [70] [71] [72] [73] [74] [75] [76] [77] [78] [79] [80] [81] [82] [83] [84] [85] [86] [87] [88] [89] [90] [91] [92] [93] [94] [95] [96] [97] [98] [99] [100]

286094
TOP Admin
 ★ Produce by Masato ★