数日前より本格的な暑い日がやってきました。
待ちにまったロマンの旅・・・ショパンとドビュッシーです。
今日は小山さんの奏でてみたいアイデアが沢山詰まったプログラムです。
今年は東北での震災や田村先生の死去など大変な一年を迎えてしまいました。
でも色々な事があるのは生きている証拠でその中で頑張って沢山の思い出を刻んで行くのが人生なのかなと・・・
久しぶりに行く土曜日の渋谷ですが、雨が降ってない事で案の定、街中は沢山の人です。
この様な光景を目にすると、大震災や原発の被害が起きている日本とは別の国かな?と思うしだいです。
オーチャードホールに着くと直ぐに入場開始の時間となりました。
小山さんの古くからのオールドファンに混じって若い人の姿が沢山見られるのがこのコンサートの特徴です。
小山さんの新鮮で斬新なアイデアが詰まったこのコンサートに興味を持ち、共感を覚える若い人が増えて来ている事だと思います。これから日本の音楽界を担うピアニストにとっても沢山の事が吸収できる憧れのコンサートなのだと思います。
今日のテーマは淡い薄紫。ピアノに添えられたお花も薄紫を基調とした素敵なものでした。
舞台の照明が落とされ、小山実稚恵の世界の始まりです。小山さんのドレス。落ち着いた薄紫の素敵なドレスです。
そして前半の1曲目はドビュッシー:12の練習曲集より 第1曲 第1番「5本の指のための」(チェルニー氏風に)です。
小山さんの解説では左右5本の指が独立して見事に動かなければ、とされており1本づつの指がそれぞれの意思を持ち鍵盤に息を吹き込む。まさに離れ業の世界です。近くで見る鍵盤を奏でる指先にはただ唖然とするばかりで、そこから奏でられる音も想像を超えたドビュッシーの音の世界がありました。
美しく波の様に押し寄せるドビュッシーの音の世界は、色彩豊かでショパンとは違う異次元の世界だと感じました。
ドビュッシー2曲の後にショパン:12の練習曲集 作品10より 第10曲 変イ長調。絶妙な曲の配列でショパンの曲がより引立ちこれまでに味わった事のない音の世界へ引き込まれました。音楽の不思議さと神秘さをまざまざと見せ付けられましたね。そしてドビュッシーの後に聴いたショパンの革命。これは本当に音の革命と言わざる衝撃的な感動を受けました。
途中、熱狂的なファンからのフライングブラボーや実稚恵さんコールもありましたが(勿論、僕ではありません。少なくとも最低限のコンサートマナーは心得ていますので)、それほどインパクトのある素晴らしい演奏となり我々を魅了してくれました。
そして後半は普段聴く機会が少ない、小山さんのドビュッシーの世界を十分に堪能することが出来ました。
リヒテルが弾くことをためらった亜麻色の髪の乙女は、とても心が癒され最高の1曲でこの様に優雅で美しい曲はまさに小山さんにピッタリの曲だと思います。
全力を出し切った後のアンコールはショパン、ラフマニノフ、リストを弾いて下さいました。ありがとうございました。
リストは今年、生誕200年の年でもあり、ラ・カンパネラでの締めくくりは、リストもどこかできっと喜んでいると思います。
僕が今回特に感じたことは、ピアノのコンディションが最高の状態でありコンサート成功の鍵となっていたと思います。普段、表に出る事がありませんが松尾楽器の調律をされている方の熱い思いをひしひしと感じる事が出来ました。心より感謝したいと思います。
明日は三重でラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番を弾くため小山さんは東京を旅立ちます。
日本は近年なく厳しい状況に追い込まれています。恐らく終戦後の最大の危機だと思います。
しかし小山さんは、プライベートを含め、悲しい事が沢山ある中で、それを乗り越えて私たちに音楽を通じて夢や希望を与えてくれています。この小山さんの思いを感じながら僕自身もこれからも頑張って行こうと思います。
ファンの皆さん、小山さんの音楽と共に一緒に歩んでいきましょう。。。
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★2012年新春ニュー・アルバム「pianissimo」(仮)発売予定!