今日はとても良いお天気で渋谷の街も活気付いている感じがしました。
2時からの始まりでまだ時間がありましたので、少し散策しながら文化村オーチャードへ向かいました。
1時30分から入場開始となりいつもと同じく最前列のピアノの前の席にしました。
時間になると係りの方の案内で小山さんと、本日のレクチャーのお相手をしてくださる音楽評論家の萩谷由喜子さんが登場されました。小山さんは上下が白のとても素敵な衣装で今回のイメージカラーであります、すんだ水色のショールをまとい、そして萩谷さんはやはり水色を貴重とした和服姿でした。お二人とも本当にエレガントで素敵な雰囲気満載でした。
レクチャーは6月27日のリサイタルの曲目を一曲ずつ解りやすく丁寧に解説して下さいました。
まず最初のバッハとシューマンは同じ変ロ長調ですが、その意味合いを説明して下さいました。
バッハは幼い時に両親を亡くし、生活のため異国の地に兄と旅たつ事になりましたが、それを表題として「最愛の兄の旅立ちに寄せて」とされています。その時の友人がそれを引き止めようとして最初は優しい言葉で引き止め、次は旅を思いとどまらせようと様々な言葉を掛けたり、御者のラッパの音色が出てきたり・・・・それを曲で表したもので、小山さんはピアノでその中の2曲を演奏されました。
それに続くシューマンの曲は同じ変ロ長調で、これは当時クララとの結婚を反対されていたシューマンが、ウィーン滞在中に泣いたり笑ったりいろいろな感情のままに綴った作品であること。その喜怒哀楽の移り行く心情をピアノで説明してくれました。
今回の3曲目にあるアルベニス「入江のざわめき」はもともとはピアノの曲ですが、ギターの作品としても有名であり、ピアノからはギターの響きが聞こえてくるような作品。それに続くショパン「ノクターン第17番」と「入り江のざわめき」の2曲共が冒頭にアルペッジョが使われている珍しい作品であるのだけれど、それぞれの魅力を引き出していると言うことから、今回のプログラムに選んだこと。この箇所もピアノで弾いて下さり比較してくれましたが、それぞれ全く違う魅力を感じる事が出来ました。
最後の曲になりますシューベルトは後期作品であります三大ソナタの内の第19番ですが、この曲は冒頭部分がシューベルトが最も敬愛していたベートーベンのオマージュのソナタともいえる作品で、ベートーヴェンの「自作主題による 32の変奏曲」ととても類似していると言う事です。これはシューベルトの心の中にベートーベンに対する心からの敬意がありそれを表現したものではと小山さんは言われていて、この2曲の冒頭箇所をピアノで弾いて下さり、その類似性がある中でそれぞれの違いが我々素人でも良く解りました。
シューベルトは亡くなる2ヶ月前にこの三大ソナタを作曲していますが、今回が第19番を、第22回秋に第20番、第23回春に第21番を弾いて下さいます。
そしてベートーヴェンのソナタについては第21回春が第29番、第22回秋に第30番、第23回春に第31番、そしてこのシリーズの最後の曲となるのが第24回秋の第32番となります。
考え抜かれた素晴らしいプログラムである事を素人ながら感じる事が出来ます。
そして最後にアルベニスを全曲、僕の目の前にあるピアノで弾いて下さいました。
本当に至福の時間を過ごす事が出来ました。
後半はサロン会となりますが、このシリーズ最後のマイシートフレンズ(第10期)となります。そのためか、これまでになく沢山のファンの皆さんが参加されました。
サロン会に入る前に全員での写真撮影があり、その後小山さんを交えたサロン会となりました。
サロン会には古くからの小山ファンの方もいらしていて、その中のお一人が30年前に始めて行った小山さんのコンサートのプログラム(チャイコフスキーコンクール入賞後のショパンコンクールに参加する前の年)とショパンコンクール入賞を伝える新聞の切抜きを見せて頂きました。ご好意で拝借をさせて頂きましたので、ファンの皆様にもご紹介をさせて頂きます。
30年前のコンサートのプログラム =>
こちらです
ショパンコンクール入賞を知らせる新聞記事 =>
こちらです
そんな訳で小山さんのデビュー30周年も絡めた沢山の話で盛り上がり、あっと言う間の1時間となりました。
6月27日まであと1ヶ月、また皆さんとオーチャードでお会い出来ることを楽しみにしています。